朝井リョウ『少女は卒業しない』読了

今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。
内容(「BOOK」データベースより)

卒業。

本書は閉校となる高校の最後の卒業式を中心とした連作短編集。
卒業にある寂しさが多くを占めますが、決してそれだけではありません。
未来へ踏み出す勇気みたいなモノもありました。
佳作。

ここからは一言感想を。

『エンドロールが始まる』
先生に「好きだった」と “過去形” で言えたコト。
よく頑張ったね。これは終わりじゃなくて、始まりですよ。

『屋上は青』
泣きながら踊る男の子。
泣くのを堪えてふうふうと変な息をしちゃう女の子。
どちらも辛いのをよく耐えました。

『在校生代表』
TV「学校へ行こう」の未成年の主張みたい
(コチラは卒業式の送辞だけれど)
ライブが終わった後、二人はどうなったのかな?

『寺田の足の甲はキャベツ』
別れを前にして、しかし流されず、自分で自分の道を決めたコト。
二人は誇りにして欲しい。自分を褒めて欲しい。

『四拍子をもう一度』
好きな男の子の美声をみんなに披露したい女の子。隠したい女の子。
どちらも判るような気がします。
因みに森崎君が歌ったのは(ヒント:4拍子、ボーカルはポール)
「Hold Me Tight」と予想しました。

『ふたりの背景』
本書の一番。
正道君もH組の皆も素敵な人達。勿論あすかちゃんも。
「向き合う」ではなく「すれ違う」。それは悲しいけれど大切なコトかも。
因みに前章で森崎君が歌った曲名が明らかにされています。
答えは本書でご確認していただくとして、僕の予想はハズレでした。

『夜明けの中心』
哀しい事故で親友を、恋人を失った男女のお話。
読者(僕)でさえ、もうやりきれなくて。
せめて時間が少しでもその痛みを和らげる事。切に願います。

以上、本書は卒業にある、別れと旅立ちを描いた作品。
やや違和感を覚える箇所もあったし、
キャリア初期の作品だからか筆の魅力もいま一つ。
けれどそれを補って余りある正統派の青春モノです。
どなた様にも安心してお勧めです。

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毛玉

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たまに作ると、いつまでも遊んじゃう。僕が。

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飯嶋和一『始祖鳥記』読了

ひたむきにおのれを生きた世界最初の“鳥人”備前屋幸吉!空前の凶作、貧困で、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の天明期、大空を飛ぶことにおのれのすべてを賭けた男がいた。その“鳥人”幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀幕府の悪政に敢然と立ち向かった。
内容(「BOOK」データベースより)

永遠が見る夢。

本書は世界で最初に空を飛んだと伝えられる表具師・備前屋幸吉の物語。
厄災の続く天明期において、一筋の光を大空に描く様子がありました。
良作。

内容はバッサリ略で一言、非常に面白かったです。
それはフィクションでありながら、
綿密な時代考証と残された資料(史実)によって裏打ちされた
説得力と臨場感があったから。

“銀払い” の表具師が飛ぶ理由
行徳の塩を巡る男たちの闘い
そして
再び安住の地を得ても充たされぬ何か

本書には多くの死があります。
飢饉で命を落とした二人の女童。塩の専売に抗った塩問屋。
たくだ丸の名舵取りetcetc.
そんな彼等の死を直接的にあるいは間接的に接して、
幸吉は彼なりの気付きを得ました。
それは

(人の一生は)永遠と呼ぶものの見ている一時の夢。
永遠が目を覚ませば、瞬時にして己の生もかき消える
(本文より抜粋)

乱暴にまとめてしまえば「人生なんてはかない」になるでしょう。
だからこそ幸吉は抑えることのできない己の中にある衝動を
(罪科に問われることを恐れずに)迷わず解き放ちました。

それは誰の為にでもなく、ある意味では自分の為にでもなく。
それが周囲に理解されなくても、また曲解されたとしても。

ただただ思うがままに幸吉は大空に向い、駆けだします。
ラストは大いなる感動……とはちょっと違うのだけれど、
確かな余韻が長く長く続きました。

幸吉は飛んだから凄いのではありません。

一念を貫き通したその姿勢こそが凄いのです。

以上、本書は誰のためにではなく、
衝動の突き動かすままに大空を駆け抜けた表具師の物語。
おおげさに言えば「大作」と言って差し支えのない素晴らしい作品です。
多くの方に自信を持ってお勧め。

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日常

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断酒会 2023/5/26

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恥も外聞もとっくの昔にない。
今夜はただただ飲酒欲求を紛らわせたくて、
臆面もなく仲間の力を借りに来た。

いまは予約した初診の、抗酒剤を貰える筈の6/1まで。
それだけを目標にもがきにもがいている。

開始:2023/5/24
断酒3日目

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もう駄目だ

断酒会の力を借りてもお酒を止められない。
もう医療に頼るしかない。
こんな自己責任の病気で医療費(自己負担3割)を使う事になって
本当に申し訳ございません。
でもどこも予約が一杯で6/1まで診察も薬も処方してもらえない。
僕はそこまで断酒を続けられるのか、全く自信がない。
今は不安と飲酒欲求で頭が一杯だ。

開始:2023/5/24
断酒2日目

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日常

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逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』読了

1942年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊の村に住む狩りの名手セラフィマの暮らしは、ドイツ軍の襲撃により突如奪われる。母を殺され、復讐を誓った彼女は、女性狙撃小隊の一員となりスターリングラードの前線へ──。
内容(「BOOK」データベースより)

敵は誰だ?

本書は独ソ戦における、
ソ連の女性だけの狙撃小隊(第三十九独立親衛小隊)を描いた作品。
戦争においては白も黒も “ない” 様子がありました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、とても面白かったです。
それは善と悪、敵と味方。そして、男と女。
そんな単純な線引きを軽々と超える、超えさせてしまう
戦場の狂気と人間の業(ごう)があったから。

復讐のため、「戦う」を選んだ主人公・セラフィマ
復讐を糧にさせ、陰ながら「生きる」へと導くイリーナ
女性が戦えるコトを示すため、戦いに参じたシャルロッタ
敵味方なく全ての子供達を守るために戦うママ(ヤーナ)
ただ自由を得るために銃をとるアヤ
ウクライナのコサックの名誉のため、彼女なりのやり方で戦うオリガ

そして

セラフィマの母を殺した仇敵、ドイツの凄腕スナイパー・イェーガー

物語のテーマの一つに「敵は誰なのか?」がありました。
前述の通り、第三十九独立親衛小隊の隊員だけをみても、
「戦う」理由はそれぞれが別であり、おのずと敵の姿も違ってくる。
例えばセラフィマなら、当初は復讐のためにフリッツ(ドイツ兵)を、
カッコー(ドイツの狙撃兵)のイェーガーを敵と定めました。
しかし、厳しい訓練と、激戦の戦場を駆ける中から、
彼女の戦う理由は「女性をまもるため」に変化して行きました。
したがって彼女の敵も徐々にその “カタチ” を変え……。
ラストは、セラフィマがもう一つの(もう一人の)敵を撃つのですが、
僕は喝采ではなく、彼女の心に寄り添いたい。強くそう思いました。
僕は男なので、こんな事を言える立場ではないのだけれど。

以上、本書は第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞の他、
2022年本屋大賞受賞、キノベス! 2022 第1位、
第9回高校生直木賞受賞etcetcと、多くの賞をかっさらった作品。
シリアスな内容ではありますが、装画から予想する通り、
ラノベみたいにサラッと読めちゃいます(褒め言葉)。
どなた様にも自信を持ってお勧めです。

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日常

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新川帆立『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』読了

通称:令和反逆六法。ミステリー界の新星が、元弁護士で元プロ雀士という経歴を生かして仕掛ける、初のリーガルSF短編集。六つのパラレル・レイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック!
内容(「BOOK」データベースより)

反逆と言うより順応。

本書は架空の “レイワ” を舞台にした6つの独立した短編集。
おかしな法律に振り回される人々の様子がありました。

『動物裁判』
“人権” が加速して動物にまで権利を認める “命権”。
人権ウンヌンは機微に触れるので控えるけれど、
権利ってなにかね? by 文太さん。

『自家醸造の女』
女性の手作り料理は既製品よりも美味と言う古い価値観。
でも、この件についてどんな発言をしても、
僕が男ってだけで批判される女性もいるでしょう(実際にいまいた)。
さて、この女性の価値観は新しいですか?それとも古いですか?

『シレーナの大冒険』
リアルとヴァーチャルをまたぐ交感。ひょっとして恋だった?
SF にツッコミは野暮だけれど、
サーバを南極に設置するのは冷却の面で有効。
でも莫大な電源供給はどうするの?

『健康なまま死んでくれ』
ありましたね。am〇zonの物流センターで業務中の死亡事故。
救急車を呼ぶ時、上にお伺いをたてる規則により救護が遅れたと。
斯様に、企業の論理が法律(労働基準法)を上回るコトは多いと、
僕も実体験で知っています。

『最後のYUKICHI』
キャッシュレスの風潮にあっても、
現金しか使えないトコロって今だにありますよね。
僕がよく利用する激安スーパーもそうだし、
断酒会の月会費や例会参加毎の(任意の)協力金も現金オンリーです。

『接待麻雀士』
僕は接待麻雀をしたコトがないし、されたコトもない。
ただ、素人が接待麻雀するのはきっと難しいと思います。

以上、本書は著者お得意のリーガル物。
ただし、SF とのマッチングは「よろしくない」と感じました。
僕は著者の大ファンだけれど……いや大ファンだからこそ、
本書には少々残念な気持ちにもなりました。
著者のファンの方には、控えめに控えめにどうぞ。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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