森博嗣『つぼみ茸ムース』読了

なんとか今まで生きてこられたのは、
とにかく頑張らなかったからだ―。デビュー二十年を迎えた
ベストセラ作家・森博嗣の一〇〇のつぶやき。
ネット萌芽期の素晴らしさから時間を貯めることの意味、
自身のヨーグルト好きまでを縦横無尽に考察する。
読むとなんだか自由な気持ちになっていく人気シリーズ第五弾!
内容(「BOOK」データベースより)

意見と願望。

本書は『クリーム』シリーズ第5弾(1,2,3,4,5,6,7
目新しさは一切ありませんが、
時代に影響されない普遍的な主張は安心・安定の「森博嗣」です。

内容はバッサリ略で一言。普通に面白かったです。
ただ先に第6弾の『つぶさにミルフィーユ』を読んでいたせいか、
最後まで既視感が拭えませんでした。
正直に言えばこのエントリを書きながらもなお、
既読ではないか過去のエントリを何度も見直したり(笑)
そんな状況なので新鮮味を感じられないのは
個人的な事情と承知しますが、
それでも本書の評価に全くの瑕疵にはならないんですよね。
ハッキリとコンサバティブ志向の僕にとって、
「マンネリ」とは「信頼」とほぼ同義。
これからも同じ主張を何度も何度も繰り返して欲しいと思います。

蛇足で意見と願望について。
今回は二つのテーマから取り上げたいと思います。
まずは「森博嗣の引退」について。
ファンなら一連の流れをおよそ把握されていると思いますが、
著者は63.「書くつもりだ」~において反論します。
曰く引退宣言を「多くの方が勘違いした」。
で、著者のこの主張に対する僕の意見は「見苦しい」です。
詳細は控えますが「引退した」と明言があったから。
その上で僕の願望は「このまま続けて欲しい」なんですよね。
個人的には引退騒動に怒りとか禍根とかは一切ありません。
これからもエッセイでも何でも(本当はミステリィが良い^^)
差し出されるそれを僕は感涙(←伏線)して受け取ります。
もう一つは「男が泣くこと」について。
著者は72.日本人の未練がましさが~において、
結婚式の演出について意見されています。
詳細は本書をご確認していただくとして、
こちらは僕の意見も著者と全く同一です。願望も同じです。
主催者が泣くのは甚だ疑問だし、男が泣くのはみっともない。
男女同権ではあるけれど、男だったら泣かないで欲しい。

# 最後は伏線を回収したつもりなんですが如何でしょう?(笑)

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ダブルクリップ

あの文房具のダブルクリップに、
100年ぶりの革新的な改良が行われたそうです。
詳細はコチラ(別でコチラの方が判りやすいかも)。

いやぁ~、究極の完成品と思われたダブルクリップを
さらに進化させるなんて驚きです。
しかも理に適っているし、生産性も高いんですからね?
改良は日本人の得意とするところではあるけれど、
中でもコレは群を抜いていると思います!

ただ、ダブルクリップを最初に発明した人は
さらに上を行く天才です(誰かはハッキリしないそうです)。
機能性、デザイン、どれをとっても素晴らしいのだけれど、
何よりてこの原理の支点の位置に着目した
その発想こそが称えられるべきでしょう。
それは凡人(あるいは秀才)の努力や経験を超越する
天才の煌きだと思います(大真面目)。

最後に。
ダブルクリップはおよそ四半世紀前、
サラリーマンになってからその存在を知りました。
それ以来、僕はダブルクリップの大ファンです。
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こんなのもあります。レバーが縦横自在。

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高山真『羽生結弦は助走をしない-誰も書かなかったフィギュアの世界-』読了

フィギュアスケート界で人気実力ともにナンバーワンを誇る
羽生結弦。しかし羽生のスケーティングを語るとき、
たいていの人は「美しい」「観客を引き込む」という
曖昧な表現に終始するか、「何回ジャンプを跳べたか」
という点をクローズアップするばかりだ。著者は、
三八年間この競技を見続けてきた生粋のスケートファン。
マニアックな視点で、「羽生の演技の何がどう素晴らしいか」
を、表現、技術の両面から徹底的に分析する。羽生以外の
現役男子・女子スケーターはもちろん、歴代スケーターたちの
名プログラムもフィギュア愛炸裂で語りつくす!
内容(「BOOK」データベースより)

youtube が必須。

本書は羽生結弦さんを中心に、
フィギュアスケートを解説した一冊。
初心者にも非常に判り易く、その魅力を伝えています。
秀作。

内容はバッサリ略で一言。ただただ素晴らしかったです。
小説のそれとは違うけれど、
間違いなく今年の三本の指に入ります(まだ二月だけど断言)。

僕はフィギュアスケートの素人です。
なのでジャンプの種類や難易度等は「ただ知っている」
のレベルなんだけれど、そんな僕にでも非常に判り易く
(図やイラストを使わず)解説されているんですよね。
例えば、以前より漠然と感じていた

「羽生さんのジャンプって、
 重力や慣性(ありていに言えば物理の法則)を感じないな」

とか

「プログラムコンポーネンツ(いわゆる芸術点)って
 主観が入りすぎて結構アレじゃない?」

とか

「凄いなぁ~って感じる演技と、
 美しいなぁ~って感じる演技の違いって、一体なんだろう?」

そんな初心者の珍問や愚問に対しても、
全て抽象的ではない論理的な説明がされており、
きっと理系の方(含む僕)も満足されるでしょう。
また、その素晴らしすぎる解説だけではなく、
愛情溢れる著者の視線にも強い共感を覚えました。
それは僕がストーンズや ZIGGY の大ファンであり、
ジャンルは違えど共通する歓びみたいなモノを感じたからです。
(時間が無い方は第5章だけでも読んでみてください。
著者のフィギュアスケートに対する愛が満ち溢れており、
僕は一発で彼のことが好きになってしまいました!)
本書はフィギュアスケートのファンであってもなくても、
また日本人であってもなくても、そんなの一切問わず、
どなた様にも問答無用にお勧めです。

因みに僕は本書を片手に youtube を30回は再生しました
(控えめに見積もりました。きっと50回は再生しています)。
そして、先日の平昌オリンピック(男子だけ。
本稿を執筆時点では女子はこれからです)だけでなく、
紹介されていた過去の素晴らしい演技(レジェンド)の数々を
興奮と感動とともに味わうことが出来ました。
僕は本書にめぐり合えて本当にラッキーです。

長くなってスミマセン、最後にどうしても一つだけ。
とりあげたい選手・演技が多すぎてキリがないのですが、
特に伊藤みどりさんの演技には衝撃を受けてしまいました。
いや実際は衝撃以上であり、
素人の僕には最早賛辞する言葉も見つかりません。
ですが、

これから伊藤みどりさんを「みどり」と呼びます。

最上級の敬意と愛情を込めて、
ファーストネームで呼ぶことをお許しください。
僕も著者やご友人のマツコ・デラックスさんと同じく、
みどりの魅力にやられました。

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フレンチトースト

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ごちそうさまでした。

おまけ:
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ふう助さん。ちょっとどいて下さい。

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Tag:タラレバ娘  Trackback:0 comment:0 

妹さんの恩返し

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いつものV(ブイ)
でも本日は……

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妹さんがお姉ちゃんにグルーミングをはじめました。

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あの暴れん坊がこんなに優しくなっちゃって。
僕はなんだか胸が一杯になってしまいました。

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って、ふう助さん。
父ちゃんにはしてくれないのですか?(涙)

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Tag:娘たち(雉猫享年23・白黒猫9歳)  Trackback:0 comment:0 

馳星周『蒼き山嶺』読了

元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で
公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、
山岳部で苦楽をともにした同期だった。
急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が
麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が
東京から逃げてきている、という話を聞かされる。
厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかない
と言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきた―。
内容(「BOOK」データベースより)

たいていは届かない。

本書は残雪期の白馬岳を舞台にした山岳ミステリィ。
スリルよりも人間模様に熱く惹き込まれました。

元山岳遭難救助隊員
警視庁の公安刑事
K2で消息を絶った天才登山家

物語自体は単純です。
弱者を抱え、危険な追っ手と警察から逃げつつ、
白馬連山を縦走して日本海を目指す……。
山中の描写は類型的ではあるのだけれど、
『馳星周』の鋭く、短く、乾いた筆は
極限下のそれと非常に噛み合っており、秀逸です。
また実際的にも状況的にも極寒にありながら、
決して凍りつくことのない男達の「信頼」に、
僕の胸までが熱くなりました。
ラストはもう少し欲しかった気もしますが、
それによって最後の一行が強く印象に残った気もします。
また作中の

我々の祈りはたいていは届かない(本文より)

の一文に、
『馳星周』に通低する諦念を発見し、強い共感を覚えました。

ただそれでも極限下にあっては
誰もが祈らずにはいられないと思うんですよね。
勿論僕だって、きっと願いを聞き入れないであろう神様を呪いながら
祈るでしょう。

蛇足でアイゼンについて。
それは雪山に必須な装備であり、
本書でも重要なアイテムとして使われています。
で、実は僕(とタラレバ娘)も白馬岳とは比べるまでもないけれど、
先日の大雪の後の高尾山に登る計画をしておりました。
残念ながら諸事情が重なって延期になってしまったのだけれど、
amazon で購入しておいたスパイク(超安物)に
ちょっと胸を躍らせていたんですよね。
アイゼンのそれとは違い全くの玩具なんだけれど(笑)
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山は怖いし、弁えているので冬は高尾山が限界。
けれど、いつかまた夏の燕岳にでも登ってみたいなぁ。

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もうすぐ

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近所の梅が満開でした。

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もうすぐ春です。

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大谷翔平『不可能を可能にする 大谷翔平120の思考』読了

二刀流、170km、メジャー…
彼が挑戦し続ける姿には希望と夢であふれている。
そして、生きるヒントがある大谷翔平メッセージ集。
内容(「BOOK」データベースより)

いいんです。

本書はプロ野球選手・大谷翔平さんの語録集。
数々の常識を破り続けるスーパーヒーローの
等身大を垣間見ることが出来ました。

限界が見えるまでやっていきたい
僕はたいたことないなと思いました
他人がポイッて捨てた運を拾っている

内容はバッサリ略で一言。惚れ直しました(ポッ)
僕は男だしソッチのケは一切ないのだけれど、
不断の努力で真っ直ぐに歩いてきた男の

力みのなさ

が、この上なく爽やかなんですよね。
大げさな言は控えたいのだけれど、
彼は能力よりも性格こそが貴重だと感じます。

今シーズンからは MLB だし、彼の挑戦は限りないけれど、
僕は最後の最後まで応援し続けます。
日本だとか二刀流だとか全く気にすることなく、
ただただ大好きな野球を大いに楽しんで来てください!!

因みに彼の言は素晴らしくても、
その解説はちょっとだけ噴飯モノ(誰が書いているのでしょう?)
でも多数掲載された写真がイチイチ格好良くて、
これだけで本書は大満足間違いナシです!(断言)
それにしても彼の長い手足と小さな顔は、
僕と同じヒト科ヒト属の生物なんでしょうか?(ため息)
彼を基準にしたら僕なんかチンパンジー属になっちゃいます(涙)

蛇足で「敵」について。
お金や遊びに興味はなく、お酒もにも女性にも溺れない。
そんなある意味で完璧な大谷さんではありますが、
彼にも若者らしいアスリートの敵がありました。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕も同じ敵(?)を持つ者として
彼の事がますます好きになってしまいました。
さらにはそれを記者?に指摘された時の返しが良くて
曰く

「これぐらいは、いいんです」

大谷さんは格好良いだけじゃなく、
とってもチャーミングなのでした^^

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鼻血も出ない

春節で同僚がごっそり居なくなる。

彼等は圧歳銭(*1)が痛いと言うけれど、
せいぜい出血大サービスに励んで来れば良い。

こちらは仕事が終わらず、
もう鼻血も出ない。

*1 … 日本のお年玉みたいなモノです。

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吉田修一『熱帯魚』読了

とびっきりクールな青春小説!!
大工の大輔は子連れの美女と同棲し、
結婚を目指すのだが、微妙なすれ違いが生じて……。
ひりひりする恋を描くクールな青春小説
内容(出版社内容紹介より)

危うい均衡。

本書は男女の危うい均衡を描いた3つの短編集。
それぞれ比較的穏やかな表層とは裏腹に、
酷く不安定で歪んだ内部を炙り出していました。
秀作。

まずは『熱帯魚』
大輔は真実の言う「なんでも手元に置きたがる人間」だし、
名作『羅生門』の下人だったと思います。
他人からの無関心に怯えているし、耐えられない。
それは全く同じではないけれど、
僕も身に覚えがある様な気がしました。
またラストのプールに沈んだライター(いいこと)
の暗喩が秀逸。僕は前向きな未来を予想します。

次に『グリンピース』
草介と千里は倦怠感漂う恋人同士。
そんな中、千里の浮気が発覚するのですが、
二人の関係はだらだらと続いてしまいます。
ここで千里の浮気の原因である
草介の傍若無人な振る舞いは置いておきます。
ただ僕は彼の困惑が判るような気がしました。
愛憎ではありません。
彼女を「許さない」のやり方が判らないのです。

最後に『突風』
僕は同性として新田の孤独を想像できます。
また「奥さん」をキッカケ(ありていに言えば「踏み台」)
にした再生も理解できる部分はあるのだけれど、
同時に男の身勝手さも自覚してしまいました。
ただ「奥さん」の幸せを願ったり “しなかった” ことにも
同性として共感したり(小さな声で)。

最後に。
本書はオビにある「ひりひりする恋」でも
「とびっきりクールな青春小説」だとも全く思いません。
けれど、男の傲慢とその哀しさをものの見事に描いており、
男性の方には特にお勧めです。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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