絲山秋子『薄情』読了

地方都市に暮らす宇田川静生は、
他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。
だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、
東京から移住した木工職人・鹿谷さんらとの交流を通し、
かれは次第に考えを改めていく。
そしてある日、決定的な事件が起き―。
内容(「BOOK」データベースより抜粋)

セーフティ装置。

本書は土地に根ざした共同体を通じて、
人と人の距離感を描いた作品。
『薄情』の語感とは裏腹に、
付き合いから「一歩引く」事を肯定していました。

内容はバッサリ略。
ただ、鹿谷さんや蜂須賀さんの様に、
その土地(群馬)に腰掛けのつもりでいる者。
おらが街の自慢が染み付いている土着の者。
そのどちらの気持ちも判るような気がします。
互いに妬みも蔑みもあるかもしれないけれど、
その根っこで共通しているのは「別れの予感」。
仲間とは言え、いつか必ず別れるのであれば、
おのずと心持ちが違って当然です。
『薄情』とは別れのショックを和らげる、
心のセーフティ装置ではないでしょうか。

ただ、震災や ”あの雪(*1)” みたいな何かがあった時、
僕達は無意識の内で隣人との距離をゼロにするんですよね。
こんな時だけ……かも知れないけれど、
こんな時だからこそ団結できる力を、
僕は大切にしたいと思います。


*1)
本書で描かれている ”あの雪” とは
2014/2/14 から降りだし、関東に大きな被害をもたらした大雪の事です。
僕のトコロは群馬ではなく東京の片隅だけれど、
本書と同じく近所のカーポートが多数崩壊しました(コチラ)。
また僕は ”あの雪” の件だけではなく、
311の計画停電を知らない人との節電意識の差に
忸怩たるモノを感じたことも(かつては)ありました。
けれど、この「所詮は他人事」=『薄情』だって、
別な意味でのセーフティ装置なんだと思うようになりました。
世界中のイチイチに心を痛めていたら、
生活なんか出来ないですモンね。

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