奥田亜希子『愉快な青春が最高の復讐!』読了

社会人になりスコールのように降ってきた怒濤の青春&痛々しくて直視できない過去の日記の数々。
内容(「BOOK」データベースより)

青春真っ最中。

本書は『奥田亜希子』の初のエッセイ集。
社会人時代の同期と取り戻した(?)青春を、
微笑ましく見守ることが出来ました(←エラソーにスミマセン)。

心が死んでいた学生時代
社会人になってからの青春デビュー
そして
記録魔のうれしはずかし日記帳

内容はバッサリ略で一言、良かったと思います。
タイトルに「復讐」とあって、もう少し過激……と言うか、
ダークなモノを想像していたけれど(笑)さにあらず。
健全でエネルギッシュな現在進行形の青春が綴られています。

勿論、著者が拗ねる?ように、
一般論で言えばやや遅い青春かも知れません。
けれど、奇跡の様な同期5人にめぐり合い、
学生時代から続く(初カレの?)だんな様と結ばれる。
また画の上手な娘さんにも恵まれ、しかし遊びは一切自粛しない。
著者はごく普通に青春を謳歌(≠復讐)しているのではないでしょうか。
ありきたりだけれど、年齢なんて関係ないですよね。
青春って常にこの瞬間のコトだと思います。

因みに?個性豊かな同期の中で、
個人的には橋本さんに一番のシンパシーみたいなモノを感じました。
「はぐれ刑事便乗派」の片割れであり、
良かれと思って買ったカツを一人で食べる(責任を負うとも言う^^)。
イメージは「うっかり八兵衛」だけれど(←失礼でスミマセン)
なんだか気になるんですよね。
ただ靴下がアベコベだったりするのは、
僕と同じ眼の先天的疾患の可能性もあります(女性だから大丈夫?)
ポリコレが何かと話題の現代では、触れないほうが良いのかも?

最後に友人の紛失物を探すコトについて。
作中、サンドスキーに出かけた砂丘において、
同期(友人)の矢田さんが財布を失くしてしまいました。
結局、著者を除くみんなで砂丘を捜索し、
奇跡的にも財布を見つけることが出来たのですが……。
詳細は本書をご確認していただくとして、
僕はちょっとだけ引っかかりを覚えてしまいました。
状況も彼女達にある信頼関係も何も知らない僕が、
意見を述べるつもりはありません。
ただ、著者と矢田さんの間にシコリみたいなモノが無ければよいな、
って思いました。

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米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件(上)(下)』読了

あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…
内容(「BOOK」データベースより)

スペシャル。

本書は〈小市民〉シリーズの第3弾(巴里

前作で袂を分かった小鳩君と小山内さんが、
それぞれ別の道から同じ事件の真相に迫る様子が描かれています。
佳作。

市内に発生する連続放火事件
犯人を追う船戸高校の新聞部
そして
「小市民」にはなれない二人

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
それは前作よりさらに踏み込んで、
ハッキリとミステリィであったこと。
もう少し言えば、メインプロットを前面に押し出した本格的な
(大げさに言えば重厚な)長編だったからです。
正直、ナイトキャップ程度の気軽さで臨んでいたので
少々あてが外れたのだけれど、翌朝の睡眠不足でさえ、
心地良く感じられました。

一方、充実したこのプロットを持ってしても、
上下に分冊するほどではなかったかも知れません。
シリーズモノだし、キャラモノの強みで緩衝されていたけれど、
それでも中弛みを感じる瞬間はありました。
これは個人的な意見だけれど、ページ(文字)数を 30% ほど削り、
およそ350ページで一冊にした方が良かったのではないでしょうか。

とは言え、割と好きな〈小市民〉シリーズの中にあっても、
個人的には本作が一番良かったです。
いきなりコレを勧めることは出来ないけれど(1作目から順番に読んで欲しい)、
シリーズ唯一の長編(上下分冊)が労力?に見合う佳作であること。
控えめに保証いたします。

蛇足でスペシャルについて。
前作(夏限定)で薄々感じていたのだけれど、
本作ではさらに “日常系” から大きく逸脱していました。
明らかな犯罪があるし、被害もある。
小鳩君と小山内さんだって、全然「小市民」ではないですしね。
それがラノベのトレンドなのかは判らないけれど
(いわゆる「なろう系」がそうなのかしら?)
本作は

スペシャルな人達が
スペシャルな能力で
スペシャルな事件を解決する

ごく普通のフィクション、御伽噺だった様に感じます。
(当然それが悪いとは言ってませんよ?)
ただ小鳩君と小山内さんが

一年かかって、やっとぐるっとひとまわり(本文より)

して辿り着いたモノ。
自分だけのスペシャルなパートナがいる喜びみたいなモノは、
本物の小市民である僕にだって判る様な気がします。

体温が上がるよ(本文より)

それは幾つになっても、何回経験しても、そして小市民でも。
きっと変わらないと思います。

おまけ:
BGM はゴーバンズの『スペシャル・ボーイフレンド』。
残念ながら音源を持っていないのだけれど(なので画像は無し)、
小鳩君と小山内さんを想う時、僕はこの曲が頭の中で流れました。
気が向いたら歌詞をご確認ください。
男女を問わず、身に覚えがある方は多いのではないでしょうか。

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米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』読了

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”
内容(「BOOK」データベースより)

ちょっと怖い。

本書は〈小市民〉シリーズの第2弾(巴里
「小市民」を目指す高校生コンビが
“日常” を大きく逸脱した犯罪に関わっていました。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
前回の春限定で青春モノとして挑む……としたけれど、
本作は二転三転と攻守が変わり、かつ伏線と回収も多数ある。
明らかにミステリィ成分が濃いんですよね。
その分、ホンワカと言うか、
日常系に期待する温かなモノは乏しかったと思います。
個人的に “ビター” は著者の代名詞だと思うのだけれど、
想像以上の苦さに驚いてしまいました。

ここからは一言感想を。

『まるで綿菓子のよう』
狐の面って、ちょっと雰囲気がありますよね。
僕の好きなとある演読ユニットのギタリストを想いました。

『シャルロットだけはぼくのもの』
シャルロットが想像もつかず、画像をググりました。
結果、小鳩君の気持ちが手に取るように判る気が(笑)

『シェイク・ハーフ』
ロッカーな小山内さん。そんなの可愛いに決まっています。

『激辛大盛』
タンメンと聞くと激辛ではなく、
アッサリ塩味のそれが頭に浮かびます。

『おいで、キャンディーをあげる』
りんごあめにはルーレットがあって欲しいな。
僕は屋台で三本を当てたコトがあります(エッヘン)

『スイート・メモリー』
全然、甘くない。むしろ粘度のある苦味が口中に残りました。
別件で、僕ならそのでっかいパフェを余裕で食べられると思います。

以上、本書は小鳩君と小山内さんがそれぞれに淫するモノ。
彼等の変えたくても変えられない本質(性質)が描かれていました。
その結果、僕はこう思ったんですよね。小鳩君も小山内さんも

ちょっと怖いな

って。
その理由は二人の共感性の乏しさ。
僕は共感をそれほど重要視しないのだけれど、
それでも彼等のこの資質には

何をするか判らない

そんな、予想が出来ない怖さみたいなモノを感じてしまいました。
僕が彼等と知り合いなら、同級生なら、
きっと挨拶以上の関係を巧妙に避けるでしょう。
少し寂しいけれど、それが Win-Win って奴だと思います。

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米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』読了

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
内容(「BOOK」データベースより)

道のりは長い。

本書は〈小市民〉シリーズの第1弾(巴里
「小市民」を目指す高校生コンビが
意に反して遭遇してしまった出来事が描かれています。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
日常系に相応しく、決して刺激的な味わいではないのだけれど、
著者一流のビターな隠し味?が印象的。
正直、もう少しミステリィ風味(が強いことを)を期待したのだけれど、
ミステリィも隠し味と割り切れば、これはこれで悪くありません。
うん、全然悪くない(笑)

ここからは一言感想を。

『羊の着ぐるみ』
行いの善悪を抜きにすれば、
ここまで大事になってしまった犯人に同情を。

『For your eyes only』
勝部先輩は大浜先輩を普通以上好き未満だった。
甘党(僕)はそう予想したい。

『おいしいココアの作り方』
IMG_20200622_110203.jpg
で、作ってみました。
健吾君、役立つ情報をありがとう。

『はらふくるるわざ』
ミルフィーユの食べ方に眼からウロコ。
でもこれって、僕の大好きなミルクレープにも通用するのかな?

『孤狼の心』
最後にずーっと気になっていた “尼そぎ” をググってみました。
うーん、小佐内さんのイメージが……。

以上、本書は小市民を目指す小鳩君と小山内さんの
長ーーーい道のりを予感させる一冊。
ある意味でシリーズの幕開けに相応しい作品です。
ただ本書を踏まえ、次作以降はミステリィではなく、
青春モノとして挑みたいと思います。

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長岡弘樹『緋色の残響』読了

刑事であった夫が殉職後、強行犯係の刑事として、また一人娘の母親として日々を過ごす羽角啓子。中学生の娘・菜月の将来の夢は、新聞記者になることだ。菜月もかつて通っていたピアノ教室で、生徒がレッスンの休憩中に急死した。死因は食物アレルギー。不慮の事故と思われたが、犯人の存在が浮上する。菜月のある行動が導いた真実だった―。表題作「緋色の残響」、『推理小説年鑑ザ・ベストミステリーズ2019』に選出!
内容(「BOOK」データベースより)

狐の子は面白(つらじろ)

本書は刑事の母と新聞記者を夢見る娘を描いた5つの短編集。
『長岡弘樹』一流の「はやい、短い、オチがある」を堪能しました。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
それは親子の姿に(著者にしてはやや珍しい?)温かみがあったから。
ただし徹頭徹尾『長岡弘樹』なのでリアリティはほとんどなく、
ストーリーも人物描写もオマケ程度でしかない。
つまりいつものワントリック勝負に変わりはありません。
そこが評価の分かれ目だと思いますが、
本書を手にするファンなら、そんなのは承知の上ですよね?
むしろそれが望みと存じます(笑)

ここからは一言感想を。

『黒い遺品』
モンタージュ写真が廃れたコト、知りませんでした。

『翳った水槽』
ひぇ~、メダカってそうだったの?
今度ペットショップで試してみたいな。

『緋色の残響』
啓子の嫉妬と満足に納得。
でも満足に天秤が傾いていることも、僕はお見通し(笑)

『暗い聖域』
これの入ったヨーグルトが好きなのですが……。
まっ、僕は男だから大丈夫か。

『無色のサファイア』
啓子には「狐の子は面白」の言葉を贈りたい。
将来が楽しみですね。

以上、本書は痛ましい殺人事件等にあっても、
羽角親娘の姿が読者(僕)の救いとなっていました。
母娘モノとは言っても「毒親」のそれとは正反対なので、
男性の方にも安心してお勧めです。

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湊かなえ『カケラ』読了

美容クリニックに勤める医師の久乃は、ある日、故郷の同級生・八重子の娘が亡くなったことを知る。母の作るドーナツが大好物で、性格の明るい人気者だったという少女に何が起きたのか―。“美容整形”をテーマに、容姿をめぐる固定観念をあぶりだす心理ミステリ長編!
内容(「BOOK」データベースより)

気持ち悪い。

本書は少女の自殺の謎に迫る長編ミステリィ。
外見に捉われ、内面を損なってしまう女性心理が描かれていました。

肥満がトラウマだった母
肥満が誇りだった娘
そして
誰もが羨む美貌の女性医師

内容はバッサリ略で一言、良かったと思います。
それは多くの方が『湊かなえ』をイメージして、
筆頭に浮かぶであろう世界(物語)が十全にあったから。

各章につき一人の独白。
その独白によって浮かび上がる中心人物。
最後まで晴れない鬱憤。

本書は完璧な『湊かなえ』だし、完璧な『湊かなえのイヤミス』。
なので作品自体には文句の付けようが無いのだけれど、
僕が感じたのは、ただただ

気持ち悪い

でした。
これは映画・エヴァンゲリオンの有名な台詞なんだけれど、
読書中、この場面が頭に浮かんだ以降は、
“イヤ” と言うより、ただただ “気持ち悪い” が強くなるばかり。
因みにラスト(エピローグ)で、とある独白者がこの事件を
(箴言みたいに)綺麗にまとめているのだけれど、
この戯言が僕にとっては一番の “気持ち悪い” でした。

以上、本書は僕の好きな『湊かなえ』であり、
僕の苦手な女性作家のテンプレートでもありました。
これ以上は控えるけれど、
きっと男性より女性の方に支持される作品だと思います。

蛇足でドーナッツについて。
それは作品のキーアイテムとして使われていたのですが……。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕は作品とは全く関係ないところで、

ドーナッツって依存症になる(可能性がある)

と感じながらの読書となりました。
これはどこかのエントリで何回か書いていると思いますが、
僕は元彼女がいつもお土産で買ってきてくれた
コッペパン屋の「揚げシナモン」が大好きで。
いつも違う種類のパンを三つ買ってもらっていたのだけれど、
必ず「揚げシナモン」だけは外さないでとお願いするほど好きでした。
そんな実体験?から、
僕は砂糖と油のコラボレーション(つまりドーナッツ)って、

ヤバイな。

って、感じる様になったんですよね。
「ヤバイ」だなんて、貧しい語彙で恥ずかしいのだけれど、
それでも僕の気持ちを顕すのに一番近いのかな?って感じます。
あの最初の一口の

頭にガツーーーーンと響く甘さ。
瞳孔がパックリと開いてしまう甘さ。
そして
心が潤うと錯覚してしまう甘さ……。

ドーナッツの美味しさの秘密?は
中毒を、依存症を招きかねないその甘さ、ヤバさにある。
そう感じています。

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馳星周『少年と犬』読了

家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。
内容(「BOOK」データベースより)

死と孤独。

本書は無類の愛犬家『馳星周』による連作短編集。
人と犬の間で共振するナニかに、
いつしか僕まで震えてしまいました。
佳作。

日本を横断する気高き犬
旅の途中でめぐり合う人々の陰鬱な現実
そして
旅の終わりで生まれたもう一つの希望

内容はバッサリ略で一言、とても良かったです。
それは人と犬の美しい絆……と言った、
綺麗ごとだけでは終わらなかったから。
勿論、両者に間には友情に似たモノが結ばれるし、
お互いを温めていた。実際的にも助けあっていますしね。
そこは愛のある普通の愛犬モノと変わりません。
けれど本作の主人公の犬・多聞が旅の途中でめぐり合う人々には
それぞれの(悲惨な)事情があり、丸く収まるコトもない。
本作はどこまで行っても、現実的なんですよね。
それは多聞の行動原理でさえ例外ではなく、
彼はある意味で純粋だし、そして冷徹でした。
ラストはありがちだけれど、失われてもなお消えない絆に、
汚れた僕の何かが洗われる様な気がしました。

以下は個人的な意見なのだけれど、
『馳星周』のノワールやエッセイを 100 とすると、
山は 80(たまに 100)、犬は 60 が精々でしょう。
しかし本作はそのイメージを覆してくれたんですよね。
本作も『馳星周』の最高傑作ではないと(強く)思うのだけれど、
それでも犬の中ではダントツで一番です。
本作は『馳星周』のファンに限らず、どなた様にもお勧めです。

蛇足で直木賞について。
この駄文を書いているのは 2020/6/16 なのですが、
先日、本作が第163回直木賞(2020年上期)の候補になったと
ニュースがありました(選考会は来月15日)。
で、僕は以前、同じく直木賞候補となった『アンタッチャブル』で

これじゃあない(当ブログより)

としたのだけれど、本作について言うなら

順当

と考えます。
正直、著者の過去の直木賞候補7作(7作!)では真ん中以下ですが、
それでもこのクオリティなら受賞しないほうが不思議です。
なのでちょっと気が早いけれど、
多分著作を全て拝読している大ファン(僕)から一言だけ。

馳さん、第163回直木賞受賞をおめでとうございます!

※ 言霊(ことだま)って、実はちょっと信じています(笑)

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横関大『誘拐屋のエチケット』読了

SNS炎上、不倫スキャンダル、借金まみれ。人生崖っぷちの人々を攫って匿って問題解決!それが、誘拐屋。腕利きの誘拐屋・田村健一は、ある日、新人誘拐屋の根本翼とコンビを組むことになる。あまりにもお節介な翼は、自らが誘拐した人物の人生相談に乗ってしまう。淡々と仕事を全うしたい田村の抵抗もむなしく、いつの間にか2人は関係のないトラブルに巻き込まれていく。だがすべての出来事は、実は田村の秘めた過去につながっており…。
内容(「BOOK」データベースより)

美味しいところだけ集めました。

本書は腕利きの誘拐屋が活躍する7つの連作短編集。
犯罪にあるスリリング……とは異なり、
むしろ心が温まる話が中心でした。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
それはひとえにラストが良かったから。
正直、本作にある筋も仕掛けもイチイチが全部、
どこかでみたコトがある様なモノ。
なので途中は眼が滑ったのですが、
最後まで投げ出さないで、それは報われました。

ここからは一言感想を。

『女の話は信用しない』
男の話も信用してはいけません。

『たまには音楽を聴く』
江口の離婚の成否が気になります(両方面から)。

『ボランティアなどやらない』
僕もネットショップの履歴はみられたくないなぁ。

『贔屓の力士を応援する』
牛丼の並盛10杯より、生卵10個の方がびっくり。

『飛んできたボールはよける』
8と言えばイニエスタより森島寛晃さん。

『コンプライアンスは基本守る』
最終確認、僕も僕一人でやりました。

『なるべ披露宴には行かない』
大団円。それまでの配役?がこう活きましたか!(ブラボ)
因みに僕は司会も余興も(おまけに新郎も)経験があるけれど、
司会が一番緊張したし、疲れました。

以上、本書はどこかで見た事があるような、
またその美味しいところだけを継ぎ接ぎしたような作品。
諸処にこだわらなければ、それなりに楽しめると思います。

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レンタルなんもしない人『レンタルなんもしない人の“もっと”なんもしなかった話』読了

今回も引き続きなんもしてません。亡くなったお祖父ちゃんの生家を一緒に探してほしい、惚気話を聞いてほしい、降りられない駅に行ってほしい、アンドロイドの練習に付き合ってほしい、呪いの人形と一晩過ごしてほしい、ヘルプマークを付けて外出するのに同行してほしい―2019年2月から2020年1月のドラマ化決定までの約1年間に起こった出来事を時系列で紹介。
内容(「BOOK」データベースより)

ビジネス。

本書は<レンタルなんもしない人>のノンフィクション・エッセイ。
著者に舞い込む様々な依頼を、無責任に楽しむことが出来ました。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
それは本書がシンプルな活動報告に徹していたから。
以前、『<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。  -スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと-』のエントリで、

もう余計な(失礼)著者の考察なんてバッサリカットして、
これらの事例を淡々と並べた方がずっと良かった気がします(当ブログより)

と記したのだけれど、それが実現(?)されていたんですよね。
それは Twitter や Instagram を一切やらず、
著者の活躍を本書ではじめて知る方(含む僕)には、
界隈の空気?も感じられる最適のファーマットだと確認できました。
反面、Twitter で著者をファローされている方には、
新しい情報がかなり少ないかも知れません。念のため、ご注意を。

個々の依頼については面白く拝見しました。
驚いたし、不思議だし、さもありなんだし。
それでも、深掘りなんて全く無いし、あくまでも表面だけです。
それが物足りなく感じる方もいるかもしれないけれど、
あくまで Twitter を舞台にしたお話ですからね。
むしろ、これぐらいの “浅さ” が心地良く感じました。

一方で著者のパーソナルや、
ご家庭の事情にはほとんど興味が沸かなくて。
また子育てに対する発言等で炎上?もあった様子ですが、
コチラもどうでも良い話だと感じました。
それはサービスの有料化についても同じこと。
僕は特に何とも思わなかったんですよね。
それ以前だって無料(交通費と実費のみ)と言う体(てい)の、
ごく普通のビジネス。利益が無くてやっている訳がありません。
そんなの当たり前ではないでしょうか。

以上、本書は普段、著者をファローされていない方にこそお勧め。
Twitter にある、適度な無責任と無関心でも楽しめる、
割りと貴重な一冊だと思います。

蛇足で僕の一番好きな依頼について。
それは恋人の惚気報告を聞いてくれ!と言う依頼なのですが……。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
この恋人のイチイチが本当に可愛いんですよね。
アニメやマンガの世界にしかいない様な個性だと思うのだけれど、
実際にこんな人が恋人だったら、誰だって(僕だって)
自慢したくなると思います。

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角田光代『晴れの日散歩』読了

京都の卵サンドのおいしさに震え、ドラマロスになり、レモンサワーをこよなく愛す。年を重ねても変わらない、角田光代のかけがえのない日常。オレンジページ人気エッセイ第四弾!
内容(「BOOK」データベースより)

猫と食べ物。

本書は雑誌「オレンジページ」で連載された散歩シリーズ第4弾。
最初から最後までノホホンとした空気にあふれており、
僕ものんびりとした気分になりました。

秋田の魔法の調味料 「万能という恐怖」
結局はギャップ 「萌えポイント」
実は僕もそうです 「写真欲の変化」

内容はバッサリ略で一言、明日にでも忘れちゃう内容です。
でもそれが悪くないんですよね。うん。ちっとも悪くない(笑)

今回もあとがきに「どうでもよいエッセイ」と著者の弁があります。
でもだからって僕が「どうでもよい」と言うのは憚られるけれど、
それでも気の置けない友達が、隣でマンガを読みながら、
ゲームをしながら、ぶつぶつ独り言を呟いている。
それを僕も別な何かをしながら、聞くともなしに耳を傾けている。
そんな安心感みたいなモノがあるんですよね。
で、どきどき友人の独り言にツッコミを入れたり、
一緒に笑っちゃったりして(笑)
そんな溜まり場の友人の部屋にいるような居心地の良さがありました。

少しだけ補足すると本書は「食」、「私」、「世間」、「暮らし」
と四章に分かれてはいます。けれど全体を通してみれば
猫と食事の割合が非常に多くあった様に感じました。
結局、「どうでもよいエッセイ」って、
無意識?のウチに自分の好きなモノが多くなるのでしょうね?
角田さんと比べるのは恐れ多いけれど、
どこかのブログも(その傾向が)どこか似ているような(笑)

蛇足で本物の食材について。
それは「本物に出会う」の一編にあったのですが、
角田さんは以前なら「もずく」はどうでもよい食べ物だったそうです。
しかし沖縄で「本物のもずく」を食べた以降は
(非常に美味しかったそうです)、
例えば東京の居酒屋のお通しで出される「もずく」であっても
寛容に、美味しくいただけるようになったとありました。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕は角田さんのこの発見にちょっと驚いてしまいました。
実は「本当??」ってツッコミ半分が正直なところだけれど、
残り半分は「もしかして??」って気持ちも無くはなくて。
例えば温めた乳製品の匂いが苦手な僕でも、
「本物」のチーズを使ったフォンデュなら美味しくいただけるのかしら?
そしてそれ以降はパスタにかける粉チーズにだって、
僕は寛容になれると……。
うーーーん、やっぱり「本当??」ってツッコミたいかも(笑)

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫19歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒5歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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