桜庭一樹『少女を埋める』読了

2021年2月、7年ぶりに声を聞く母からの電話で父の危篤を知らされた小説家の「わたし」は、最期を看取るために、コロナ禍下の鳥取に帰省する。なぜ、わたしの家族は解体したのだろうか?
内容(出版社内容紹介より)

本書は三つの自伝的小説集。
共同体と個人にある価値観の違いに、苦悩する様子がありました。

内容はバッサリ略で一言、ちょっと苦手でした。
そもそもがエンタメを求めての著者です(あくまでも僕の場合)。
なので、まさかこんなにも息苦しい『実際』(←自伝的小説なので)
があるとは思いませんでした。

因習的な故郷
旧弊的な男性社会
独善的な文学界

己の文化を頑なに固辞するそれらに対し、
著者の分身(?)である冬子は

出て行け。もしくは、従え(本文より)

と迫られたように感じます。
その出来事や騒動の内容は割愛するけれど、
様々なそれらを経て冬子が至った結論は

我々は出ていかないし、従わない(本文より)

僕はココに相互理解の難しさを感じました。
もっと言えば、彼等の間に相互理解なんてほとんど不可能だし、
必要性もそれほど感じない。
一方で、意見は表明した時点で批判にさらされるし、
意見を控えても批判されてしまう。
それが良いか悪いかは判らないけれど、
どのような社会でもその様な傾向がある。
僕はそう解釈して今を過ごしています。

ただし、冬子(著者)があらぬ誤解が招くであろう批判から
母親を守る為にとった行動を、僕はおおいに賛同します。
それによって誰かが、もしくは著者が血を流したとしても、
(大きな声じゃ言えないけれど)
それはそれで仕方がないと思います。
彼女は母を守るために闘ったのです。そこに理屈は要りません。

以上、本書は著者初の自伝的小説集。
いづれも議論を呼ぶ内容なので(実際、騒動にもなりました)、
読者を選ぶかもしれません。
僕はちょっと苦手だったけれど、
いま現在、社会(おおざっぱ)に息苦しさを感じている方には
控えめにお勧めです。

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日常

追いかけっこ。
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父ちゃん、疲れて追いかけなくなったら。
この通り。

※ この後も追いかけっこは続きます。

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木村友祐『海猫ツリーハウス』読了

25歳の亮介は、ファッション・デザイナーを目指しながらも、実家の農業を手伝うかたわら、「親方」の元でツリーハウス作りに精を出す毎日。地元コミュニティで人気者の兄・慎平の帰郷がきっかけとなり、つかの間の均衡が崩れはじめる…。
内容(「BOOK」データベースより)

兄弟だから。

本書は第33回すばる文学賞受賞作。
八戸を舞台に『囚われの身』を自覚した主人公・亮介の姿がありました。

内容はバッサリ略で一言、まぁまぁです。
それは『囚われの身』を描くのに用いた設定が、
兄弟であったり、家業(農家)であったり、田舎のしがらみであったり。
悪くは無いのだけれど、少ないページ数にあっては散漫になってしまった。
そんな印象を受けたから。

物語は上記で終わっちゃうので、ここでは兄弟についてをピックアップ。
作中、次男の亮介は兄・慎平に頭が上がらず、いい歳なのに召使い状態。
なのに、兄の慎平は

長男の苦労を説き、次男のお気軽さを揶揄する。

さらには

わしは血のつながりなんかどうでもええ。
魂のつながりしか信じないのや(本文より)

と、のたまいます。
僕は兄弟の長男だから、兄・亮介の妄言(?)にも
一分の共感を覚えるのだけれど、
兄に散々コキ使われている弟・亮介にしたら
堪ったモンじゃないでしょう。
その点は亮介に(僕の実弟にも)申し訳なく思います。
しかし、開き直る訳ではないけれど、
終盤に得た亮介の気づきに、おおよそ賛成なんですよね。

なぜ、兄と反目するのか。
なぜ、反発せずに従うのか。

それは

兄弟だから。

コレに尽きるんだと思います。
結局、亮介が県外に出たのか、出なかったのかは判らないけれど、
僕は『出るべき』だと感じました。理由は

兄弟だから。

兄弟と言えど、男が大人になったのです。
離れるのが自然ではないでしょうか。

以上、本書は様々な角度から『囚われの身』を描いた作品。
兄弟、もしくは姉妹にあたる方に、少しだけお勧めです。

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日常

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垣根涼介『真夏の島に咲く花は』読了

陽気で大柄、機嫌悪くなるのは空腹時と眠い時、そんな典型的フィジー人とつきあう茜。良昭は店の従業員に「お客様の料理を食べてはいけません」と教えなくてはならない。ここは独特の文化と時間が流れる楽園なのだ。しかし、若者たちのすれ違い、住民の対立、暴動が彼らの人生を変えていく。幸せとは何か。
内容(「BOOK」データベースより)

楽園のありか。

本書はフィジーを舞台とした若者 4人の群青劇。
民族間にある壁や、文化の違いに翻弄される様子がありました。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
それは、例えば僕が想像する様な所謂『南の島』であっても、
そこは無条件の “楽園” ではなかったから。

陽気で良くも悪くも大雑把な先住・フィジアンのチョネ。
商売上手の父の元で働くインド系フィジアン・サティ。
ワーキング・ビザでフィジーにやってきた日本人・茜。
両親と移住し、フィジー国籍を取得した日系フィジアン・良昭。

物語は彼等を中心に描かれています。
またその背景には

イギリスの植民地時代。
資本主義文化に駆逐されていく、フィジー古来の共同体文化。
砂糖プランテーションで働かせる為、無理やり連れてこられたインド人。

と言った哀しい歴史。
さらには

先住・フィジアンにだけ許された特権『首長大評議会』
先住・フィジアン以外には許されない多くの土地の売買。
しかし、
資本主義にあって台頭するインド系フィジアンやチャイニーズ。
そんな彼等に嫉妬や恨みを覚える先住・フィジアン……等々、
『南の島』らしからぬ対立や争い。
民族間を分断する、相互の憎しみがありました。

結局、“楽園” はチョネが警察に殴られた時に気が付いたように。
茜が暴動の中に立つチョネの顔の中に見たように。
土地にはありませんでした。
その詳細は本書をご確認していただくとして……。
上手く言えないのだけれど、僕もチョネや茜に同感です。
言い換えてしまえば楽園は

そこにしかない

になっちゃうのだけれど、それもまた仕方がないですよね。
だって僕達は肌の色も、生まれた土地も、神様の違いも関係なく。
ただの人間だから。

以上、本書は “楽園” のありかを問うた作品。
また一面では『青春の終わり』みたいなモノがあり、
どこか “楽園” とは反対の “黄昏” も感じさせました。
本書は青春に一区切りをつけた多くの方にお勧めです。

おまけ:
Looking For My Paradise
BGM: 森重樹一 / Looking For My Paradise (Album)

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57円のチェアパッド

パッド
兎に角、怪しすぎる。
正規の販売元なら1点で3,405円。2点で5,127円。
でも中国のあやしいココでは4点で57円です。
金額ではなく、別の意味で清水ダイブだけれどポチっとな。
でも、その後よく見たら到着予定がなんと3週間も先。
うーん、とことんあやしい(笑)

まだ到着していないけれど、
色んな意味でちょっと楽しみです。


「¥」が「円」ではなく「元」の騙しでもおよそ1100円。うーん、これでも安い。
因みにサクラチェッカーでサクラ度は 20% でした。

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日常

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断酒会 2023/6/21

開始:2023/5/24
断酒29日目

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にけつ(Tandem)

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ふくろはぎプルプル。あげいん。

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桜庭一樹『彼女が言わなかったすべてのこと』読了

誰も“透明な存在”になんかさせない。“幸せそうな若い女”を狙って刺され、SNSから消えた優里亜。向こうの世界にはいない、ラジオでリスナー投稿を読んでくれる大人気の歌手・恋恋。闘病ブログにきなくさい書籍化の話がきた友人の深南。こっちの世界の中川君が漫画で描く、同性愛で売り出されたアイドルデュオ。向こうの私はロンドンに住んでいて、こっちの私はー彼女たちが選んだ沈黙と言葉とは?新たなる桜庭文学が始まる。
内容紹介(「BOOK」データベースより)

真実とエビデンスと主観の波間。

本書は乳がんのサバイバー、波間の物語。
彼女が病を得て気付いた多くのモノが描かれていました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、上手く言えないけれどとても良かったです。
テーマに相互理解の困難(≒ほぼ不可能)あったと思います。
例えば、サバイバーであるコト、女性であるコト、若者であるコト。
それらの苦悩を

お前ら(他人)は無責任に語るよね?

そして、お前ら

傍観者は、観察者は、見物人は、常に、って。
善良ですよね、って。(本文より)

そんな苦言?アイロニーがありました。
なので、あまり無責任な発言はしたくないのですが(ビビり)、
それでもやっぱり……。
上手く言えないけれど、本作は僕にはとても良かったです。

タイトルは t.A.T.u. の大ヒット曲『All the Things She Said』から。
こちらを和訳すれば「彼女が言ったすべてのこと」になるけれど、
作中の波間は自身の病気のコトをごく少数の人にしか言えず、言わず。
社会の和を乱さぬように擬態化し、透明な存在になっています。
つまり「彼女が言わなかったすべてのこと」がココだけに、そっと。
綴られている。
それは本来、他人が聞く・読むコトを前提にしていないので、
過敏と感じたり、過剰と感じたり、一方的と感じるコトもありました。
けれど、僕も心の中で一度は考えた(感じた)コトがあるモノばかり。
なので、これも無責任な発言になってしまいますが、
波間の心に僅かなりとも共感出来たような気がします。

正直、パラレルワールドの設定が出てきたときはどうしよう?と、
ちょっとだけ思いました。でも読了後は『相互理解の困難』を描くのに
素晴らしいアイデアだったと感じます。
結局、同じ世界同士であっても、同じサバイバーであっても、
一人一人が違うバブルに包まれた違う世界の人間。
それを浮き彫りにするアイデアが、“繋がる” パラレルワールでした。

以上、本書は当事者と非当事者。
ひいては相互理解の困難(≒ほぼ不可能)を描いた作品。
因みに多くの人物や出来事が実名だったり、
クリティカルなモノでも容易に想像出来たり(プーチンとか安倍元首相とか)。
さらには近年の出来事が多くあるので、脇道?も存外に刺激的な作品です。
ひろく多くの方にお勧めです。


相手が傷つく可能性。誤解を与える可能性。周囲の和を乱す可能性。
それらを考慮すれば、波間がどんどん『言えなくなる』ようになったコト。
この点が本書で一番共感しました。
僕も年齢(経験)を重ねるとともに、
箸にも棒にも引っかからないような、下らない話しかしない。
そう心がける様になりました。
本音なんて怖くて怖くて、とても口にできないからです。
それでもなお、どんなに気を付けていてもなお。
僕は今でも間違いを犯して、他人(ひと)を傷つけてしまいます。

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プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫享年23) 臆病で泣き虫。けれど誰よりも強くて優しい子。僕の宝物。職業:これからもずっと父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒9歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。いまもお姉ちゃんを探しちゃう。職業:父ちゃんの邪魔。
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