桂望実『諦めない女』読了

小学生になったばかりの沙恵は、学校帰りに母京子の勤務先に寄り
一緒に帰宅する。スーパーに入った京子は、
入口のベンチで待っていたはずの沙恵が、忽然と姿を消し狂乱する。
そして数年が経ち、離婚した京子は今日もひとり、
わが子の帰りを待ちながら、情報を集めてビラを撒く。
失われた時間、果たせなかった親子の絆を求めて…。
内容(「BOOK」データベースより)

愛情の表と裏。

本書は母娘の絆を問いかけるサスペンス長編。
様々なカタチで愛情のあり方を示しており、
深く考えさせられました。佳作。

児童誘拐と人身売買
失われた時間と絆
そして
諦めるか否か

物語は

1.ライターによる関係者へのインタビュー
2.当事者のモノローグ
3.またインタビュー

のテンプレートを短く繰り返すことで進みます。
個人的には大変読みやすかったし、
細部から炙り出す技法は全体を掴み易かったです。
けれど物語は常に僕の予想を裏切り、
全く先が見通せなくなってしまうんですよね。
そんな著者の手腕に脱帽するとともに(ため息)、
「手玉に取られる」喜びを存分に味わいました。
ネタバレを控えますが、衝撃的なラストと
「諦めない女」が誰を指していたのか。
是非皆様にもご確認していただきたく思います。

最後に。
本書は「愛情」をさまざまな角度から描いており、
中でもタイトルにもある「諦めるか否か」は
最も重要な命題となっています。
で、結論から言えば、僕はどっちもありなんじゃないかな?
って感じました。諦めても良いし、諦めなくても良い。
実際、沙恵の父・慎吾と母・京子がその対比として描かれているけれど、
(心情的には)僕はどちらも責めることが出来ないんですよね。
むしろ「辛かったね」って寄り添いたい気持ちさえ覚えます。
親子のそれに限らず、愛情に表と裏があるのは当然だし、
それ自体に罪があるとは思えません。

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仲直りしたい

少し叱りすぎてしまったか。
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仲直りしたい。

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小川理子『音の記憶 技術と心をつなげる』読了

1986年に入社した私は、その音響研究所に配属され栄光のブランド
「テクニクス」の様々な発展形の技術・商品を開発する。
8年目でプロジェクト解散。
失意の中で始めたジャズ・ピアノで世界的な評価を受ける。
「君はパナソニックのトップにはなれないが、
プロとしては成功する」
そうアメリカのプロデューサーに言われ、心は揺れるが…。
日本の会社で働く全ての女性に贈る働くこと、
愛すること、継続すること。
内容(「BOOK」データベースより抜粋)

二足のわらじ。

本書はパナソニックの高級オーディオブランド、
「テクニクス」復活プロジェクトを指揮した著者による一冊。
世界的評価を受けたジャズピアニストでもある彼女の
「二足のわらじ」に、ただただ感服しました。

内容はバッサリ略で一言。良かったと思います。
著者はエンジニア、アーティスト、そしてリーダーと
まったく異なる分野で才能を発揮し、輝く未来を突き進みます。
おまけに女性の幸せまで(同時に)手に入れちゃったりして、
全く素晴らしい事だと思います。

でも、ちょっと綺麗過ぎやしませんか?

本当はもっとドロドロとした部分もあった筈(全体の9割ぐらい)。
けれど本書はそれらを容赦なく切り捨て、
上澄みの綺麗な部分だけを抽出した印象です。
でも多くのエンジニア(含む僕)は、
むしろそのドロドロした部分にこそ共感するポイントがあるし、
期待していたモノだった様な気がします。

機能重視から感性重視へ

会社が(時代が)求めていたのは「感性」を「技術」へ落とし込む媒介者。
それは「音楽」と「科学技術」の接点にいるとされた
著者にしか出来ない役割だったと思います。
また ”媒介者” を求めるニッチなニーズとして、
高級オーディオブランドのリーダー(と言うポスト)があった事は、
タイミング的にも非常に幸運だったと思います。
もちろん、運をモノにするのも実力のひとつ。
けれどここまで完璧だと、品の良い自画自賛を、
延々と聞かされている気分にもなっちゃったり。
だって苦労らしき苦労と言えば、
一週間の禁酒ぐらいしか見当たらないんだもの。

最後に。
「二足のわらじ」と言えば、どちらも中途半端なイメージもあるけれど、
著者に関してはむしろ「二刀流の達人」ではないでしょうか
(実際は二刀どころか三刀も四刀もだけれど)。
ただ、多くの達人がそうであるように、
著者も影の苦労を見せないところが、ちょっと残念です。

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晴耕雨読

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な~んて言っても、本当は貧乏暇なし。
でもこの瞬間、とても幸せ。

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伊東潤『悪左府の女』読了

冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」と呼ばれた藤原頼長が、
琵琶の名手を使い暗躍する。
保元の乱へと転がる時代をダイナミックに描く!
内容(出版社内用紹介より)

盛者必衰。

本書は悪左府と呼ばれた藤原頼長と、
頼長に利用される下級貴族の娘・春澄栄子の物語。
私利私欲と保身に満ち溢れたあの時代に、
哀切な琵琶の音色が響きます。

公家の内部抗争
摂関家の内紛
そして
武力衝突に至った政変「保元の乱」

道徳も価値観も時代によって少しずつ変化はしますよね。
なので現代の僕が声高に言うつもりはないけれど、
流石に乱れていますなぁ~、特に貞節が(笑)
まぁ、今でも実力のある者は多くの花を愛でているし、
きっと本能に近い欲求なんだと思います。
それでも本人の意に沿わない婚姻や、
包み隠さず言えば「生む装置」として女性を利用するなんて、
現代社会ではもはや禁忌の領域ですよね。
僕は特段のフェミニストではないけれど、
この一点だけでも社会は常に(未来に向かって)良くなっている。
そう思うことが出来ました。
時としてゆり戻しはあったとしても。

話は本書に戻して。
醜女とされる栄子ではありますが、多くの求愛を受け、
また実際的な献身を捧げられています。
また「あっ!」と驚く結末も彼女を一段と救い上げており、
その境遇にもかかわらず、意外に悲壮感はありません。
逆に「悪左府」と恐れられた頼長の結末は悲惨であり……。

結局「盛者必衰」とは、
常に愚かな『男』だけを指しているのではないでしょうか。
『女』は枯れても、次に繋げてまた花を咲かせるのだから。
そう考えれば、琵琶の音色は哀切な「盛者必衰」ではなく、
辛苦を耐え忍ぶ「虎視眈々」の様にも聞こえます。

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【2年目】福島のお米が届きました 5/6回目

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ふるさと納税で頂く今年度5回目のお米です。

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今年(来年度)のふるさと納税はどうしようかな。
とても美味しいのだけれど、一人じゃ食べきれなくて。

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ポトフ

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ごちそうさまでした。

おまけ:
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ブルーシールのアイスクリーム
今日はバナナスザンナ。タラレバ娘は紅イモ。

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西原理恵子『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』読了

もうすぐ、大きな帆をあげて、子どもたちの船が漕ぎ出していく。
人生という航路に絶対安全はないからこそ、今、伝えておきたい。
母から娘へ―厳しくもハートフルな生き方指南。
内容(「BOOK」データベースより)

娘へのラブレター。

本書はご存知・サイバラによる生き方指南。
タイトルには「女の子」とありますが、
実際はある特定の一人を指していました。

内容はバッサリ略で一言、良かったです。
それは著者が乱発されているエッセイにあって、
ただ一点、他との違いがあったから。

正直、9割5分は既存の焼き直しです。
それも1度や2度のそれではなく、
10回は目にしたようなモノばかり。
そのリサイクル?精神にはウンザリを通り越して、
むしろ天晴とさえ感じます(白目)。
また女性向けだから当然だけれど、
男(僕)からすれば納得できない意見もあるし、
おまけに自身の経験や意見が、
全ての女性に適用・代弁可能とした論調は
あまりにも品がありません。
それでも

本書には愛があります。

それはタイトルで「女の子」として隠したけれど、
著者の意見は全て愛娘・ひなちゃんに向けられていたから。

現在、著者と反抗期真っ最中のひなちゃんは
碌に口もきかない関係だそうです。けれど

ひなちゃんへの不満ともどかしさ。
ひなちゃんに対する自分の落ち度と後悔。
そして
女性の先輩として、どうしても語らずにはいられない、
ひなちゃんへのアドバイス。

本書はエッセイの体(てい)をした、
サイバラから娘へのラブレターなんですよね。
決して優しくはないし、一般的だとも思わない。
眉を顰めるアドバイスも少なくありませんしね。
それでも第5章の『巣立ちのとき』は
オッサン(僕)の心さえも鋭く突き刺しました。

親から子への愛って、
なんでこんなにも伝わらないのでしょう。
切なくて胸が苦しくなります。

それでも、他人の無責任な発言ではあるけれど、
僕はひなちゃんは大丈夫だと確信しています。
母親と言う、大きな愛に見守られているんですからね?
ひなちゃんは立派に巣立つでしょう。

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今日は一緒

順番を待てず、ふう助さんが乱入?です。
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お姉ちゃんもしぶしぶ?でも受け入れたので、
今日は姉妹一緒にご奉仕(とんとん)。

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原田ひ香『ラジオ・ガガガ』読了

人生で大切なことはすべて深夜のラジオが教えてくれた。
夜更けに、ラジオのスイッチを入れる。
きょうも一日、いろいろあった。みんな、どんな事情を抱え、
なにを考える?私たちは、精いっぱい生きている。
実在するラジオ番組に耳を傾ける人々の人生を切り取った哀歓5篇。
内容(「BOOK」データベースより)

モノラル。

本書はラジオ番組を題材とした6つの短編集。
メインターゲットは40代後半(僕)よりも若い方だと思いますが、
ラジオに親しんだ全ての世代で楽しめると思います。

子育て中の話し相手
現実の目標となった夢
そして
深夜に流れていたあの曲

作中の番組や芸能人が実名で登場し、
エピソードや楽曲も実際にあったモノ。
リアルタイムに触れた読者には堪らない設定だと思います。
また甘い結末は存在せず、むしろ多くのホロ苦い余韻が
(望むと望まざるに関わらず)ラジオに親しんだ方には
少なからぬ共感があると思いました。

ただ広がりがありません。

短編集なので深みを求めるわけではないのですが、
そのぶん「これは!」と思える一つが欲しかったかも。
設定も、落ちも、解釈も決して悪くは無いのだけれど、
なんと言うか、AM放送でロックが流れている感じでしょうか。
ナイスな選曲だけど、どうせならステレオで聴きたい……みたいな。
それでもラジオと同様に ”ながら” で楽しむには
打ってつけの一冊です。深夜の暇つぶし(褒め言葉)にお勧め。

蛇足でビートたけしさんの曲「浅草キッド」について。
それは『アブラヤシのプランテーションで』において、
夢破れた主人公に届けられた曲として登場します。
で、僕はこの曲をリアルタイムでは知らないし、
オリジナルも数度しか聞いた事がないけれど、
とても印象に残っているんですよね。
個人的なことなので控えますが、幼い頃からの友人が社会人となり、
酔ってこの曲をカラオケで歌っている姿が、
脳裏に焼きついて離れません。
アイツ、今でも元気でやっているかな。


「BOOK」データベースの紹介では ”5篇” となっていますが、
実際は ”6篇” です。誤植でしょうか?
それとも最終話は別枠のお話し?

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫17歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒4歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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