青山文平『かけおちる』読了

二十二年前、妻と姦夫を成敗した過去を持つ地方藩の執政・阿部重秀。残された娘を育てながら信じる道を進み、窮乏する藩財政を救う秘策をついに編み出した今、“ある事情"ゆえに藩政を退こうとするが―。重秀を襲ういくつもの裏切りと絶望の果て、明らかになる人々の“想い"が胸に響く、感涙の時代長編。
内容(「BOOK」データベースより)

度しがたい。

本書は疲弊する地方藩の執政・阿部重秀の物語。
すれ違ってしまう男と女の情愛に、哀しみと怒りが 1:3 となりました。

内容はバッサリ略で一言、良かったと思います。
それは都合三度あった駆け落ちにも、女達には女(妻)なりの理。
一途な願いと犠牲の精神があったから。

一方で男達にも男(夫)なりの事情。
背負っているモノや、譲れない一分がありました。
正直、僕は女達にはほとんど直截的な嫌悪感を。
男達には尊敬に近い共感を覚えるのだけれど、
どちらも共通していたのは

度しがたい。

きっと当時(武家社会)はおろか、
自由の浸透した現代でも何一つ変わってないと思うのだけれど、
結局、男と女はどこまで行っても相手の本当のトコロを理解できない。
本作にあった悲劇はそれを顕していたと感じます。

最後に。
哀しい、痛ましい物語ではありますが、
ラストは一応の救済みたいなモノもありました。
それでも武士として腹を召した娘婿・長英を想えば、
やっぱり頭に浮かぶのは『度しがたい』なんですよね。
それは理津(妻)を残して逝く長秀(夫)に怒りを覚えつつ、
『自決』の魅力を決して否定するコトができない。
そんな僕自身に対する『度しがたい』も含みます。

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小康

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相変わらず寝てばかりだけれど、
暖かくなって最近は少し良いみたい。
こんな日が永遠に続けば良い。

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新堂冬樹『ミッション』読了

逃げ足の早さだけが取り柄の編集者・三沢は、謎の一団に拉致され暴力団組長の娘を殺せと命じられた。断ると婚約者の命はないという。そして奇妙な訓練―量販店で万引き、不良の耳ピアス奪取、キャバ嬢に路上キス―を強要されることに。なぜ三沢が選ばれたのか?一団の真の狙いは?傑作ノンストップ・サスペンス。
内容(「BOOK」データベースより)

被害者ヅラ。

本書は理不尽な要求に七転八倒する編集者・三沢の物語。
オビには『傑作ノンストップ・サスペンス』とありましたが、
“傑作” と “サスペンス” には首を傾げてしまいました。

内容はバッサリ略で一言、うーん。
恥ずかしながらはじめて著者の作品を手にしたのだけれど、
僕には全く合わなかったようです。

正直、書くべきが何もないのだけれど、
本書は(も)いわゆる図書館でのジャケ借り。
なので当然こんな事もあると承知しています。
だからこそ、当たった時の喜びは大きいんですよね?
これからもドンドン、ジャケ借りしちゃおう!

……って、コレだけでは何なので強いてひとつだけ。

本書の改題前のタイトルであり、
三沢の述懐にもなっていた『日本一不運な男』。
これには「鼻白む」を通り越して、嫌悪感さえ覚えてしまいました。
ネタバレを避けますが、不運な男とは、

意味もなく殴られ、前歯を折られた(奪われた)チンピラだし、
人としての尊厳を永久に奪われた編集長・水村。

その他、通り魔・三沢の被害者となった人達のコトではないでしょうか。

以上、本書はミステリィでもサスペンスでもない一冊。
あえてジャンル分けするなら、コメディかギャグが近いと思います。
ただし、僕にはひとつも笑えません。
この辺りは人それぞれではありますが、念のためご報告。

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打ち上げられたトド

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毎度のことですが、ピクリとも動きません。

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芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』読了

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。元不倫相手を見返したい料理研究家…始まりは、ささやかな秘密。気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。取り扱い注意!研ぎ澄まされたミステリ5篇。
内容(「BOOK」データベースより)

嘘。

本書は秘密にまつわる五つの短編集。
秘密を守るために、多くの嘘がありました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、非常に面白かったです。
いづれも大事件と言うわけではないのだけれど(過失致死はあり)、
ミステリィとして十二分の刺激がにありました。

ここからは一言感想を。

『ただ、運が悪かっただけ』
何も残せないのなら、せめて引き取れないだろうか(本文より)
この一文に、大げさに言えば天啓にうたれとさえ感じました。
(この胸に刻んでおきます)

『埋め合わせ』
五木田の「埋め合わせ」に捻りがありました。
ただ、元々が大した?話には思えず、
リアリティもあまり感じられませんでした。

『忘却』
もし究極の選択で「忘れてしまう」と「忘れられない」があったとしたら、
僕は「忘れてしまう」を選びたい。
少なくとも「忘れられない」よりは楽だと思うから。

『お蔵入り』
芸能界のコトに詳しい訳じゃないのだけれど、
いかにもありそうな話と感じました。
それにしても “イジる” って、これ以上なく下品な行為だと思います。

『ミモザ』
元恋人に夫の男二人が恐ろしい。
美紀子はそこから逃げ出して、(もう一度)キチンと離れて欲しい。

以上、本書には様々な嘘がありました。
因みにミステリィなので嘘の顛末が肝心だと思うのだけれど、
僕は顛末よりも目的の方が印象に残ったんですよね。
本書にあった嘘は

自分を守るため。利益を得るため。仕返しのため。

そして

愛する人を護るため。

そんな目的があった様な気がします。
惜しくも直木賞は逃してしまったけれど、
多くの方に自信を持ってお勧めです。

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ロシアン・ティー

先日、いちごのゼリーには甘さが足りないと書きました(コチラ
実はその後、甘さを追加?加速?するため、
いちごゼリーにいちごジャムを加えて楽しんでいたんですよね。
で、そこで気が付きました。

もう直接ジャムを舐めれば良くないか?って。

と言う訳でロシアン・ティー。
勿論、紅茶にジャムを入れず、舐めながら飲む正統派スタイルで。

まだ初心者だけれど、僕の甘いモノ探求はココに極まった気がします。
カロリーや糖尿病や依存症が怖いから一日一杯を制限とするけれど、
しばらくロシアン・ティーを楽しまない日はないでしょう。
いちごジャムを直接舐める。これ以上はありません。
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落ちそう

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モンニョリ顔の妹さん。

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クッションから落ちそうです。
って、隣にもう一つクッションがあるでしょう?

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ジッド/著 神西清/訳『田園交響楽 改版』読了

身よりもなく、まったく無知で動物的だった盲目の少女ジェルトリュードは、牧師に拾われ、その教育の下でしだいに美しく知性的になっていった。しかし待ち望んでいた開眼手術の後、彼女は川に身を投げて死んでしまう。開かれた彼女の眼は何をみたのだろうか。牧師と盲目の少女、牧師の妻と息子との4人の愛情の紛糾、緊張を通して、聖書の教え「盲人もし盲人を導かば」の悲劇的命題を提示する。
内容(「BOOK」データベースより)

盲人は誰?

本書はノーベル文学賞受賞作家による一冊。
聖書の教え「盲人もし盲人を導かば」の一例を、
悲劇的、もしくは冷笑的に描かれていました。

内容はバッサリ略で一言、とても良かったです。
それはテーマが一つでありながら存外に多面的であり、
単純な解釈を許さない “厚み” みたいなモノがあったから。

タイトルの「田園交響楽」は、
盲目の少女・ジェルトリュードが想像するこの世界。
美しく、調和のとれた

小川のほとりの景色(本文より)

の様に、完璧な世界を顕しています。
けれど当然ながら(牧師の言葉を借りるなら)
この世界は悪や罪や死で汚されていますよね?
そこからは目の見えない人間の幸福(=目の見える人間の不幸)が
視力のある者とない者の間で論じられて行きました。
ラストは手術によって視力を得たジェルトリュードが
その目にとある絶望を映し(改宗した)カトリックでは許されてはいない
自死を選んでしまうのですが……。

その詳細は本書に譲りますが、
僕が最初に感じたのはガッカリ(←凡人の感想でお恥ずかしい)。
それは途中(具体的には第一の手紙)までは哲学的かつ宗教的。
もっと言えば普遍的なヒューマニズムを予感(期待)させていたからです。
でも結局そこにあったのは存外に俗物的な愛憎劇であり、
乱暴に言えば老人(男)による醜悪な横恋慕。
それがちょっと残念に感じてしまいました。

ただそれでもなお、作中に何度もあるキリストの言葉。
たとえば本作のテーマである『盲人もし盲人を導かば』は勿論、

『もし盲目なりせば、罪なかりしならん』

や、

『われ曽て律法なくして生きたれど、
誡命きたりし時に罪は生き、我は死にたり』

の論説(とその一例)には、
深い趣と単純を許さない多面性があったと思います。
個人的には陳腐な恋愛よりも、
コチラを追及してほしかった気がします(エラソーにスミマセン)。

蛇足で解説にあったのだけれど、
本作のモデルとなった著者の実際では、
少女・ジェルトリュードはマルク・アレグレと言う美青年だったそうです。
うーーん、妻・アメリー(実際はマドレーヌ夫人)に、さらなる同情を。

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ミック・ジャガー新曲「Eazy Sleazy」をYouTubeでサプライズ公開。デイヴ・グロールがゲスト参加

詳細はコチラ

いやぁ~、良いなぁ~。
ミックと言うより、21世紀以降のストーンズらしい一曲。
オーバ・プロデュースだけれど、どこか垢抜けないトコロが良いんですよね。
特にギターのリフ。このダサさが最高に格好良いのです!!

僕は専門家ではないので
新型コロナウイルスおよびワクチンの是非については控えるけれど、
ミックの

Everything's gonna get really freaky ~ ♪
直訳:全てが奇妙になる。yuki意訳:それが普通になる(≒だから大丈夫)


に同感です。

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夏石鈴子『今日もやっぱり処女でした』読了

「人生って、何歳ぐらいまで迷っていていいのかな?」山口あおば、24歳。イラストレーターになる夢を追いかけて、派遣社員をしながらイラストを勉強しているけれど、自分の居場所と将来に自信がもてない…。ほっとして、じんわり元気が出る「あおばの物語」第一弾。
内容(「BOOK」データベースより)

今日もやっぱり。

本書は都内に住む派遣OLを描いた一冊。
毎日「このままで良いのか?」と漠然とする様子がありました。

内容はバッサリ略で一言、うーん。
申し訳ないのだけれど、僕には合わなかった様です。
なので今回はミニ・コメントをいくつか。

・P16 『一寸の虫にも五分の魂』に例え、
 あおばは自身の魂を “小さい” としていました。
 でもあおばの魂なら結構大きいですよね?
 79cmもあります(あおばの身長は158cm)
・P44 ウルトラマンに出ていた赤ちゃん怪獣。
 最初はダダかな?って想像しました。
 先生は「目鼻立ちのハッキリしたお地蔵様」ってあったし。
 でも後々よく考えたらピグモンかも知れません。
・P132 本物の玉虫。たぶん僕も見たことありません。
・P138 妖怪人間ベム。おっかないというより、気味が悪かったです。
 因みに僕も彼等が人間になれたかどうか知らなくて。読後に調べちゃいました。
・P200 サザエさんらしいポーズ。現在のトレンドの取り入れが絶対条件なら、
 ハートのポーズは如何でしょう(サッカーのベイルみたいに)。コレも古い?
・実は僕の母校の最寄駅が、本書の舞台と同じ三軒茶屋。
 当然、あおばと同じく田園都市線ユーザでした。
 でも、先日とあるライブでウン十年ぶりに訪れたら、
 当時の面影はほとんど見つけられなかったんですよね(少なくとも駅周辺は)
 勿論、当時は西友もなかったし。
 ただ記憶よりも「随分小さな街だったんだなぁ」って感じました。

最後に。
乱暴に言ってしまえば、本書は起承転結の起承しかない作品。
それはそれで構わないのだけれど(そういう名作もたくさんありますし)、
僕にはそれ以外の「わびさび」みたいなモノが見つけられませんでした。
またタイトルにある「処女」も、内容をほとんど顕していないコトを付記します。
あえて注目するなら「今日もやっぱり」の方だと思います。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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