三上延『ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~』読了

ビブリア古書堂に舞い込んだ新たな相談事。それは、この世に存在していないはずの本―横溝正史の幻の作品が何者かに盗まれたという奇妙なものだった。どこか様子がおかしい女店主と訪れたのは、元華族に連なる旧家の邸宅。老いた女主の死をきっかけに忽然と消えた古書。その謎に迫るうち、半世紀以上絡み合う一家の因縁が浮かび上がる。深まる疑念と迷宮入りする事件。ほどけなかった糸は、長い時を超え、やがて事の真相を紡ぎ始める―。
内容(「BOOK」データベースより)

祖母と孫。

本書は『ビブリア古書堂の事件手帖』の
新シリーズ第二弾(で良いのかな?)
言葉にはならず(せず)、行き違いになる想いの数々に
なんとも言えない気分になりました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、とても面白かったです。
長年親しんだキャラクタは勿論、
新しく加わった扉子ちゃんが “動く” だけで楽しいのだけれど、
それ以上に本書は全体的な完成度の高さが光ります。
たとえば

2012年と2021年、それぞれの事件にあった思惑と繋がり
元華族と篠川家、ふたつの祖母と孫の関係
喪失した直筆原稿のオモテとウラ

斯様に、本作は要所要所で(ある意味の)二重構造となっており、
しかし破綻はなく、むしろ均整の美しさが際立ちます。
正直、シリーズモノだし、そもそもライトノベルなので
キャラクタ依存度が高い作品だとは思います。
けれど仮に僕がシリーズ未読で、いきなり本作を読んだとしても、
間違いなく心から楽しめたと思うんですよね。
なので横溝正史も『ビブリア古書堂』にも全く興味のない方でも、
本作は(単独でも)自信を持ってお勧めしたいです。

因みに前回から登場した大輔と栞子の娘の扉子ちゃん。
本作ではな、な、な、なんと!?
もう高校生になっていました。ひぇ~。
逆算?すると作中は2028年~2030年の間なので、
近未来ではあるのだけれど、そうですか……
僕も歳をとる訳だ(笑)
って、今回も謎の動きをみせる(栞子の母)智恵子じゃないけれど、
僕にだって孫がいてもおかしくはない歳。
僕には一生知ることは出来ないけれど、
孫って(出来の良い悪いに関わらず)可愛いんだろうなぁ。

蛇足:
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初版、P249-8行目。
『九年前、直筆直筆を盗んだのは…』の “直筆直筆” は
“直筆” が重なっています(それとも “直筆原稿” が正解?)

備考:
『ビブリア古書堂の事件手帖 ― 栞子さんと奇妙な客人たち』
『ビブリア古書堂の事件手帖2 ― 栞子さんと謎めく日常』
『ビブリア古書堂の事件手帖3 ― 栞子さんと消えない絆』
『ビブリア古書堂の事件手帖4 ― 栞子さんと二つの顔』
『ビブリア古書堂の事件手帖5 ― 栞子さんと繋がりの時』
『ビブリア古書堂の事件手帖6 ― 栞子さんと巡るさだめ』
『ビブリア古書堂の事件手帖7 ― 栞子さんと果てない舞台』
『ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~』

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夏バテ

今年は逃げ切ったと思ったのだけれど。
歳なのか、痩せたというより、しぼんでいる。

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穴場

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ココは風の通り道。
湿度もなく意外と涼しくて。

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加納朋子『二百十番館にようこそ』読了

ネトゲ廃人で自宅警備員の俺は、親に追放されるように離島での暮らしを始める。金銭面の不安解消のためにニート仲間を集めてシェアハウスを営むうちに、ゲームの中だけにあった俺の人生は、少しずつ広がってゆき…。青い海と空のもと始まる、人生の夏休み!
内容(「BOOK」データベースより)

影で見守る。

本書は離島に集められた(?)ニート達が再生する物語。
彼等をとりまく(影ながらの)支えの数々に、
胸が熱くなりました。

内容はバッサリ略で一言、良かったと思います。
ありきたりなニートの再生モノだし、
そのトリック(?)も割と早い段階で読めてしまう。
けれど、やっぱりこみ上げるモノがあるんですよね。
それが親の愛と言ってしまえばそれまでだけれど、
この点は素直に感動できました。

ただし、それ以上がありません。

都合が良すぎるし、恵まれすぎている。
ストーリも使い古しのテンプレートそのままです。
僕は今でも『ななつのこ』、『魔法飛行』、『掌の中の小鳥』等、
傑作を連発した『加納朋子』を期待しているのだけれど、
それはもう無理な注文なのでしょうか。

補足でニートモノらしく(?)、
オタクネタがふんだんに散りばめられています。
僕はエヴァやもののけ姫ぐらいは判ったけれど、
ダブルオーやハンターハンターにゴールデンカムイ。
さらにはルーキーズのそれなんかは全くついて行けませんでした。
僕と同年代以上の方はご留意を。

蛇足で猫タンに嫌われる行為(?)について。
それは台風の騒動で活躍した<俺>が帰宅したとき、
猫のチャットちゃんが彼を激しく避けた理由なのですが……。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
猫と暮らしている方なら「あるある」ネタだと思います(笑)
因みに歯磨きのついた歯ブラシの匂いを嗅ぐとき(嗅いだ直後)も
同じ反応になりますよね。我が家のえる坊なんて、
もう19年も同じ過ち?を繰り返しています(笑)

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寝相 その2

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える坊の伸びた手(※)がいとおかし。

※ 香箱ではなく、スフィンクスみたいに前へならえ^^

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歌田年『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』読了

どんな紙でも見分けられる男・渡部が営む紙鑑定事務所。ある日そこに「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした女性が、彼氏の浮気調査をしてほしいと訪ねてくる。手がかりはプラモデルの写真一枚だけ。ダメ元で調査を始めた渡部は、伝説のプラモデル造形家・土生井と出会い、意外な真相にたどり着く。さらに翌々日、行方不明の妹を捜す女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って渡部を訪ねてくる。土生井とともに調査を始めた渡部は、それが恐ろしい大量殺人計画を示唆していることを知り―。
内容(「BOOK」データベースより)

ほとんど超能力。

本書は紙鑑定士と伝説のプラモデル・モデラーの活躍を描いた一冊。
紙と模型の造詣の深さに感心しました。

内容はバッサリ略で一言、うーーむ。
本書は第18回『このミス』の大賞受賞作であり、
従前の期待が大きかった分、残念な結果になってしまいました。

たとえば、折込には警察に届いた手紙が再現されており、
否が応にも「本格」を予感させます。
で、僕はきっとこの手紙の質感、肌触り。
ひいては紙の銘柄が事件解決の鍵になる、と読んだのですが……。
結局、この凝った細工(コストも掛かったでしょうに)は
事件の解決に全く関係なく、
ただの飾り?に終わってしまいました。

また肝心の内容にしても、哀しいほどリアリティが感じられません。
たとえば渡部(達)が重要な場所に辿り着く様子は、
もはや漫画か超能力かグーグルマップか!(苦笑)って感じです。
さらにはラストの対決があまりにも漫画チックであり、
白けすぎていっそ途方にくれてしまいました。
僕はミステリィ(しかも『このミス』の大賞作!)を
読んでいたはずなんですけどね。
これではあまりにもあんまりです。

因みに紙と模型のウンチクはそれなりに感心しました。
ただそれが読者の興味を惹く内容かと言えば疑問符かも。
たとえば僕なら感心したのは著者(登場人物)の博識であり、
その内容は割とどうでも良かったかも知れません。

以上、本書は「本格」どころか「ミステリィ」のカテゴリでさえ
いささか疑問が残る作品。
ただ目の付け所は良いと思うので(ニッチなウンチクがある)、
そちらに興味のある方にはお勧めです。

蛇足でガンダムの30バンチ事件について。
作中、洋紙の原紙寸法が語呂合わせで紹介されており、
中でも菊判のそれはガンダムネタで再現されていたのですが……。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕はこの語呂合わせにシーマ・ガラハウの苦悶の表情が
鮮明に蘇ってしまいました。
それは語呂合わせの通りに『鬼畜の所業』だったけれど、
鬼畜にも事情や苦悩があったこと。
大げさに言えば、戦争のむごさこそ想像します。

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寝相

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ふうのお腹がいとおかし。

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百田尚樹『カエルの楽園2020』読了

二匹のアマガエルがたどり着いた夢の楽園は悲劇的な末路を迎えたはずだったが、悪夢の翌朝、二匹はなぜか再び平和な地にいた。今度の世界では、ウシガエルの国で「新しい病気」が流行っていたが、楽園のカエルたちは根拠なき楽観視を続ける。しかし、やがて楽園でも病気が広がり始め…。国難を前に迷走する政府やメディアの愚かさを浮き彫りにし、三通りの結末を提示する、警告と希望の書。
内容(「BOOK」データベースより)

本書は『百田尚樹』によるカエルシリーズ(?)第2弾(1,2
今回も日本の現状を寓話に見立てており、
ひとつの側面として強い説得力がありました。

平和ボケしたナバージュのカエル達
愚鈍な元老と卑劣なマスコミ
そして
他国で発生した「新しい病気」

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
機微に触れるので感想は控えますが、
新型コロナウィルスが猛威を振るう日本の(世界の)現状を、
上手く取り入れていたと感じました。

また、いわゆる『百田尚樹』そのままの内容です。
色々な意見はあると思うけれど、所詮はフィクションですからね。
目くじらを立てる必要は全く無いと思います。

エンディングはグッド、リアル(←コレだけ小説ではない)、
バッドの三通りが用意されていました。
現実世界の状況にあわせて……と言った事情もあった様ですが、
著者の保険?逃げ?みたいなモノもちょっぴり感じたかも(笑)
因みに僕はグッドのそれになれば良いな、って思うのだけれど、
ほとんど間違いなく無理でしょうね。とても残念だけれど。

以上、本書は思想には一切関係なく、
暑い夏にちょっとリアルな怪談として(も)お勧めです。

ここからは蛇足で、嫌いな人との付き合い方について。
とは言っても、政治的な話では全く無いのですが……。
僕はこのブログで何回も発言している通り、
人だろうが国だろうが(仕事や勉強や趣味、
とにかく何だってそうなんですが)

無理に仲良くする必要は無い。
どうしても嫌なら離れよう。

が基本姿勢です。他人を変えることは出来ないし、
かと言って自分ばかりが相手に合わせるのも疲れちゃいますよね。
それでも喧嘩だけは絶対に避けたいし……。
なのでそれが未来永劫とは言わないけれど、
どうしても嫌な相手なら一旦離れてみる。
それがお互いの利益になるのでは?と考えます。
この意見、ハンドレッド(=百田さん)や
デイブレイク(=朝日新聞)ならどう評価してくれるかな?

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歯医者に行きました

治療済みの歯が痛みサブジェクト。
結果、二日(連続)通院しておしまい。予後良好です。
で、今は虫歯も削らないんですね。それに直ぐ終わる。
ちょっとしたジェネレーション・ギャップでした。
(昭和は直ぐにガリガリ削ったよなぁ……)

因みに院内は大変に綺麗だし、医師は優しく懇切丁寧。
看護師?の方もとても素敵でした。
(昭和は薬品臭くて、医師も看護師もおっかなかったイメージ。
おいてある漫画だけが楽しみだったなぁ……)

従前は緊張したけれど、良い方向にあっけなくてビックリ。
今度また歯が痛んだら、もう少し気軽に診てもらおう。
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※ コロナ対策でレーザーで(眉間を撃たれて?)体温を測りました。

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警戒レベル3

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本日も警戒を厳に。

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でも、父ちゃんは怪しくありません。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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