彩瀬まる『骨を彩る』読了

どうしようもない、わからない、取り戻せない、もういない―。
なかったことにできない、色とりどりの記憶が降り注ぐ。
最大注目新鋭作家、書き下ろし。
内容(「BOOK」データベースより)

欠けたり、曲がったり、刻まれたり。

本書は大切な何かを損なってしまった人たちの物語。
哀しみや喪失感を、決して通り一遍等の共感では無い、
しかし慈しみの筆で綴られていました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言。しみじみと良かったです。

収録された5つのお話の主人公は、
いづれも繊細な悩みを抱えていました。
しかしそれは他人とは決して共有できない、
極めて個人的なモノなんですよね。
それを本作では『骨』に例えており、
人格や人生を形成する骨へのダメージ、
ひいては他人には決して見えない部分の障害として、
上手く表現されていたと思います。
さらには繊細で表現力豊かな筆が物語を、
タイトルの通りに『骨』を、鮮やかに彩りました。

著者の彩瀬さんは『桜の下で待っている』に続いて
2冊目だけれど、素晴らしい作家ですね。
彼女の対象からホンの少しだけ退いた視点が
なんとも言えず好感を覚えます。

蛇足で僕のお勧めは『ハライソ』の一編。
オンラインゲームの世界だけで繋がる青年・浩太郎と、
女子大生・ヨシノのお話です。そこで浩太郎は
ヨシノから初体験に際しての相談を受けるのですが……。
詳細は本書をご確認していただくとして、
僕は二人が辿り着いた場所、メタファで顕されるところの
ハライソの塔、百三十五階のテラスのシーンで胸を打たれました。

たとえ離れ離れでも、これからも会うコトは無くても、
貴方を想っている。苦しいときは必ず助ける……。

そんな文章を目にした瞬間、僕の頭の中で作中の曲が流れだし、
ある人の事を思い出してしまいました。

また性についても深く感銘を受けました。
僕は男性として実際的で物理的な快楽を否定しないけれど、
それ以上の悦びがあるんだって事、
語弊を恐れずに言えば知っているんですよね。
だからこそラストの描写に欲情的なものは一切感じるコト無く、
ただただ幸せな気分になりました。
高慢な言い方になってしまうけれど、
浩太郎や僕が感じるこの幸せが、
男性だけのモノではありませんように。
そう願います。

おまけ:
time after time
BGM:
ハライソの塔、百三十五階のテラスで流れた「Time After Time」
僕はシンディのではなく、gonvut のカバーを、
そして gonvut のライブに一緒に行こうと約束していた彼女を想いました。
もう、その約束は果たされるコトは決してないけれど、
彼女が倒れそうになったら僕が受け止めに駆けつけたい。
その思いはどんなに時が過ぎても変らないでしょう。
彼女はとっくの昔に、僕の骨に刻まれています。

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佐藤正午『ダンスホール』読了

小説家は、気の病に見舞われ、仕事ができなくなり、
離婚も含め身の回りを整理していた。
一方、東京の企業に務める西聡一は、別れた妻からの頼みで、
ダンスホールで働いているという女性を捜しに、
この街までやって来ていた。――発砲事件に端を発し、
違法な物の受け渡しを巡って描かれる人間の再生。
誰にも書けなかった、ストーリーテリングな私小説。
内容(出版社内用紹介より)

結末なんていらない。

本書は「死様」をテーマに7人の作家で競作された作品のうち、
『佐藤正午』による一冊。
ミステリアスでハードボイルドな世界観に、
謎ときや結末の必要性を全く感じさせませんでした。

一度は死を覚悟した作家
別れた妻のため人探しをする男

物語は全く接点のない二人の男が、
奇妙な事件や怪しい荷物、過去の因縁や偶然によって
繋がっていく様子が描かれています。
でも結局二人の男は直接会うことも
電話で会話することもなく終わるし、
ほぼ全ての伏線は回収されないまま終わってしまう。
おまけに競作のテーマ「死様」も
イマイチ具体的な記述が見当たらない等、
ミステリィ好きには評価が分かれるかも。
けれど僕は全く問題なく楽しめたんですよね。
「のらりくらり」は『佐藤正午』の筆(スタイル)だと思うし、
さらに本作はテーマの「死様」も意識したんじゃないかな。

「死様」とは結末ではなく、その過程である。

謎は謎のままで終わるのが人生だし、
自分の「死様」も判らない(ことが多い)。
読書もどこかそれに似ていて、
途中が面白ければ僕は満足です。

蛇足でクリスマスソングについて。
作中、競輪場の最終レースの締め切り前に
ジョン・レノンのハッピー・クリスマスが流れて
作中の12月23日を少し寂しい情景へと誘導していました……
ってなコトで、皆様はクリスマスソングと言えば
どんな曲を頭に浮かべるでしょうか?
僕はなんと言ってもワムの『ラスト・クリスマス』と
山下達郎さんの『クリスマス・イブ』が二大巨頭。
でも上記2曲もそうなんですが、クリスマスソングって
幸せより悲しい曲の方が圧倒的に多いですよね。
世間には僕のご同輩が多いようで、ちょっと安心しちゃったり。

おまけ:
Happy Xmas (War Is Over)
BGM: John Lennon & Yoko Ono / Happy Xmas (War Is Over)

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森重樹一(ZIGGY) 11/13「ザ 世界仰天ニュース 有名人の密かな苦しみ2時間SP」に出演

アルコール依存症については省略。

ただ僕が初めて ZIGGY のライブに参加した
2004年の恵比寿リッキドルーム。
その時点で既に森重は浴びるように
ビール(サントリーモルツ)を飲んでいたのを覚えています。

初めて生で観た森重に、正直しびれました。
ガンガンビールを飲んでフロアを睥睨する姿に、
なんて格好良いのだろうって。

けれどその後、森重のパフォーマンスの低下……と言うか、
ステージでの態度の悪さも(盲目的なファンであった僕でさえ)
目に余るコトが多くなったのも事実。
具体例をあげればキリがありませんが、

歌えって言ってんだよ!(by 渋公・スネナイの森重)

には、初めて森重に対して怒りを感じたコトを覚えています。
ライブは生モノだからハズレがあって当然、
そもそもロックだからお行儀なんて求めてもいない。
コチラ(僕)だって何時も派手に酔っていましたしね。
それでも貧しい財布からチケット代を捻出し、
仕事もやりくりして駆けつけてみれば、
アイドルに怒声を投げつけられる。

それも一度や二度でもありません。

特にスネナイは動員がアレだったとはいえ、
僕達ファンからしたら一夜限りのスネイク復活のお祭りです。
それを台無しにした森重に、
僕はどうしても怒りを抑えられませんでした……。

昔に比べて ZIGGY熱は1/100もないけれど(理由は割愛)、
個人としての森重樹一は今も変わりなく僕の最大のアイドルです。
ここでは何一つ書けないけれど、
森重が実際的に断酒に取り組む姿を僕はこの目で見ています。

「ザ 世界仰天ニュース」に描かれた森重は大げさでもなんでもなく、
むしろマイルドに描かれた森重だと言う事。
実際の森重は番組以上に酷かったし、
しかし現在は本当に断酒を頑張っていること。
僭越ではありますが僕からの補足とさせて下さい。

最後に。
真剣に断酒に立ち向かっている森重は、
ステージの上の彼に劣らず最高に格好良いです!(本当です)
これからも僕のアイドルとして
断酒継続マラソンの前を走り続けれくれること、
心から願っています。

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マギーが生きた証

前回
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今にも降りだしそうな空の下。
親友に誘われてマギーのお墓参りに行ってきた。

親友と僕は(大まかに言えば)マギーの在籍したバンド、
サイコキャンディーが縁で知り合った。
親友は「ライブ仲間」なんかじゃ決して追いつかない、
奇妙な、そして深い深いところで繋がった戦友だ。

お墓参りに相応しくないけれど、
語弊を恐れずに言えば非常に楽しい時間になった。
親友との語らいは濃密で、途切れず、時間が足りず、
楽しい思い出も、しんどい現在も、微かな希望も、
お互い飾らずにぶつけ合えた。

そんな親友と僕を結び付けてくれたマギー。

お墓のマギーと話した内容はナイショだけれど、
きっと僕はマギーの事をずっとずっと忘れない。
マギーが生きた証は CD や DVD の中だけではなく、
親友と僕の絆の中にもある。

おまけ:
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BGM: PSYCHO CANDIE / CRAZY☆STAR

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ポール・スタンレー、エドワード・ヴァン・ヘイレンのキッス加入話を否定

詳細はコチラ

僕は全くの初耳だったのですが、
割りと有名なお話(都市伝説)みたいですね。
なんでもデイヴとの不仲が一因とか。

でも大きな声では言えないけれど、
エディがキッスに加入しなくて良かったです。
理由は山程あるけれど、何よりエディがあのメイクだなんて……
ちょっと無いですよね(笑)

おまけ:
I Was Made For Loving You
BGM: Kiss / I Was Made For Loving You

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ZIGGY『ROCK SHOW』

僕の注目は『逃避行』。
打ち上げ花火の様に一瞬の輝きで終わってしまった
2014年のライブツアー(コチラ)。
そのライブ会場だけの限定発売CDからの再収録曲です。

で、早速聴いた感想は一言、2014年のそれが圧倒的に良いです。

歌詞も一部変更になったけれど、
何より大きいのはデコラティブになったアレンジ。
ゴージャスにはなったけれど、正直に言えば手を加えすぎです。
再録は難しいと思うけれど、
スラットの『Please』と言う成功例がありますからね?
言ってもしょうがないけれど、
おいちゃんの不在を痛感する一曲となってしまいました。
それにしても、2014年のシンプルでソリッド、
速くて叩きつけるようなボーカルのそれは
本当に格好良かったなぁ(ため息)

蛇足:
『逃避行』を聴きくと、
2014年のライブに一緒に参戦してくれた女性(ひと)を想ってしまいます。
彼女、今も元気にしているのかな。

おまけ:
逃避行
BGM: ZIGGY / 逃避行

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悲しいよ、マギー(R.I.P. PSYCHO CANDIE Dr.MAGGIE 中嶋章)

親友からのメールで知りました。
突然の訃報に心が落ち着きません。

その昔、まだ僕が酒を飲み、
仕事も健康も、妻だっていた頃。
マギーには大切な思い出の夜を貰ったことがあります。
またロックを離れても、ある部分では僕達の仲間であったコト。
昨夜親友から聞いてはじめて知りました。

マギーの刻むビートの様に、
少し前のめりな彼の人生を想います。

マギーの冥福を祈るには、もう少し時間がかかりそう。
今はただただ悲しくて。
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乙川優三郎『ある日失わずにすむもの』読了

ようやく築いた生活とジャズの夢を奪われるマーキス/アメリカ。
大切な人生の仲間と自負を失うワイン農家のホセ/スペイン。
銃をとり、人買いの手から娼婦の妹を守るマルコ/フィリピン。
北米、ヨーロッパ、アジアの国々の参戦、そして日本。
地球規模のパワーゲームが私たちに強いるであろう決断と残懐。
小説には力があると信じられる12篇!
内容(「BOOK」データベースより)

イマジン。

本書は世界大戦に突入した近未来を描いた12の掌編集。
戦争によって失われていくモノが淡々と描いており、
反戦への思いが静かに立ち上がります。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、非常に素晴らしかったです。
本書は戦場ではなく銃後……と言うか出征の様子が描いており、
反戦小説の手法としてはそれほど目新しくはありません。
けれど戦場に向かう12人の若者達には、
匂い立つようなリアルがあるんですよね。
それは現代性が一分の隙も無く溶け込んでいること、
各国の習慣・風俗、つまり地域性がよく顕れていること。
そして現代っ子らしく、どこか諦念の影がつきまとうこと。
小説のもつ普遍性は言わずもがなだけれど、
実時間に沿ったそれはもう一つ上の説得力があった気がします。

またこれらが1話につき僅か20ページあまりで過不足無く
(しかも抑揚のない筆で)描かれているんですからね。
もはや見事と言うより他ありません。

さらには直接的ではない表現で読者の厭戦気分を駆り立てること。
僕ははじめてジョンレノンのイマジンを聞いた時を思い出しました。
この曲と本書ではシチュエーションが異なるけれど、
その真髄(主張)はきっと同じだと思います。
是非、多くの方に触れて欲しい一冊です。

蛇足で僕のお勧めは『アベーロ』の一編。
日本の房総半島を舞台に出征する漁師・千紘と、
そこに残る彼女・渚月のお話です。
掌編なので内容は割愛しますが、僕は千紘に同情するコトはあっても
渚月を責める気持ちは一切持ちえません。
憎むべきは彼女の冷淡ではなく、この状況を招いた戦争です。
「なにもなければきっと二人は……」と想像するとき、
僕の(戦争への)憎しみは倍増しました。

おまけ:
Imagine.jpg
BGM: John Lennon / Imagine

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伊東潤『ライトマイファイア-light my fire-』読了

死者10人を出した簡易宿泊所放火事件。
警察官・寺島が入手したノートの「1970」「H・J」の意味とは―。
45年の歳月を経て、2つの事件が結びつく時、
過去に囚われた男たちの最後の戦いが始まる。
現代史の“闇”に迫る怒濤の公安小説。
内容(「BOOK」データベースより)

延焼はありません。

本書は歴史小説を得意とする著者久しぶりの現代小説。
現代の放火と過去の学生運動と言う2つの『火』、
そのリンクがスリリングに描かれています。

内容はバッサリ略で一言。悪くは無かったです。
ただし残念な気持ちの方が大きいのも正直なところ。
本書には様々なテーマや事件が織り込まれているけれど、
結果「広く浅く」で終わってしまった印象です。
ネタバレになるので控えますが、
あの昭和史に残る大事件は手垢がつきすぎてお腹一杯なんですよね。
折角、本書は事件の真相と、とある重要人物の設定に
大胆なフィクションを取り入れたのです。
長々とされる史実にそった事件の描写をごっそりカットし、
むしろフィクションの部分を膨らませるべきだったと感じました。
例えば、そのとある人物の恋愛にも
割りと多くのページを割かれていたのだし、
こちらに焦点を当てても良かったのではないでしょうか。
(僕はこの史実の部分でダラケました。もう他のメディアで
ウンザリするほど既知な事柄をなぞるだけだったので)

結局、本作は「放火事件」、「学生運動」、「恋愛」と
3つの火をつけはしましたが、殆ど類焼や延焼はなかったと思います。
それは決して悪くはないのだけれど、
野次馬(読者)は3つ小火(ボヤ)より1つの大火を見たいかも。

蛇足で本作のタイトルは……言わずもがなですよね。
以前にも『吹けよ風 呼べよ嵐
(ピンクフロイドの「One of These Days」から)があったし、
著者はかなりのロックファンと推察いたします(嬉しい!)
また本作でもボブディランの「Blowin' in the Wind」
(そう言えば『横浜1963』でも登場していました)や
ストーンズの「Sympathy for the Devil」が登場しますが、
ここはなんと言ってもタイトルの「Light My Fire」です。
因みにこちらは村上春樹さんもお気に入りの曲でもあり
コチラでも登場しましたね)、
京王線散策中のタラレバ娘も口ずさんでおりました(笑)
いやぁ~ロックって本当にいいな^^

おまけ:
light my fire
BGM: The Doors / Light My Fire

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森重樹一(ZIGGY) 9/23朝日新聞「おやじのせなか」に取り上げられました

詳細はコチラ

特攻隊の隊員(パイロット)だったお父様のことを話されています。
それはファンにはとっては殆ど既知の内容ではあるけれど、
僕は鴻上尚史さんの
不死身の特攻兵-軍神はなぜ上官に反抗したか-』
を読んだばかりだったので、改めて胸に迫るモノがありました。
因みに森重のお父様は

出撃や訓練で乗った飛行機は整備不良もあり、
7回不時着した(本文より)

そうです。
でもこれはお父様から直接息子・森重に語られた話ではなく、
後にお母様から伝え聞いた話とのコト。
実際に特攻があったのかどうかは定かではありませんが、
息子に多くを語らなかったお父様の心中をお察しいたします。

お父様の晩年はお身体に不自由があったそうですが、
さいごまでお仕事に励まれ、息子の個性を尊重されたそうです。
そして

中身のある人間になれ。

これは息子(森重)の胸の奥に刻まれる言葉となりました。
でもそれは息子だけでなく、きっとその息子、さらに息子へと
永遠に継がれていく魂みたいなモノなんでしょうね。
記事を読み終え、亡父と酒が飲みたくなってしまいました。

おまけ:
追憶の夜に宝石を散りばめて
BGM: ZIGGY / 追憶の夜に宝石を散りばめて
   まるで自分を見ているようさ~♪

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫17歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒4歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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