吉田修一『パーク・ライフ』読了

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?
スターバックスのコーヒーを片手に、
春風に乱れる髪を押さえていたのは、
地下鉄でぼくが話しかけてしまった美女だった。
噴水広場でカラフルな弁当を広げるOL、
片足立ちの体操をする男、小さな気球を上げる老人・・・。
ベンチの隣に座って彼女と言葉を交わし合ううち、
それまでなんとなく見えていた景色が、
にわかに切ないほどリアルに動きはじめる。
内容(出版社内用紹介より抜粋)

スマートなぼっち。

本書は第127回(平成14年度上半期)芥川賞受賞作。
現代的な人と人の距離感を描いており、
簡素でありながら精密な文体は短編の珠玉です。
秀作。

別居中の夫婦
バツ一の先輩
そして
地下鉄で知り合ったスタバ女

特段のドラマは一切ありません。
ただ他人との淡い交流が描かれているだけ。
そこに悲壮感や問題提起は無いんですよね。
むしろ酷く浅い人間関係こそが健全であり、
理想的とさえ感じさせます。

一方で(自虐でも客観的でも)「ぼっち」には
ネガティブのイメージがあると思います。
けれど「ぼっち」は自分と他人を同時に敬う
非常にシンプルな答えの一つではないかな?
別居中の宇田川夫婦も、つかの間の独身を楽しむ母も、
そして多くを尋ねない主人公もスタバ女も。
みんな寂しくないスマートなぼっちだったと思います。

因みに作中、
Sting の「Englishman In New York」が登場しますが、
現代的で(健康的な)日比谷公園との対比が実にお見事です。
ここではきっとクエンティン・クリスプも寂しくありません。

同時収録の『flowers』も良かったです。
こちらはやや不安を喚起する内容ではありますが、
ニュアンスに深みがあります。
本作を生け花とするなら「真」ではなく「副」。
けれど「無駄」を「ゆとり」とする思考に光を見ます。
高級ホテルとのアイロニーも絶妙です。

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ピーチ味のコーラ

商品はコチラ。期間限定だそうです。

飲んだ感想は「ピーチ味のコーラ」
それ以上でもそれ以下でもありません。
一度飲んだからもういいかな。

ただ一日置いたところ(炭酸が抜けた)
「ピーチ味のコーラ」から「ただの桃ジュース(*1)」にクラスチェンジ。
辛さが無くなって割りと美味しかったです。

ピーチ味のコーラ。
コーラの味が邪魔をする桃ジュースです。

*1)
桃の天然水・スパークリングに似てるかも^^

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森博嗣『ペガサスの解は虚栄か?』読了

クローン。国際法により禁じられている無性生殖による複製人間。
研究者のハギリは、ペガサスというスーパー・コンピュータから
パリの博覧会から逃亡したウォーカロンには、
クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないか
という情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、
自分の三人めの子供について不審を抱く資産家と出会う。
知性が喝破する虚構の物語。
内容(「BOOK」データベースより)

失うもの。

本書は「Wシリーズ」の第7弾(その他はコチラ→1,2,3,4,5,6,7,8,9
シリーズのテーマである『生命の定義』を基本に、
本作では「誕生」と「終焉」について思案されています。

内容はバッサリ略。ラストを目前にした小休止でしょうか。
比較的平坦であり、穏やかな印象です。
それでも未来への考察はこの上なく刺激的であり、
スリルやサスペンスなんか比べ物にならないくらい興奮しました。

また初登場のスーパー・コンピュータのペガサス。
彼はオーロラより新型であり高性能なのですが、
ウォーカロンのとある秘密について演算ミスを犯します。
その原因はペガサスの妄想とオーロラは指摘するのですが……。
ここからは僕の想像ですが本シリーズにおいて「妄想」とは
「希望」と同義なんだと思います。
あるいは「夢」と置き換えても良いのかも。
最高知能のペガサスは「夢」を見て(意図的かはどうかは兎も角)
演算にイレギュラを混入させる。
でもそのイレギュラこそが進化のジャンプに必要な
“踏み台” だと僕は予感するんですよね。
またロジカルが際立つ本シリーズのなかで、
この進化のジャンプの説明が弱く感じられるのは、結局

計算出来ない = 説明できない

部分が未来永劫残ってしまう可能性があるからではないかな。
僕はテクノロジを信じているけれど、
一方で未知のエリアが残されることをどこかで願ってしまいます。

それでも著者はあの「森博嗣」ですからね。
ペガサスの「夢」は意思のあるパラメータであり、
今後進化のジャンプは再現可能になると予想します^^

蛇足で「死」について。
作中、ハギリはとある人物の死に際して、
死によって失われるものとは何か?と自問します。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕は「欠けた太陽」とするその考察に胸を打たれました。
僕達はデータを利用して死者の顔を見ることができます。
話すこともできます。近い将来は触れることも可能でしょう。
けれど親しい人を亡くした時、
僕達が失くしてしまうモノは絶対にあるんですよね。
哀しみなんか、演算で制御できれば良いのに。

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ハヤシライス

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ごちそうさまでした。

おまけ:
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今日も二人一緒。

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なにお話しているの?

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Tag:タラレバ娘  Trackback:0 comment:0 

【猫たんも父ちゃんも】驚愕のレーザーポインター【大満足】

角田光代さん、河野丈洋さんの『もう一杯だけ飲んで帰ろう。
の中にレーザーポインターのお話しがありました。

お二人の愛娘・アメショーのトトちゃんは
普段の性格はおっとりだけれど、
レーザーポインターの光を追いかけるのが大好きとの事。
それは

そのスイッチの入る音を聞くだけで
尻尾がピン!となってしまう(河野さん談)

ほどらしいのです。
これには同じ猫タンの親として

むむむっ?そんなに面白いの?

と僕も興味津々となってしまいました。
で、早速調べてみたら存外に手ごろな価格だし、
ポイントも溜まっているから思い切って取り寄せてみました。

IMG_20180121_111240.jpg
結果、見たことも無いくらいに大喜び。
これまでに購入・自作したどんな玩具より無我夢中。
あまりにも喰い付きが良すぎて、
父ちゃん少々ガッカリしちゃた(泣き笑い)

因みに amazon のレビューを見てみると
その殆どが猫タンの玩具として使われており、
すべからく大好評の様子。
皆さん、はやく教えてくださいよ!(笑)
我が家でも遊び道具としてだけでなく、
いたずら小僧たちの気を逸らすのにも絶大な効果になりました。

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猫タンの親御様。
レーザーポインターは究極のアイテムです(断言)
父ちゃんからの絶対のお勧め。

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Tag:娘たち(雉猫17歳・白黒猫4歳)  Trackback:0 comment:0 

吉行淳之介『娼婦の部屋・不意の出来事』読了

一娼婦の運命の変遷と、“私"の境遇の変化を
照応させつつ描いて代表作とされる「娼婦の部屋」。
他に洗練された筆致の多彩な作品集。
内容(出版社内用紹介より)

匂い。

本書は吉行淳之介の初期作品13編を収めた短編集。
男達の身勝手な女の扱い方に呆然自失となりました。

内容はバッサリ略で一言。実は結構面白かったのです。
それは決して共感することは出来なくても、
男たちの性の捉え方、また対処の仕方に
(たとえ一部ではあっても)痛快も覚えたから。

勿論これは個人の中にあって許されること、
対人(一般女性)があっての振る舞いなら論外です。
その点、本書の多くにあった娼婦が相手なら
女の身体(*1)を(金銭で契約した範囲で)利用しても
僕は許されるのではないかな?と感じました。
勿論、たとえ娼婦が相手であったとしても、
心の繋がりを拒否する行為に賛否両論はあると思います。

また『吉行淳之介』は「女好きの女嫌い」と評されますが、
僕はその通りだと思います。
でもそれだけでは批判されることではないし、
むしろユニークな個性としてある意味で貴重ではないかな。
フェミニズム、ひいてはポリティカルコレクトネスに
意見は無いが僕の立場だけれど、
本書は男性にこそお勧めしたいと思います。

蛇足で匂いについて。
作中多くあるのですが、例えば『鳥獣虫魚』では「獣のにおい」、
『不意の出来事』では蛾の鱗粉に例えた「粉っぽいにおい」と、
そのとき女の身体から立ち上る匂いを生々しく表現しています。
それは艶かしいとは程遠く、むしろ不快な匂いの筈なんですが、
僕は非常に官能的な気分にもなりました。
特殊な性癖を論じたいわけではありません。
ただ男女の交感には他人には嗅がせられない匂いと言うか、
互いの「恥部」も大切な気がします。

*1)
作中では「躯(むくろ)」の旧字体、身偏に區が使用されています。
数ある「身体」の漢字の中でコレを使用する意図を想います。

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電気毛布に包まれて ふう助編

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今日も寒いね。

える坊編

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Tag:娘たち(雉猫17歳・白黒猫4歳)  Trackback:0 comment:0 

奥田亜希子『リバース&リバース』読了

ティーン誌の編集者の禄はお悩み相談ページを担当しているが、
かつての投稿者との間にトラブルを抱えていた。
一方、地方に暮らす郁美はその雑誌の愛読者。
東京からの転校生が現れたことで、親友との関係が変わり始める。
出会うはずのない二人の人生が交差する時、
明かされる意外な真実とは――。静かな感動が胸を打つ長篇。
内容(「BOOK」データベースより)

くるんくるん。

本書は雑誌編集者とその読者の物語。
人と人との関係を客観的にして冷静に、
しかし溢れる程の慈しみをもって描かれていました。
佳作。

ろく兄の過去と現在
郁美の恋と友情
そして
重なる二人の物語

二人の関係は早い段階で察しがつきます。
いくつか判りやすいヒントがある為ですが、
著者はこのカラクリを重要視していないと推測。
むしろ本書の主題であり、書きたかったテーマであろう

相談する側、される側
傷付ける側、付けられる側
そして
許す側、許される側

を強調するため、あえて平易にしたんだと思います。
その上でオッサン(僕)はろく兄(中学生から見ればオッサン^^)
の悲しい過去や現在ある煩悶に共感を覚えたのだけれど、
また同時に14歳の郁美の心模様にも
寄り添えた気がしたんですよね(キモチ悪くてスミマセン)
彼女の純粋だけど幼い言動は、
結果として苦い経験となってしまった。
けれど

何度も何度も関係をひっくり返しながら、
なんとか進んでいくしかないんだよ(本文より)

との理解に昇華されたこと。
オッサンは安堵と嬉しさのあまり、
鼻の奥がツーンとなってしまいました。

最後になりますが本書は

人と人との関係はくるんくるん。
どちらか一方(おおくは加害者の立場)で
あり続けることなんか出来やしない。

を顕していたと思います。
でもそれは「戒め」であると同時に、
「救い」でもあるんじゃないかな?って思いました。

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Tag:読書  Trackback:0 comment:0 

電気毛布に包まれて える坊編

あれ?お姉ちゃんはどこですか?
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あっ、いたいた。

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今日は寒いモンね。

ふう助編

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Tag:娘たち(雉猫17歳・白黒猫4歳)  Trackback:0 comment:0 

角田光代 河野丈洋『もう一杯だけ飲んで帰ろう。』読了

ずっと別々に行ってた西荻窪の居酒屋に今は一緒に。
旅先の味を求めてミャンマー料理を食べに高田馬場へ。
高円寺の古本酒場で常連たちと盛り上がり、
新宿で芝居を観た後は朝まで飲んで話しあう。
昼飲みの聖地・立石ではしご酒、
うまい魚を食べるために五反田へ。初の夫婦共著。
人と飲むのが大好きなふたりの楽しい酒飲みエッセイ38篇。
内容(「BOOK」データベースより)

危険です。

本書はご存知、作家の角田さんと
夫でミュージシャンの河野さんの共著エッセイ。
お酒の魅力を余すことなく伝える非常に危険な一冊です。

とんこつ味、生肉・内臓、チーズで、まずはレモンサワーの妻
しょうゆ味、野菜、白身魚の刺身で、ひたすらビールの夫

夫婦とは言え、食の好みは結構違います。
それでも

お酒が好き、人と飲むのが好き、ってか、
大好きな人と飲むお酒が好き。

は共通です。なので夫婦だけではなく、
同行人(お二人の好きな人。でも決してゲストではない)
がいるお話も多いのですが、それもまた良いんですよね。
「もう一杯」どころか「もう三杯」や「もう四杯」が
お約束になっているけれど(笑)、お二人がお酒ではなく、
場の雰囲気や会話に楽しく酔っている姿が眼に浮かびます。

また取り上げたお店は中央線沿線が非常に多く
僕も阿佐ヶ谷の『イズミル』、荻窪の『鳥もと』をはじめ
片手に余るお店を経験しており、個人的な訴求力も甚大でした。
以上を踏まえて、僭越ではありますが僕より一つアドバイス。

本書は非常に危険です。
喉がゴクゴク鳴っちゃいます。
お腹がグーグー鳴っちゃいます。

断酒中の方、ダイエット中の方。
さらにはオレンジの電車で本書を読む時は
恥ずかしい音漏れ(?)にご注意を。

蛇足でパートナーの呼び方について。
僕は角田さんのファンであり、
彼女が既婚なのは知っていたのですが、
11歳も年下のご主人とは知りませんでした。
なんとなく角田さんは年上がお好きなのかな?
って想像していたので正直驚きました。
ただ、本書で伺えるご主人・河野さんの静かな
(ありていに言えば育ちの良さそうな)人柄に、
失礼だけど「彼なら」って、ひとごこちしちゃいました。
また河野さんが11歳上の角田さんを

「妻が…」

と呼ぶトコロなんか、かなり萌えるんですよね(照)
河野さんの角田さんへの愛が良く伝わって(*1)、
お似合いの(そして素敵な)ご夫婦だと思いました!

*1)
「落ち合って大阪」の梅ちゃん、
「気軽にふらり中野鮨」の寿司の楽しみ方が特に顕著です。
どうもごちそうさまでした(フンッ)

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫17歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒4歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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