伊坂幸太郎『ペッパーズ・ゴースト』読了

少しだけ不思議な力を持つ、中学校の国語教師・檀(だん)と、女子生徒の書いている風変わりな小説原稿。
生徒の些細な校則違反をきっかけに、檀先生は思わぬ出来事に巻き込まれていく。
内容(出版社内容紹介より)

ヘディングしても判らない。

本書は著者の『作家生活20年超の集大成』と銘打たれた一冊。
ニーチェからのオマージュが多用されており、
それは伊坂ワールドとの相性がバッチリでした。

内容はバッサリ略で一言、非常に面白かったです。
それは人生の残酷な面と希望の面がおよそ 9:1 で描かれており、
しかし、僅か “1” の部分に趣があったから。

予知夢の見える先生
猫殺し(に関わる者)に罰を与えるネコジゴハンター
爆弾テロによって家族を殺された被害者たち

テーマのひとつにニーチェの「永遠回帰」がありました。
それは観念的であり、解釈は幾通りもあると思うのだけれど、
本作にあったのは同じ人生が繰り返されるコトの “残酷” さ。
もう少し言えば

不幸な人は、何度人生をやり直しても、また同じ不幸を繰り返す。

そんな地獄だったと思います。
なので読書中は面白さとは全く別のトコロで、
胸を痛めるコトが多かったです。
それでも、ラストのご都合主義すぎる “可能性” に、
微かな救いも(しかし確実に)ありました。

以上、本書はメタな方(?)の『伊坂幸太郎』だった一冊。
しかし伏線回収の妙は、主流な方(?)の『伊坂幸太郎』にも劣りません。
ファンのみならず、どなた様にも自信を持ってお勧めです。

蛇足です(もろネタバレを含むので、以下反転文字)。
主人公・檀先生のお母さんではないけれど、
僕はどんなに『ヘディング』しても一つだけ判らないコトがありました。
それはクリニック爆破事件の犠牲者の「もう一人」です。
因みに

・少なくとも爆発は三回
・亡くなったのは犯人一人、人質が三人。
・クリニックに残ったのは庭野、康夫、康江
・クリニックを逃走したのは野口、哲夫、将五、沙央莉
・逃走した四人をネコジゴハンターの二人(と檀先生)は彪子から聞いている

以上のコトから、僕は亡くなった人質の数が、
“3” ではなく “2” の誤りなのでは?って、疑問が残ってしまいました。
それでも、これは沙央莉の為のミスリード(の罠)なのかな?って、
思ったり思わなかったり(自信なし)。
でもそれだと何故、ネコジゴハンターの二人(と檀先生)が
沙央莉の存在を忘れていたのか意味不明なのだけれど……。
うーん、ヘディング、ヘディング!(笑)


おまけ:
A Day In The Life
BGM: The Beatles / A Day In The Life
ビートルズの中でもサージェント・ペパーズは
僕の3番目にお気に入りなアルバム。
でもこの曲は彪子と同じで、
ちょっとだけ不気味にも感じていました(同じ意見で嬉しい!)

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リタイア

技術が報酬に追い付かない
僕はもうエンジニアではない

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津村記久子『つまらない住宅地のすべての家』読了

とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。
内容(出版社内容紹介より)

外からは見えない。

本書は路地を共有する十軒の家庭と女性逃亡犯の物語。
小さなコトが次々と繋がって行く様子に、少々奇妙な気分になりました。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
それは「つまらない」とされる十軒の家庭のほとんどが、
逆説的に?割とありふれた事情を抱えていたから。

妻(母)が実家に戻ってしまった父子家庭
娘達を置いて男にばかり尽くす母のいる家庭
一番大きい敷地を有しながら近隣に一切配慮しない家庭
etcetc.

中にはちょっと笑えない計画を企てる独身世帯もあったのだけれど、
僕はそれほど驚愕?違和感?を覚えなかったんですよね。
理由は、誰もが家を出た瞬間から「世間体」と言う名の仮面を被る。
だから、その本当のトコロなんて(たかがご近所さん程度に)判る筈もない。
そう考えているからです。

閑話休題。

作中、十軒の家庭だけでなく、もう一人の重要人物、
逃亡犯の昭子にも彼女なりの事情(逃亡理由)がありました。
当然?コチラもその事情は他人には見えない(判らない)のだけれど、
人の口に戸は立てられませんでした……。
ただ、ラストにあった(彼女の周囲の)奇妙な連帯感みたいなモノが、
微かな救いだったとは思います。

以上、本書はそれぞれに事情を抱える、
割とありふれた家庭と逃亡犯を描いた一冊。
けれど、わずか230ページちょっとに、
十の家庭と一人の女性の話を詰め込んであるので、
“深み” みたいなモノはほとんどありません。
なので小説と言うよりも、
「週刊文春」みたいなゴシップ雑誌を読む感じでどうぞ。

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馳星周『黄金旅程 EgonUrrea』読了

装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたものだったが、騎手だった亮介が覚せい剤所持で刑務所に入ったこともあり譲り受けた。
内容(出版社内容紹介より)

背負うモノ。

本書は北海道(主に浦河、日高)を舞台に、競馬に関わる人々を描いた一冊。
サラブレットが駆ける時に背負うモノ。その多さに言葉を失くしました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、ため息が出るほど面白かったです。
それは多くの人達がサラブレットに入れ込み、
しかも、それぞれのやり方で慈しむ様子があったから。

馬の死に胸を痛める生産牧場の娘
馬の死に立ち向かう女獣医師
馬を死から遠ざけるために馬に乗る調教師補佐
馬が寿命を全う出来る様に養老牧場を営む装蹄師etcetc.

正直、僕は競馬の全くの門外漢です。
なので判り辛い箇所も少なからずあったし、
きっと掴みきれていないニュアンスもあると思います。
それでも、一頭のサラブレットが
一人のジョッキーだけを乗せて走っているのではないと言うコト。
月並みに言えば、それは多くの人達の生活や夢や将来の選択。
さらにはサラブレット自身の運命も乗せて走っていると言うコト。
競馬の素人(僕)は素人なりに、驚くコトが多かったし、
共感……と言うか、ある種の感動を何度も何度も味わいました。

ラストは出来過ぎからの膝カックン、って感じかな。
それでも点数につけるなら100点満点しかありえないし、
何より直後の(甘すぎる)エピローグが最高です!
黄金の旅路がこれからもずっとずーーっと続くコト。
願って止みません。

以上、本書はノワールではなく、動物モノの『馳星周』。
勿論、著者らしく “愛” の綺麗毎だけには終わりません。
例えば、人間が都合よく改良し、
毎年多くの命が奪われているサラブレットの現状。
その問題提起や、改善の取り組みにも触れられています。
競馬のファンはもとより、そうでない方にも自信を持ってお勧めです。

おまけ:
STAY GOLD
BGM: ZIGGY / 主役馬・エゴンウレアの名前はコレのバスク語だそうです。

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神足裕司/著 西原理恵子/絵『コータリン&サイバラの介護の絵本』読了

老人ホーム検索サイト「みんなの介護」の人気連載「コータリさんからの手紙」で大反響!「要介護5」のコラムニストが描く愛と介護の日々―。
内容(「BOOK」データベースより)

羨望も。

本書は「くも膜下出血」により要介護度5となった著者のエッセイ集。
長年の相棒?サイバラの身も蓋もない一コマ漫画と共に、
(不謹慎だけれど)明るい気持ちにもなれました。

内容バッサリ略で一言、面白かったです。
それは、従前に割とクズ(失礼)だったコータリンが、
病によって誠実な人間に変化した(と観察される)コト。
それに比べ、サイバラは相変わらず空気の読めない(読まない)
糞な人間だったコトです(←貶してはいません)。

ほとんどが要介護度5となったコータリンのツイート・レベルの内容です。
悪く言うつもりはないのだけれど、
そこに深さを求めるのはいささか酷だと思います。
それでも、自分の(肉体の)現状をキチンと把握しつつ、
家族や仲間やケアマネジャ等に感謝の気持ちを忘れない。
サイバラの言じゃないけれど、
この善人キャラへの(病後の)変化はちょっとズルいとさえ感じる程でした。
ただ僕は思うのだけれど……。

例えば人が誰かを憎む、妬む、怒るのって
メチャクチャ、エネルギィが必要ですよね。
(それこそ恨ミシュランですな)

一方で、例えば風邪をひいて弱った時なんか、
ちょっと優しくしてくれる人に対して、好意を抱いちゃう(感謝しちゃう)
みなさんもそんな経験があるのではないでしょうか。

だからと言ってコータリンがそうだとは言わないけれど、
他人に嚙みついてばかりの毎日から、今では感謝の日々を送れているコト。
例え身体が不自由でも、精神的に(ある程度の)安定を獲得しているコト。
コータリンやご家族には大変失礼な話かも知れないけれど、
彼が羨ましいさえと感じる瞬間が(僕には)ありました。
僕は健康に恵まれているのに、恨みや怒りを消せない愚者だから。

以上、本書は過去の栄光?と現状の対比を明るく、
しかし真正面から綴った一冊。
障碍者の気持ちの本当のトコロなんて僕には判らないけれど、
彼等は彼等なりにキチンと筋を通して考えていると言うコト。
それは至極当前のコトだと思うのだけれど、
それでも僕の視野を広げてくれました。
介護者、被介護者のどうかに関わらず、多くの方にお勧めです。

蛇足。
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僕は彼の(彼らコンビの)30年以上前からの大ファンです
だからって特にないのだけれど……。
コータリン、またどこかの書籍で会おうぜ(必ず会おうぜ)。
そしてコータリンが雀荘に来られるようになったら、いつだって僕を呼べ。
最上級のリスペクトを込めて、その身ぐるみを剝いでやる。

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怪我が治らない

具体的には去年11月に出来た左耳たぶの傷。
治ったと思ったらグジュグジュ。
治ったと思ったらグジュグジュ…の繰り返し。
歳をとるって、こう言うコトか。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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