赤瀬川隼『白球残映』読了

傷を負いつつも、風雪に耐え、
ひたむきに生きていく男たちの後ろ姿。秀作五篇。
内容(「BOOK」データベースより)

僕達の時代

本書は第113回直木賞受賞作であり、
5つ短編が収録されています。
いずれも人生の一場面を「野球」を通して切り取り、
モノクロームの筆で淡く描かれていました。
佳作。

若き叔母に恋した少年
転換期を迎えた壮年
そして
人生の最後に野球を観戦した老年

野球を柱としていますが、そこに重きはありません。
ただ挿絵の様に野球(の一場面)が横たわっているだけ。
でもそれが良いんですよね。
オッサンのノスタルジーと笑われるかもしれないけれど、
人生の成功も失敗も関係なく、
ただ野球だけの日々が僕にもあったな、って。
とても素敵な時代を過ごせたと、なんだか誇らしい気がしました。

蛇足で僕のお勧めは「消えたエース」
キャリアハイの翌年、突然引退した投手と元記者が
30年の時を経て出会ったお話しです。
内容は略しますが、元エースがある人に対して下した決断

「恩に着せない」

そんな姿勢に深く敬意を覚えました。
僕達は男ですからね?
自分が耐えて済むのなら、全てを明かす必要はない。
とても難しいことだけれど、想いを時の流れに預けてしまう、
そんな ”強さ” が欲しくなりました。

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餅ではなく

元・アル中は(ほぼ)例外なく甘党になるけれど、注意が必要だ。
お菓子の中にはアルコールが入っているモノも多い。
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抗酒剤を飲んでいたって(これぐらい)大丈夫だとは思うけれど、
心理的抵抗は大きい。
せっかくの断酒継続に但し書き(?)が付いてしまいそうで。
絵に描いたラムレーズン。

開始:2012/3/18
断酒1383日目

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池井戸潤『下町ロケット2 ガウディ計画』読了

ロケットから人体へ―佃製作所の新たな挑戦!前作から5年。
ふたたび日本に夢と希望と勇気をもたらす
エンターテインメント長編!!
内容(「BOOK」データベースより)

やっぱりプロジェクトⅩ

本書は直木賞を獲得した『下町ロケット』の続編。
佃製作所に再び訪れた危機と、新たな開発依頼に
町工場の意地と誇りを賭けて……って、最早説明不要ですよね(笑)
なもんで内容はバッサリ略で一言、面白かった!!

前作と同じになってしまいますが、
「プロジェクトⅩ」が好きだった方に文句無くお勧め。
鼠だって猫を嚙むこと、思い出してみませんか?

で、ここからは蛇足。
僕はTVドラマ版を未だ拝見していないのですが、大変好評の様子。
なんでも帝国重工・財前を演じる吉川晃司さんがとても素敵だとか。
うーん、ちょっとイメージが違うけれど格好良さそう!!
僕は中学二年の時、映画館で見た「すかんぴんウォーク(*1)」から
彼の大大ファンですからね?
演技がダイコンだの、台詞が棒だの、
そんなのとっくの昔に承知の助なのです!(笑)
今抱えている仕事のトラブルが片付いたら必ず拝見します。
僕だって洋介やアキちゃんに負けませんよ!?(うつろな目で)

*1)
友人が「うる星やつら」のファンだったので一緒に。
因みに「すかんぴんウォーク」は今でも一番好きな映画です。
吉夫が裕司に放った「言わないって」。痺れたなぁ。


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EARTHSHAKER / 月下美人 ~ ZIGGY・森重樹一が作詩 ~

僕のアイドル同士のコラボレーション。
歌詞は森重らしいし、マーシーの声は色っぽく。
リズム隊の格好良さが目立つ曲だけれど、
シャラのソロだって泣かせます(シャラ最高!!)

外部ライターを迎える事については賛否両論があると思うけれど、
結局は人選によるんじゃないかな(小さな声で)
こんな組み合わせなら僕は大歓迎です!!

おまけ:
BIRD.jpg
BGM: EARTHSHAKER / 月下美人

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Thank you for everything. 2/3

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鶏そぼろ -December 8, 2015 -


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ひじきとお豆 -December 8, 2015 -


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玉子と韮のニンニクスープ -December 9, 2015 -


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ウィンナーとベーコンのスープ -December 13, 2015 -


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鯖の味噌煮 -December 14, 2015 -

This is a load which arrived on that day.


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伊東潤『鯨分限』読了

紀州・太地の捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁、太地覚吾。
斜陽の村を救うべく、日本全国を駆け巡る。
だが、維新により根底から激変する国の有り様が、
未曾有の海難事故「大背美流れ」が、さまざまな困難が、
奮闘する覚吾を襲う―。
内容(「BOOK」データベースより)

高波を越えて

本書は紀州太地を舞台に、
古式捕鯨の鯨組棟梁・太地覚吾を描いた作品。
太地鯨漁を終焉させた「大脊美流れ」を扱っており、
結末は決して明るくはありませんが、
太地の人々の屈せぬ魂に心が震えました。
佳作。

外国船による鯨の乱獲
安政の大津波
そして
大脊美流れ

時代の流れは黒潮の様に速くて激烈。
さらには押し寄せる変革の波にも飲まれぬよう、
覚吾は「新しき」に挑戦し続けます。
しかし度重なる(予期せぬ)不運に、
太地鯨漁は終焉を迎えてしまいました。
けれど、時代の奔流・変革の高波ですら、
人々の魂の火は消せなかったんですよね。
「大脊美流れ」から十四年後、太地は旧態依然の古式捕鯨から脱し、
米国式捕鯨法を導入した捕鯨基地として再出発する事になりました。

正直、覚吾の青年時代は退屈な部分もあって、
新境地で配分の多くなった(?)フィクション部分は
もう少し削って良かったかも。
けれど圧倒的な下調べに裏打ちされたノンフィクション部分は
それを補って余りありました。
また著者の『巨鯨の海』を読んで最盛期の太地を知る方には、
本書の斜陽の太地に感慨深いモノがあるでしょう。
是非あわせて読んで頂きたく思います。

蛇足で先日のニュースが記憶にも新しい、
太地捕鯨文化を日本遺産に 和歌山県、登録目指す」の件ですが、
僕は応援したいと考えます。
昨今のユネスコ世界遺産登録問題を持ち出すまでもなく、
イデオロギーに関連付ける方もいらっしゃるでしょう。
でも僕はそんなの一切関係なく(むしろ関わりたくない)、
日本人として捕鯨文化を大切にしたい、純粋にそう思うのです。
誰かに対する挑発でも、内向きになるのでもなく、
ただ静かに、静かに。

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魚の目

魚の目を英語では Corn(とうもろこし)と言う。
気になって同僚に聞いたら、彼の国では鶏の目だって。
生き馬の目かと思った。

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初野晴『惑星カロン』読了

コンクールと文化祭を経て、ちょっぴり成長した清水南高吹奏楽部。
さらなる練習に励むハルタとチカのもとに、
またもや難題が持ち込まれてー!?チカが手に入れた
“呪いのフルート”や、あやしい人物からメールで届く音楽暗号、
旧校舎で起きた“鍵全開事件”、謎の楽曲「惑星カロン」との
出会い…。頭脳明晰な美少年ハルタと、元気少女チカの
名コンビがおくる珠玉の青春ミステリ!
内容(「BOOK」データベースより)

見る事が叶わなくても。

本書は“ハルチカ”シリーズの第5弾(前作はコチラ→1,2,3,4)。
文化祭を終えたハルチカの高校二年生秋を描いておりますが、
普門館への進展(?)は全くありません(笑)
しかし、未来の新入部員に、踏み出す決心をした教師と、
今後の展開に予断を許さない内容となっています。
うーん、イジワル!!(笑)

不幸を撒いて戻ってくる “呪いのフルート”
不穏と不音を秘めた音楽暗号
そして
会えない二人を幻影させる曲「惑星カロン」

ネタバレを避けますが、本書には

例え会えなくても、見る事が叶わなくても、
歩みを止めないで欲しい。

そんなメッセージが込められていた気がします。
それは少女がメールの謎を繰り返し指摘する場面で顕著であり、
思わず目頭が熱くなってしまいました。
ここで指摘を受けた人物と同じく、僕も例え老い先短くても、
進まねば。

正直、デジタルツインについては補足をしたい点もあります。
が、その致命的な欠陥を指摘した箇所には感銘を受けました。
あげつらうような冷酷なモノではありません。
著者の愛を感じる素敵な指摘(見解)です。

蛇足でな、な、なんと!?
“ハルチカ”シリーズがアニメになるそうです!!(詳細はコチラ
大好きなシリーズなので非常に興味があるのですが、
オッサンにアニメはハードルが高すぎます(ガンダムは除く)。
またアニメの画像を拝見したら、少女のスカート丈が短いし、
僕が観ていたら犯罪になってしまいますよね。
あぁ、ドラマなら兎も角、何故アニメで(泣)

さらに蛇足:
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初版、P73-13行目。
『散々ひとを殺したフルートが…』の
”フルート” は ”ヴァイオリン” ですよね?

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お礼

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彼女から届いた小包は、
娘達へのクリスマスプレゼントだった。

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最近、女性陣の仲がよろしいようで。

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君たち、お姉ちゃんにちゃんとお礼を言うように。

おまけ:
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箱の底にはおまけが。
手作りのチョコ・ブラウニー、彼女らしい素朴で控えめな味。
娘達にはああ言ったけれど、僕はちゃんとお礼が言えない。

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連城三紀彦『火恋』読了

1997年―国境が消えたとき、甦る愛と憎しみ…
揺れ動く国際都市・香港。林立する摩天楼で、
尖沙咀(チムシャーツイ)の街角で、
スターフェリーの船上で展開される、スリリングな5つのミステリー。
内容(「BOOK」データベースより)

切り離す。

本書は男女の駆け引きを描いた五つの短編集。
いずれも中国返還を迎えた香港を舞台としていますが、
それぞれ独立したお話しとなっています。

妻を抱いてくれと頼まれた日本人
中国人娘に振り回される二人の日本人男子
そして
香港で暮らす英国人の夫と日本人の妻

灼熱の香港を舞台とし、欲望が幾重にも重なりあう。
著者の湿度と粘度の高い筆もあって
思わずむせ返りそうになります。
けれど、男女の駆け引きは砂の様に乾いていて、
そして冷たいんですよね。
共感は全くしないのだけれど、身体と心を切り離し、
欲望には忠実に従う。
そんなたくましさに、少しだけ羨望を覚えました。

蛇足で僕のお勧めは表題作の「火恋」。
亡命で中国と台湾に生き別れた夫婦のお話です。
夫の亡命は政治的迫害がその理由でしたが、
実はもう一つ妻には秘密がありました。
その為、夫は二十年振りの再会に贖罪の意味を込めるのですが……。
二人の間を隔てていたのは国境だけではありません。
絆を断ち切り、夫婦(男女)を切り離していたモノは
男の「身勝手」でした。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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