森博嗣『もえない』読了

クラスメートの杉山が死に、僕の名前を彫り込んだプレートを
遺していった。古い手紙には「友人の姫野に、山岸小夜子という
女と関わらないよう伝えてほしい」という伝言が。
しかし、その山岸もまた死んでしまったらしい。
不可解な事件に否応なく巻き込まれてゆく僕は、
ある時期から自分の記憶に曖昧な部分があることに気づき始める。
そして今度は、僕の目前で事件が―。
内容(「BOOK」データベースより)

もえてもいい。

本書は「森博嗣」による青春ミステリィ……になるのかな?
洗いたてのバスタオルの様に軽く、サラサラで、適度にゴワゴワ。
読了後はある種の爽快がありました。

それほど親しくない友人の死
残された金属プレート
そして
ピアノの先生の豪邸

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
正直「森博嗣」成分は薄めであり、著作の中から
他人にお勧めを選ぶなら別の作品をあげるでしょう。
けれど、そんなファン(僕)の偏った主観を除けば、
本作も非常に良い作品だと思います。
いささか軽すぎるとは思いますが、
全体的にまとまりがあり、かつ適度に刺激的。
おまけにラストも悪くないんですからね?
多くの方にお勧めしたいと思います。
ただ本音を言えば「もえない」とされたそれも、
僕のモノなら

もえてもいい。

そう思いました。けれどそれは人それぞれだし、
本書の登場人物達の解釈に異論はありません。
(むしろ若者が得た知見に、オッサンは嬉しくさえ感じました)

またデジタルさんや白木さんと言った、
話の筋道に全く関係のない話(箇所)もありましたが、
まぁ、それはそれで微笑ましい範囲です^^

さらに謎解きや犯人の唐突さに戸惑う方もいるかも知れませんが、
それでも「森博嗣」の中では圧倒的に読者フレンドリーな作品です。
それが良い悪いかではなく、その事実(著者の意図)は知っておいて
損はないかと思います。

最後に。
先日の『森籠もりの日々』の中にもありましたが、
本書の様な単発の作品は売れないそうです。
短編小説(集)はもっと売れないそうですが、
シリーズ物に比べれば、まさしく惨敗のご様子。
で、これが著者に限っての傾向か、
他の作家でも同じなのかは判らないけれど、
「森博嗣」は短編(集)も単発小説も決して悪くはありません。
ただシリーズ物が素晴らしすぎるのもまた事実であり……。
ここは濃いファンほど器量が試されているのではないでしょうか(笑)

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仲良く分けあって

特等席(父ちゃんの股の間)争奪戦。
最近は仲良く分けあって。
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どちらも父ちゃんに乗っかります。
あ”~。

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塩田武士『歪んだ波紋』読了

「誤報」にまつわる5つの物語。新聞、テレビ、週刊誌、
ネットメディア―昭和が終わり、平成も終わる。
気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった
膨大な情報に囲まれていた。その混沌につけ込み、
真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、
この国で蠢いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。
塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。
全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。
内容(「BOOK」データベースより)

相性が悪く。

本書はジャーナリズムの暗部に切り込んだ連作短編集。
所謂「フェイク・ニュース」を扱っており、
現代の情報社会に警鐘を鳴らしてはいますが、
その先がありません。

誤報と虚報
報道する自由としない理由
そして
暗躍する活動グループ

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
実在の事件や出来事を巧みに取り入れ、
情報に踊らされる大衆(含む僕)に緊迫感を与える。
それは見事に成功していました。
ただし、どれもこれもワイドショーに通じる
(良い意味でも悪い意味でも)媚びにも見えました。
また読者に緊張感を与えたのは良いものの、
後は一切投げっぱなしなんですよね。
エンタメなので(社会派になるのかな?)
目くじらを立てるモノではありませんが、
やや唐突に大風呂敷を広げた “だけ” のラストには
「なんだかなぁ」となってしまいました。

もう一つ小言。
個々の話は及第点だし、連作短編としての伏線・回収も悪くない。
けれど全体的にテンポが悪いし、判りにくいと感じます。
本書が高評価の割りに、個人的な批判が多くなってしまったのは
この「判りにくい」が殆ど唯一の理由だと自己分析しています。
なお、判りづらいのは

物語のせいではありません。

ただ単に著者の筆が僕に合わないのでしょう。
終始、活字を追うリズムと不協和音になってしまい、
スンナリと頭(と言うより身体?)に入ってこないのです。
ちょっと残念。

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椅子を返して

席を立つたび、椅子をとられます。
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あぁ…。

おまけ:
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席を立った直後はこんな感じ。
この後、上↑になります(延々リピート)。

# って、この時点でメインの椅子は取られていますな--;

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断酒ノート

12冊目。
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いまは毎日三行しか書いてない。
それでも続けることが
自信みたいな何かになっている気がする。
でも本当は、赦されるのではないか?
と期待しているだけなのかも。

続けている理由が、自分でも判らない。

開始:2012/3/18
断酒2414日目

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古川勝久『北朝鮮 核の資金源-「国連捜査」秘録-』読了

なぜ北朝鮮は、「最強の制裁」を何度も受けながら、
強力な核兵器や米国にまで届く弾道ミサイルを開発できたのか。
国連制裁の最前線で監視を続けた日本人が、
驚愕の実例とともに解き明かす。
初めて明かされる非合法ネットワークの全貌。
国連制裁の最前線で捜査にあたった著者が北朝鮮の急所を抉り出す。
内容(「BOOK」データベースより)

事実は小説より“恐”なり。

本書は国連安全保障理事会の職員として
北朝鮮の捜査を担当した著者による入魂のドキュメンタリ。
エンタメでは足元にも及ばない想像を絶する世界が描かれています。
良作。

北朝鮮はなぜ核とミサイルの開発を続けるのか
制裁のないがしろにする中国
アンタッチャブルになった台湾
北朝鮮が暗躍するシリアと中東・アフリカ
世界中の工作員の天国・マレーシア
キューバから密輸されるモノ
メキシコの苦悩と狡猾
フィリピンのジレンマ
漁夫の利を謳歌するロシア
そして
経済制裁の抜け道を作る日本

内容はバッサリ略で一言。寒気を覚えました。
それは恐怖とともに絶望にも襲われたからなんですが、
正直言えばその割合は3:7で絶望の方が大きかったです。
本書を読んだ直後においては(これを書いている今です)
寛容だとか、多様性だとか、いわんやポリコレだなんて
何の意味もないと鼻で笑ってしまいそうです。

話し合えば分かり合える?
貧富格差が無くなれば?
信じる神さまの同じだったら?

世界はそれ以前の話なんですよね。
呼吸をする様に、自分(自国)以外は無意識のウチに叩く。
それが僕たちなのかもしれません。

話を本書に戻して……。
本書には著者の経験とともに見える数値・客観的なデータも豊富。
ドキュメンタリなので当然かもしれませんが、
割りとノベル寄りなレポートと考えた方が良いかも。

また世界の国々をあげて問題点や批判をされていましたが、
その舌鋒は我が日本にも平等に向けられています。
一市民でしかない僕でも薄々は分かってはいたコトだけれど、
改めて絶望みたいなモノを感じました。

それでも問題を解決しようと
骨身を惜しまず働き続けている人たちが世界中にいます。
当然、日本の政治家の中にもいます
(作中では実名(複数)がありますがココでは控えます)
殆ど絶望しかない本書にあって、微かな光も感じられたこと。
上手く言えないのだけれど、強く強く僕の心に響きました。

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悲しいよ、マギー(R.I.P. PSYCHO CANDIE Dr.MAGGIE 中嶋章)

親友からのメールで知りました。
突然の訃報に心が落ち着きません。

その昔、まだ僕が酒を飲み、
仕事も健康も、妻だっていた頃。
マギーには大切な思い出の夜を貰ったことがあります。
またロックを離れても、ある部分では僕達の仲間であったコト。
昨夜親友から聞いてはじめて知りました。

マギーの刻むビートの様に、
少し前のめりな彼の人生を想います。

マギーの冥福を祈るには、もう少し時間がかかりそう。
今はただただ悲しくて。
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谷川俊太郎/鴻上尚史『そんなとき隣に詩がいます 鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩』読了

「さみしくてたまらなくなったら」
「毎日しかめっつらだけになったら」
「家族に疲れたら」「生きるパワーがほしくなったら」…
人生の折々に読みたい谷川俊太郎の詩を、
劇作家・鴻上尚史がセレクトし、エッセーを添えた、
谷川&鴻上版「人生処方詩集」。
内容(「BOOK」データベースより)

人は孤独である。

本書は「人生処方詩集」と題された谷川俊太郎の作品集。
章毎にテーマを設け、そこからセレクトされた谷川さんの詩と
選出者である鴻上さんのエッセイが載せられています。
たった一人だけの夜にお勧めです。
良作。

「さみしくてたまらなくなったら」
「愛されたら」
そして
「愛されなかったら」

鴻上さんは谷川さんを「愛された人」。
失恋の哀しみより「愛の喜びうたう人」としています。
なるほど、谷川さんの「愛」には命が宿っていますよね。
ぬるぬるとして、生臭いまでの命、その喜びを感じます。
一方で僕はこの選集に触れて、谷川さんに通底する「冷徹」、
あるいは他人を突き放す「冷酷」を感じました。

詩は受け取る側の(その時の)状態によって
大きく左右されることを承知します。
けれど

結局、人は孤独である

そんな主張を、僕は谷川作品ではじめて感じました。
しかしそれが決して嫌ではなかったんですよね。
これ以上、詩を解説する愚は控えますが、
僕は「人は孤独である」ことに(自分でも訳が分からないけれど)
いっそ清清しささえ覚えてしまいました。

また鴻上さんのセレクトも良かったのですが、
それ以上に各章に寄せられたエッセイが素晴らしかったです。
彼の飾らない肉声と、瑞々しい感性に、
僕は一段と彼のことが好きになりました。
本書は『不死身の特攻兵-軍神はなぜ上官に反抗したか-』で
彼が気になったので手にしたけれど、
その結果は幸運なモノとなりました。
(もともと僕は谷川さんの詩が好きなんだけれど、
全作拝読しているわけではないので余計にそう思います)

最後に僕のお勧めの一編について。
実は「愛されたら」の章には僕の大好きな「女に」からが多いし、
また僕の人生の大切な思い出の詩
「魂のいちばんおいしいところ」もあります。
なのでどれを選ぶか非常に迷うところではありますが、
今回は「ひとりひとり」をあげたいと思います。
そして皆様には収録された章のタイトルそのままに
「さみしくてたまらなくなったら」読んで欲しいな。
もしかしたら今その瞬間の貴方の孤独が、
誇らしく感じられるかもしれません。

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おひざとだっこ

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姉妹そろって甘えん坊。

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小手鞠るい『泣くほどの恋じゃない』読了

京都の小さな塾で講師を務める凪子(なぎこ)。
ふとしたきっかけから教え子の父親、黒木と付き合いはじめるが、
いつからか会えない夜の耐え難い苦しみが凪子を襲う。
そんな絶望の時間を埋めるため、凪子は筆を執った。
他愛のない手紙を何通も、何通も―一文字一文字が、
一秒一秒の寂しさを埋めてくれた。
だが、小説家になるという果てしない夢を抱いた、
まさにそのとき残酷な運命が凪子を絡めとることに。
内容(「BOOK」データベースより)

タイトル詐欺。

本書は恋愛小説の名手『小手鞠るい』による一冊。
許されぬ恋を甘く切なく、女性らしい細やかな筆で描かれています。

生徒の父親との不倫
ラブレターとしての小説
そして
恋のウラオモテ

タイトルはほとんど詐欺レベルです。
これが不倫相手の黒木の台詞ならいざ知らず、
本書に描かれたのは凪子のほとんど生涯を捧げた恋なのです。
著者の意図だとしても、このタイトルはあまりにも不誠実でしょう
(もしかして不誠実を不倫にかけましたか?)

ただ肝心の内容は決して悪くありません。
きっと抑圧されたと思うのですが、それでも溢れてしまう情感が
(良いも悪いも含めて)女性らしいと好感さえ覚えました。

また一方で不倫を美化しすぎているとも感じました。
凪子の葛藤も覚悟もそれはそれで立派だと思いますが、
不倫で泣く人の視点が絶望的に欠けてはいないでしょうか。
不倫で本当に哀しい、寂しい……
いや、身も心も八つ裂きにされ、真の地獄に落ちるのは、
大手を振って恋人に会えない凪子ではありません。
その点には全く触れず

『泣くほどの恋じゃない(←タイトル詐欺)』

と(逆説的に)被害者面した厚顔なタイトルをつけた
著者と製作陣の意図に甚だ疑問が残ります。

斯様に本作は不倫から汚点を排除した純愛ラブストーリ。
このアンフェアな視点を受け入れるかどうかで
読者の評価は変ると思います。

蛇足です。
最近似たようなお話を読んだな、、と思って調べてみたら、
それは著者の『誰もいない』でした。
いやぁ、ホントにそっくり(笑)
『小手鞠るい』は恋愛小説の名手として有名だそうですが、
不倫を美化しすぎてどうにも僕には受け入れられません。
まだ二作しか読んでいないので多くは控えますが、
『小手鞠るい』の作品に男性でも共感できるものがあるのかな?
友人に紹介された作家なので、
できれば僕もファンになりたいのだけれど。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫17歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒4歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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