窪美澄『ふがいない僕は空を見た』読了。

これって性欲?
でも、それだけじゃないはず。
高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、
頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。
団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…
16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、
彼らの生きかたまでも変えていく。
第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)

友人から借りました。
この本は今年の春に図書館に予約を入れたのですが、
結局順番が回る前に彼女から借りる事に。
早速、この本の予約は取り消し、
空いた一枠で別の本の予約を入れました^^(友人に感謝)。
さて、本作は僕の当初描いていたイメージとは全く違っていました。
所謂『セカイ系』というのでしょうか?
もっと青臭い青春小説と考えていましたが、
しかし本作は事前の想像以上にもっと深く、暗く、やるせなく。
けど、行間に垣間見える著者の主張には、
愚かであっても今を生きている登場人物達の『再生』に感じられ、
読了後は長く余韻を引きました。良作。
また本作は5編の連作短編となっていますが、
中でも『セイタカアワダチソウの空』が印象的。
『団地』で育った僕には、その空気のあまりのリアル感に
恐ろしさを覚える程でした。

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伊坂幸太郎『3652』読了。

喫茶店」で巻き起こる数々の奇跡、退職を決意したあの日のこと、
「青春」の部屋の直筆間取り図、デビュー前のふたりの恩人、
偏愛する本や映画に音楽、「干支」に怯える日々、恐るべき料理、
封印された「小説」のアイディア―
20世紀「最後」の「新人作家」が歩んできた10年。
内容(「BOOK」データベースより)

著者は最近で一番好きな作家。
そして僕はエッセイが好きなので、早速借りました。
で、結論。
うん。彼はエッセイストではない^^
本作で自身も小説とエッセイのテクニックは別物だと語っていますが、
本当にその通りだと思いました(嫌味ではないのですが、そう思われたら謝ります)。
けど、きっと短編を書くように練りに練ったと思われる一遍一遍は、
彼一流の計算された匂いが感じられ、彼のファンである僕にとって
本当に心地良いものでした。
コレクターアイテムとはまさしく本書を指すのではないでしょうか。

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雫井脩介『つばさものがたり』読了。

もっと我慢せず、自分のために生きればいい。
君川小麦は、26歳のパティシエール。
東京での修行を終え、ケーキショップを開くため故郷の北伊豆に帰ってきた。
しかし甥の叶夢には天使の友達「レイモンド」がいて「ここ、はやらないよ」と…。
そして小麦には家族にも明かせない秘密があった。
内容(「BOOK」データベースより抜粋)

アットホームな話が読みたくて、本作をリクエストしました。
結果は100%の満足ではなったのですが、
切なさが絶妙なスパイスとなって、印象的な作品となりました。

で、唐突ですが、僕は20代前半に花屋を真剣に目指した事があります。
けど、初期投資費用に家賃と維持費、新規参入への抵抗
そして冠婚葬祭(特に葬)との密接な関係。
はじめる前から怖気づいて諦めてしまいました。
夢と現実との乖離は、僕みたいな凡人には
それこそ「夢」さえ見させてくれない遥かな距離があるんですよね。
本作も甘い話ばかりではなく、辛い現実がいくつも提示されています。
けど、主人公を見る僕達にとってはファンタジーと家族愛と言う、
別の「夢」が描かれており、これこそが本作の主題ではないでしょうか。
少々拙いかな?と言う文章さえも、
この物語を温かくするオリーブオイルの優しさでした。

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三浦しをん『まほろ駅前番外地』読了。

第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。
多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が
主人公となるスピンアウトストーリーを収録。
内容(「BOOK」データベースより)

友人に借りてスッカリ嵌まってしまった前作の続編。
所謂外伝的な話になるのかもしれませんが、
こう言うキャラ立ちまくりの短編は、
前作を知る者に贈られる著者からの最高のプレゼント。
続編?の強みって正しくここにあり!って、感じで、
出てくるキャラクタは1行目から親近感がありまくりです。
そこを突いてくるところが、少々あざといのかも知れないけれど、
僕も存分に楽しませてもらいました。
中でも好きなのは『由良公は運が悪い』。
こう言う運の悪さは、主人公の由良公が思う通り、
幸運とも考えられるんですよね。

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本橋信宏『フルーツの夜』読了。

二十年ぶりに刑務所をでた共産主義者。
元・私鉄運転手のAV女優スカウトマン。刺激を求めて北朝鮮へとぶ劇団主宰者。
里帰りしたAV監督。どうにもならないほど重い過去をもつ不安神経症者。
そして、死体ビデオ撮影をはじめた友と、育児ジャンキーと化した妻と僕。
アンダーグラウンドにうごめく人々を優しく甘く哀しく描く、連作小説
内容(「BOOK」データベースより)

著者本人の手によるあとがきによると、
失われた10年と言われる90年代と重なる、自らの喪失時期をモチーフ(意訳)
と、ありました。
本作は上記の通り、ほぼ私小説である事を考えると、
退廃的で客観的な文章が、ある意味納得ですし、またある意味驚愕です。
決して書かれている内容の重さについてではありません。
当時の諦観漂う時代背景と、自身に纏わる描写の数々が
まるで白黒写真を通して見ているような、その視点が印象的なのです。
決して、ウエットでもドライでもない。
ただ、モノトーンだけが持つある種の情緒だけが僕には感じられました。
また、主人公(著者?)の薬物依存の状況は、
現在同じ薬を服用している僕にとって、大切な戒めとなりました。

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朱川湊人『わくらば日記』読了。

昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人。
ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。
それは、人であれ、物であれ、それらの記憶を読み取ってしまう力でした…。
不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、悲喜こもごもの人間模様。
現代人がいつの間にか忘れてしまった大切な何かが心に届く、心温まる連作短編集。
内容(「BOOK」データベースより)

著者の作品をはじめて読みました。
図書館で何気なく手をした本作の帯に(本に一部張り付いています)、
『心温まる…』とあったのが決め手です。
しかし、内容は悲惨な事件の数々を
大人が無理やり主人公の少女に(特殊能力を使って)見せる等、
僕にとっては感情移入の難しい作品でした。
折角、昭和三〇年代を知らない僕にでも、当時のノスタルジックを気分を味わえるなど、
散見される淡い描写の数々が印象的だっただけに、その点が少し残念。
ただ、スプートニク2号の犬に対する、
悲劇を見続けた主人公の心理描写には安堵しました。
最後は続編を伺わせる終わりかただったのが興味を引くと共に、
やや中途半端な感じもしました。

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劇団ひとり『晴天の霹靂』読了。

主人公は売れないマジシャン。
何をしてもうまくいかず、「普通」にすらなれないと腐る35歳。
しかし、彼が突如、現代から昭和48年へとタイムスリップしたことで
事態は大きく動き出す。

2時間も掛からずに読み終わりました。
けれど、その間は頭の回転が鈍くても、
スラスラとストーリーを拾えるし、夢中になれる。
最後はちょっぴり”ホロリ”のオマケまで付いて、
短いけれど充実した時間となりました。
本作は、前作の「陰日向に咲く」より、やや小粒感は拭えませんが、
伏線の回収は成功しており、やはり著者は只の芸人ではありません。
僕は彼の作品は上記2作しか拝見していませんが、
このライトノベルと一般小説との隙間みたいな文章の需要。
案外大きいのではないか?と思いました。

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三浦しおん『まほろ駅前多田便利軒』読了。

東京のはずれに位置する“まほろ市”。
この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。
今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。
痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。
内容(「BOOK」データベースより)

友人から文庫本を借りました。
直木賞受賞作という事で期待して読み始めましたが、
その期待は良い意味で柔らかく裏切られました。
内容はしがない便利屋と、そこに転がり込んできたかつての同級生。
その二人の下に依頼される仕事と、お節介に首を突っ込むヤバイ橋。
そんな二人の1年を時にはシリアスに、時には笑いもあり、
そして貫かれる奇妙な友情。
正直、本作のどこがどう面白いのかを説明するのは難しいのですが、
作品を通して世界観を纏め上げた手腕は見事です。
同級生の奇天烈だけど憎めないキャラ。
そして主人公が最愛の人を失う場面では、
思わず自身を重ねてしまい、感情が揺さぶられてしまいました。

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伊集院静『作家の遊び方』読了。

酒、ギャンブル、ゴルフ、そして旅先での出会い、
松井秀喜との交友まで。粋な小説家が綴る「男の日常」。
内容(「BOOK」データベースより)

本書は週刊大衆に連載(2006年4月~2008年12月)していた
エッセイをまとめたもの。
西原理恵子と共著の中から、「たまりませんな」、「どうにかなるか」
「なんでもありか」の3冊からの抜粋のようです。
道理で加筆・修正が為されているとは言え、
一度ならず読み返したエッセイはかなり細かいところまで覚えていました。
残念(笑)

ターゲットの読者が週刊大衆と言う事で、
駄目なおじさん(失礼)に優しい少しサービス精神が旺盛な本書。
お酒や煙草、女性にギャンプルと、
作家と言うより時代遅れの大人(褒め言葉)のエピソードを紹介。
中でも競輪に対する並々ならぬ愛情は、
競輪を全く知らない僕にでさえ、熱く心を揺さぶるものがありました。

蛇足で本書の奥付には、所謂”自炊”に対する著作権の警告が記されています。
僕は自炊の”じ”の字も無縁のデジタル難民ですが、
この点について、伊集院静氏の考えを聞いてみたいと思いました。
きっと、氏は”自炊”と聞いて、
”そんな事より男ならやる事があるでしょう?ギャンブルとか酒とか。”
な~んて、チンプンカンプンの回答を仰られるような気がするんですよね。
それでこそ、僕が愛する氏の姿勢なんですが(笑)

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真山仁『ハゲタカ(上)(下)』読了。

ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、
バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。
敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、
鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。
内容(「BOOK」データベースより)

僕はバブルの恩恵をギリギリ受けていたのかな?
実感は皆無だったけれど、バイトの時給は20年前と考えれば
今とは比べるまでも無く破格だったし、底辺企業ですが就職は簡単でした。
けど、たった2,3歳年上の方から聞く話には、20年以上の隔世感があるんですよね。
僕はそんな世代です。
さて、本書は所謂ハゲタカファンドを中心に、経営再建を目論むスーパー、
高級ホテルの再建に奔走する各主人公達の物語です。
お金に関するエゴや醜さはスケールの違いこそあれ、
借金で人生をボロボロにした人間を幼少より見てきた僕に驚きはありません。
けど、その単位が余りにもスケールが大きすぎて、
想像の枠を超えてしまっています。
元妻が投資顧問で手腕を振るっていますし、経済の理不尽、
マネーゲームの恐ろしさは僅かな額ですが、この身を以って痛感しています。
しかし、何度も言いますが本書に出てくる金額の単位が想像の粋を超えてしまい、
夢物語のエンターティメントにしか感じられませんでした。
彼等の扱う金額を今の日本の普通預金に入れても、多分6時間ぐらいの金利が
僕の年収。そんなレベルのお話です。

そんな僕から見れば、彼(女)達は神様のごとき存在に見えます。
当然、彼(女)達は僕なんか鼻くそにも思ってない事は、
心から理解できますよね。

そして19年間安月給で働き続け、今は一銭も稼がない僕。
本書の書評は、鼻くその遠吠えになってしまうので、
恥ずかしくて披露する資格もございません…。


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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫17歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒4歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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