【漫画】田村由美『7SEEDS(全35巻 + 外伝1巻)』読了

ごちそうを食べて自分の部屋で寝たはず…だが目覚めると、ナツは荒れ狂う海の上にいた。どうして自分がここにいるのかわからない。やがて流れ着いた無人島。生きるための過酷な冒険が始まった!!
内容(出版社内容紹介より)

生きろ。

本書は近未来を舞台としたサバイバル・コミック。
過酷な世界にあって最も厄介だったのは、人の心でした。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、はぁ~面白かった(ため息)。
それは多くあるのですが、
たとえば過(あやま)ちはキチンと過ちとして扱っており、
安易に美談にはしなかったから。

中には最後まで赦されないモノもありました。

痛みや哀しみ。そして恐怖。

それらは被害者が赦さなくてはいけないモノではないし、
また(赦しを)強要されるべきモノでもない。
ネタバレは避けるけれど、外伝で花が安居に伝えた素直な気持ちに、
外野がとやかく言うべきではない。僕はそう感じました。

多くの印象的な場面がありました。
それは歓びや、愛情、新たな出会いや発見にもあったのだけれど、

新巻と吹雪に美鶴さん(共に犬)
源五郎と我が子の様に可愛がっていた端午(虎)
安居と、安居と対等になれない茂

等々、個人的には別れのシーンに多かったです。

スミマセン、語りたいコトが山ほどありすぎて収集がつきません
(いつものコトですが、今回は特に)

なので最後に一つだけ。
それは漫画の、画(イラスト?)の凄まじさについてです。
本当はこれも非常に多くの場面にあったのだけれど、
特に小瑠璃が繭を失う場面です。
そこにあった彼女の慟哭を顕す画(具体的には8巻の130ページの1コマ目)に、
苦しくなってしまいました。息が出来なくなってしまいました。
あの1コマは今でも(目をつぶっても)鮮烈に思いだすコトが出来ます。
それぐらいに強烈でした。
僕は漫画に深くないので、浅い感想になってしまいますが、
漫画は、画は本当に凄まじいです。読者に伝える一発?の破壊力に、
もはやため息しか出なかったです。

以上、本書は近未来サバイバルでありジュブナイル。
善人も悪人も等しく血が通っており、
たとえ共感できない人物であったとしても、存在感とリアルを感じました。
どなた様にも自信を持ってお勧めなのですが、
漫画は……と食わず嫌いの人には特にお勧めしたい作品です。
どうか(漫画の)画だけが持つ破壊力に、木っ端微塵になって下さい。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】永田カビ『膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました。(全1巻)』読了

自分を大事にしたくて、お酒に頼るのやめました。
自分自身の行動と思考をつぶさに漫画にしてきた永田カビさんの最新作は、コロナ禍での飲酒・断酒を巡る日々について。
「人に認められる」=「お酒を飲んでいい」という脳内構図ができあがってしまった著者が、健康上の理由からアルコールを断つことになったのだが……
内容(出版社内容紹介より)

ひとりじゃない。

本書はアルコール依存症のある意味で名刺代わりの病名・膵炎。
その著者自身の闘病を赤裸々に描いたノンフィクション・コミック。
同病相憐れむを自覚しますが、僕の深いトコロに刺さりました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、読んで良かったです。
正直、著者がアルコール依存症に至る過程には
激しく同意出来るモノとそうでないモノがおよそ 1:1。
断酒後の精神的・身体的状況?症状?もほぼ同じ割りあいです。
なので同じアルコール依存症の僕でさえ、
100%の理解はできないのだけれど、そんなの当然ですよね。
人は皆それぞれなのだから。

アルコールで得られる肯定感
飲み続けないと耐えられない不安感
そして
アルコールを断っても消えない渇望感

本書のラストの時点で著者は一年の断酒継続をなされています。
巷間では断酒のメリットが喧伝されがちですが(←僕個人の感想です)、
著者はメリットと等分。いやそれ以上のデメリットも告白されています。
これが僕が本書を高く評価するポイントです(生意気でスミマセン)

前述の通り、一口にアルコール依存症と言っても、
100人いれば100通りの過程と苦しみがあります。
我田引水に言ってしまえばそれも僕達をアルコールへと導く理由。

俺のコトなんか誰にも判らない

になると思うんだけれど、これはまた別のお話……。

最後に。
この場を借りて仲間に伝えたいコト。
それは僕達は決して

ひとりじゃない。

ってコト。
軽率なコトは言えません。
繋がるコトもないかもしれません。
だから仲間が、口悪くいえば同類が居ないと思うかもしれません。
それでも皆さんは。僕達は

ひとりじゃない。

上手く言えないけれど、それだけは間違いないです。
僕が言えた台詞ではないのだけれど、著者の願いと同じく、
このコトだけはどうか皆様に伝わりますように。

以上、本書はアルコール依存症のひとつのケースを記した作品。
最新の学術や、医師の見識が記載さているアルコールに関する本。
カッコよい言葉で飾られた、どこか上から目線の断酒ハウツー本。
そんなモノより本書は何百倍も心に迫るし、
ここまで自分をさらけ出せた著者を心から尊敬します
(断酒例会においてさえ、本当の自分を語るのって実に難しいのです)。
もし僕が仲間たちへアルコール関係の本を紹介する機会があるのなら、
今なら本書を一番にあげる。そんな一冊です。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】阿部共実『ちーちゃんはちょっと足りない(全1巻)』読了

あれも欲しい、これも欲しい…。いつも何か物足りない気がする中2女子、ちーちゃんとナツ。少し不満で平凡な毎日は、ある事件をきっかけに揺らぎ始めて?
内容(出版社内容紹介より)

どうしようもない。

本書は宝島社『このマンガがすごい!』2015年版オンナ編の
第1位となった作品。
おおげさに言えば、少女たちの “人生” みたいなモノがありました。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、強く印象に残りました。
正直、鬱な話だし、ある意味では救いが一切ない。
それを

どうしようもない

と言ってしまえばそれまでなんだけれど、
例えば「たりないコト」を知ってしまったナツちゃんにとって、
とても残酷な話だと感じました。
勿論、彼女のとある行動を肯定はしませんよ?
けれど、僕は彼女を否定するコトも出来ませんでした。

それにしても「足りる」って一体なんなんですかね。
ちーちゃんは頭がちょっと足りないし、
ナツは(酷だけれど)我慢がちょっと足りなかった。
そもそも二人の根底にはお金が足りない、があって(ハッキリ言えば貧乏)、
貧富を背景にしたスクール・カーストみないなモノが毅然とある。
それはもうどうしようもないのだけれど、だからと言って

現実を理解した方が良いのか(ナツちゃん)、
理解しない方が良いのか(ちーちゃん)。

僕はこの歳になっても、その答えが判りません。

ただ、僕はちーちゃんが大好きだし、優秀な旭にも好感を覚える。
一方で僕はあきらかにナツちゃんなんですよね。
だからと言って許されないコトは断固としてあったし、
ラストの未来も色々なモノを失われ続けて行くであろうナツちゃん
(と僕は解釈しました)にも納得です。
それでも繰り返しになりますが、僕はナツちゃんなんです。
それは好きや嫌い、許すや許さない。
もっと言えば良いか悪いかでもなく。
何度考えても、そしてどうしよもなく、僕はナツちゃんでした。

以上、本書は少女の欲望や苦悩。そして無知の功罪を描いた一冊。
欝な話ではあるので、人とタイミングを選ぶとは思いますが、
僕のある意味の “絶対” です。
お手にする機会があれば是非にどうぞ。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】椎名軽穂『君に届け(全30巻)』読了

陰気な見た目のせいで怖がられたり謝られたりしちゃう爽子。爽子に分けへだてなく接してくれる風早に憧れている。風早の言葉をきっかけに変わっていけるみたい…。夏休み前、爽子は肝試しでお化け役をやることに!?
内容(出版社内容紹介より)

届いています。

本書は陰キャ(とみられている)爽子を中心とした青春物語。
柱である恋愛も非常に印象的なのですが、
それ以上に僕は『友情』にこそ、胸を打たれました。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、はぁ~良かった。
正直、50過ぎのオッサンが読んではいけない作品だと思います。
少女漫画だし、眩しすぎる青春モノだし。
それでも本作は老いてすり減ってしまった僕の感性さえも動かし、
言葉に出来ない大きな感動を与えてくれました。

純粋で真面目。人の気持ちになって行動ができる爽子。
恋愛経験豊富なギャル。でも気持ちの綺麗なあやね。
がさつだけど涙もろい感動屋。気持ちの真っすぐなちづ。

風早や龍。ケントにピンと言った男性陣も最高に格好良いです。
けれど、上記三人娘にはやはり敵いんですよね(個人的感想です)。
彼女らの恋に勉強に一所懸命なトコロ。
そして自分のコトより、友達を想って泣いたり笑ったりする姿に、
心の震えが止まらなかったです。

作中には多くの恋があったし、いくつかの失恋もありました。
なので語りたいコトは沢山あるのですが、ココではひとつだけ。
それはあやねの届かなかった恋についてです。
あやねは恋多き女の子ですが、
はじめて本気になった相手は先生(ピン)でした。
結局、彼女の恋は成就しないのだけれど、僕はこう感じたんですよね。

あやねちゃん。ちゃんと届いたよ、って。

恋愛には立場があり、タイミングがあり、相手にも心がある。
だから “恋” がいつも届くとは限らないのだけれど、
その “想い” は絶対に届いています。絶対にです。
今回はあやねにとって辛い恋になってしまったけれど、
この経験が彼女をさらに素敵な女性にするでしょう。
誤解を恐れずに言えば、僕はそれを知っています。

以上、本書は高校生達の青春物語。
オッサン(僕)が本作(少女漫画)を、開き直って言っちゃえば、
最高に爽やかで、清々しい気分にさせてくれる作品です。
老若男女問わず(←ココを強調)、どなた様にも自信を持ってお勧め。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】 穂積『式の前日』読了

“ふたりきり”の情景を紡いだ感動短編6篇
双子の兄弟、ワケありの親子、結婚をひかえた男と女…。“ふたりきり”という情景を温かく、鮮やかに切り取った珠玉の短編よみきり集。新進気鋭の著者・穂積のデビューコミックスにて最高傑作。
内容紹介(出版社内容紹介より)

幸せは義務だ。

本書は親子や兄弟姉妹等の関係を描いた短編集。
愛する人の人生のイベントによって、
様々な心のさざなみが立つ様子がありました。
秀作。

ここからは一言感想を。

『式の前日』
もう、一編目から駄目でした。姉弟の絆が素敵すぎる。
今日、二人で歩くヴァージン・ロード。彼等の喜びと寂しさを想います。

『あずさ2号で再会』
一年に一度しか会えない父と娘のお話。もう、僕を殺す気か。
お母さん。さいごまでお父さんを愛していたと予想。
別れは離婚じゃないと確信します。

『モノクロ兄弟』
僕の実弟も双子(男*男)です。
だからかな?二人の主人公の葛藤?みたいなモノを想像してしまいました。
僕は実弟達の14歳までしか知らないけれど、
当時は(現在の様に)こんなに仲が悪くなるとは想像も出来ませんでした。

『夢見るかかし<前編>』
『夢見るかかし<後編>』
二人だけ家族の兄妹。
兄は妹のどんなに我がままな願いでも最後には叶えてあげちゃうし、
いつでも彼女の幸せを一番に願っちゃう。
でもこれって、他人にから引かれるほどシスコンになっちゃうの?

『10月の箱庭』
愛して貰ったんですね。哀しい結末だけれど、お互いに良かったね。

『それから』
第一話『式の前日』の後日譚。
猫じゃないけれど、僕も心配したじゃないか!(怒)
でも、本当におめでとう。良かったね?弟さんじゃなくて、叔父さん(笑)

蛇足です。
前述と重なりますが、僕には弟(二人)がいるだけで、姉も妹もいません。
なので、大概において兄妹・姉弟とは

こんなに素敵なのか。こんなに切ないのか。こんなに愛おしいのか。

そんな風に感動してしまうコトが多いのだけれど、
僕には兄妹・姉弟のホントウのトコロは理解出来ないのだと自覚しています。
勿論、個々で事情は全く違うとは思いますが、
兄妹・姉弟の関係は、僕にとってはちょっとした(永遠に解けない)リドルです。


最後になってしまいましたが、本書は客観的に言っても秀作です。
はじめてタブレットで漫画を読んだのだけれど、それでも没頭できました。
(てか、没頭し過ぎました)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】 萩尾望都『11人いる!』読了

宇宙大学受験会場、最終テストは外部との接触を絶たれた宇宙船白号で53日間生きのびること。1チームは10人。だが、宇宙船には11人いた! さまざまな星系からそれぞれの文化を背負ってやってきた受験生をあいつぐトラブルが襲う。疑心暗鬼のなかでの反目と友情。11人は果たして合格できるのか? 萩尾望都のSF代表作。
内容(出版社からのコメントより)

ギブアップする勇気。

本書は『萩尾望都』による SFミステリィ。
短い話の中に凝縮されたクルーの心の移ろいがありました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、流石の一言です。
僕は『萩尾望都』を最近知った(教えてもらった)のだけれど、
彼女の先進性と、緻密な計算には驚かされるばかりです。

大学入学試験で生じた?トラブル
衝突しながらも絆を深めて行く仲間達
そして
止められなかった死に至るウィルス

正直、似ている話はいくつも知っている様な気がします。
ただ、本作の発表は 1975年であり、僕の知っている?それらは
『萩尾望都』のオマージュかも?と感じました。
一方で、彼女の作品は情報量が他の追随を許しません。
勿論、空白もありますよ?
でも、それこそが彼女が読者に求める、ある種のふるいとさえ感じました
(怖ろしい)

ラストは一応のハッピーエンド。
しかし、僕はとある二人の未来よりも、
みんなが普通にギブアップ・ボタンを押したことに胸を打たれたんですよね。
勿論、彼等が極限の環境下にひれ伏したのではなく、
仲間の為に(自分の将来を犠牲にしてでも)躊躇なくボタンを押したこと。
彼等の勇気をなんとしましょうか。

以上、本書は SFミステリィの嚆矢となる作品。
時代に関係なく、傑作は常に傑作であり続けるコト。
改めて教えてもらいました。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】 吉田秋生『夢みる頃をすぎても』読了

十代の楽園を描く吉田秋生青春コレクション
進学校をドロップ・アウト、転校先の三流校には風変わりな幼馴染みと個性あふれる友との出会いが待っていた。失恋、友情、初体験……。楽園のまん中から外の世界へ歩き出す10代の終りの微妙な季節を描いた黄菜子・恭一シリーズをはじめ、高校野球少年の熱血「最後の夏」など、太陽がまぶしい生成堂々の青春期全8篇。
内容紹介(出版社内容紹介より)

後悔以上、嫉妬未満。

本書は80年代の青春を描いた作品。
イケイケだったバブル真っ最中のご時世にも、
現代と一寸も変わらない青年たちの苦悩がありました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、とても良かったです。
それは夢から覚めた後でしか気付けないモノがあったから。

進学校からの落ちこぼれ
幼馴染や初恋?との再会
そして
否応なく大人の世界へ

正直、彼等と同世代(80年代が青春)の僕には、
「あった、あった」とか「そう、そう!」
みたいな共感が多くあったけれど、些かの古臭さも感じたかな?
下駄だし、US・LEEだし、ラリー・カールトンだし。
それでも、時代を超えても変わらない青春の眩しさがあり、
きっと男女でも変わらないであろう青春の苦悩がありました。

僕がオッサンになって(他人やアートの)青春に触れる度に覚える感傷は、
きっと後悔以上、嫉妬未満のナニかだろうな、って思っています。
それでも、どんなに「夢みる頃をすぎても」、
人生は夢から覚めた後の方が長いし、あの頃には二度と戻れない。
例え彼等に嫉妬を覚えたとしても、
僕は僕でなんとかやって行くしかないんですよね。
それはそれで割とシンドイから、
偶には夢を思い出すコト(たとえば本作の様な良質の作品に触れるコト)。
いくつになっても自分に許したいです。

蛇足で辻堂について。
上記で当時を懐かしむ例として幾つかをあげました
(US・LEEとかマクレガーのダウンジャケットとか)。
けれど、個人的に辻堂だけは別です。
そりゃあ、サーフボードを担いで電車で通うイモ(失礼で本当にスミマセン)
は論外だけれど、あの頃、辻堂東海岸で一人暮らししていた僕にとって、
かの地は、あの海は。
離れてしまった現在でも僕の進行形です。

おまけ:
夢見る頃を過ぎても

BGM: ZIGGY / 夢見る頃を過ぎても

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】 よしながふみ『大奥(全19巻)』読了

男子のみを襲う謎の疫病が国中に流行り、男子の数が激減。男女の立場が逆転した世界に生まれた貧乏旗本の水野は、大奥へ奉公することを決意する。女性の将軍に仕える美男三千人が集められた女人禁制の場所・大奥で巻き起こる事件とは…!?
内容紹介(出版社内容紹介より)

変らない。

本書は疫病により男子 “だけ” が減った江戸時代の if を描いた作品。
徳川将軍を中心に、男女の優劣を語る愚かしさがありました。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、感動しました。
それは例え男女の役割がひっくり返ったとしても、
結局、人は(良い意味でも悪い意味でも)変わらないとあったから。

クロニクル(≒何代も続く物語)なので
主題は沢山あったし、一つには絞れません。
それでも僕が一番印象的だったのは『血の繋がり』です。
例えば、作品を通して血の繋がりは次期将軍選定の最重要事項。
けれど、十四代将軍・家茂は

人の親になるのに
その子の父と母でなくてはならない訳では
決してない(本文より)

って、述懐しました。あぁ~、もう、もう……。
僕は家茂の意見に 1000% 賛成するし、恥ずかしいのだけれど、
彼女の言に、こみ上げるモノを止められませんでした。

また、本作は史実におおよそ添っています。
なので、徳川の衰退が覆ることはありませんが、
それはある意味で当然だったと思います。
結局、男女の性の違いぐらいでは、世のあり様はほとんど変わらない。
もう少し言えば、男女の役割が逆転しても
(男女共に)不満の数も、幸せの数も、そんなに変わらない。
批判を承知しますが、本作に触れて、そう感じるコトが出来ました。

以上、本作には語りたいことが山盛りあるのだけれど、
一言で言ってしまえば傑作です(キッパリ)。
僕の “絶対” がまた一つが増えました。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】 萩尾望都『ポーの一族(全3巻)』読了

青い霧に閉ざされたバラ咲く村にバンパネラの一族が住んでいる。血とバラのエッセンス、そして愛する人間をひそかに仲間に加えながら、彼らは永遠の時を生きるのだ。その一族にエドガーとメリーベルという兄妹がいた。19世紀のある日、2人はアランという名の少年に出会う…。 時を超えて語り継がれるバンパネラたちの美しき伝説。少女まんが史上に燦然と輝く歴史的超名作。
内容紹介(出版社内容紹介より)

孤独。

本書は永遠の時間を生きる吸血鬼(バンパネラ)の物語。
死にある “喪失” と、死ねない “残酷” みたいなモノがありました。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、凄かったです。
それはストーリィの濃密さ、画の緻密さ。
乱暴に言えば、情報量の多さに圧倒されたから。

18世紀から20世紀、西洋の貴族階級
与えられた永遠と、失った最愛の妹
そして
エドガーとエヴァンズ家

冒頭にメリーベル(及びフランクやシーラ)の死が描かれており、
物語を通してエドガーの永遠の “孤独” がテーマのひとつだったと思います。

歳をとらないから(人間の)友人は持てない
疑いを避けるため、一つの土地には留まれない
そして
(逆説的に)生きるため、過去を消さなくてはならない

さらに、早い段階でエドガーはアランと言う親友(?)を得るのだけれど、
最終話で彼さえも失ってしまいました……。

唐突になってしまうけれど、やっぱり「死」は一種の救済なんだって。
本書に触れて改めてそう感じてしまいました。
なので(僕は)エドガーにシンパシーを感じるし、
彼が逝ったりしちゃったら絶対に嫌なのだけれど、
物語の外で、彼がひっそり自分を終わらせるコトが出来たなら……。
そんな想像もしてしまいました。

以上、本書は永遠の孤独を描いたファンタジィ。
従前に不朽の名作だと聞いていましたが、
聞いていたそれの10倍は圧倒されました。
どなた様にも自信を持ってお勧めです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

【漫画】 吉田秋生『海街diary(全9巻)』読了

男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報(ふほう)が届いた。母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉(かまくら)を舞台に家族の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!
内容紹介(出版社内容紹介より)

だから言ったでしょう?

本書は鎌倉を舞台に、4姉妹の徒然を記した作品。
おおげさに言えば『人生』そのモノがありました。
秀作。

内容はバッサリ略で一言、心の底から良かったです。
それは綺麗事も、汚いコトも。優しいトコロも、どうしようもない現実も。
等分に描かれていたから。

正直、裕也君が右足を失った 1巻の後半で一度挫折しました。

あぁ~、うんうん。こう言う作品なんだね、って。

けれど、読み続けて行くうちに(語弊を恐れずに言えば)
裕也君の苦痛も、きっと世間ではそれ程珍しいコトではない。
そう感じるコトが出来ました
(裕也君、誤解を与えているのなら大変に申し訳ない)
そして

自分だけが不幸なのではない。

それは卑しくて、後ろ向きな考えなのだけれど、
僕は彼に背中を押してもらえた様な気がした。

また4姉妹のそれぞれがイチイチに魅力的です。
オッサン(僕)が若い女性を語るのは控えますが、
それでも長女・幸さんは素敵に過ぎました。
僕は強い、しなやかな女性が大好きです。

以上、本書は4姉妹のとある季節を切り取った作品。
最近、漫画に親しんでいるのですが、
漫画ってこんなに素晴らしい作品ばかりじゃないよね?って。
読んだ作品が傑作の連発なので、ちょっと疑っています(本気で)。

蛇足で家族について。
それは作品の根底の設定なのですが、
4女・すずだけは腹違いの妹です。
それでも、姉妹の絆に一点の綻びもありませんでした……。

って、ここからは自画自賛で恐縮なのですが、すずちゃん。
僕はずーっと前から言っていたでしょう?

血なんて関係ないって。

その点だけは貴方のコトを、
最初から何一つ心配していなかったですぞ?

※ 余計なお世話だけれど風太。彼女をよろしく頼む。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

Tag:漫画  Trackback:0 comment:0 

プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
月別アーカイブ
検索フォーム
FC2カウンター