絲山秋子『小松とうさちゃん』読了

52歳の非常勤講師小松の恋と、そんな彼を見守るネトゲに夢中の
年下敏腕サラリーマン宇佐美の憂鬱。
絲山秋子が贈る、小さな奇蹟の物語。
内容(「BOOK」データベースより)

「もどかしさ」の中に。

本書はいい歳したオッサンと熟女の恋愛を応援する、
これまたオッサンの3人の物語。
著者にしては非常にライトな読み応えではありますが、
不思議と心和みました。佳作。

うだつの上がらない非常勤講師
怪しげな仕事の熟女
ネトゲに嵌る敏腕サラリーマン

彼等は良く言えば善人であり、悪く言えば人畜無害。
けれど、どうにも「もどかしさ」が拭えないのは
彼等が優柔不断だからなんですよね。
例えば、好きな女性ならアプローチすれば良いし、
辞めたい仕事なら辞めればよい。
ネトゲのリーダーだって単純に辞めれば良いのです、
いい齢したオトナなんだから。
どれもキッパリ言えば済むことでしょう。
けれど、この「もどかしさ」の中にこそ ”心” は宿っているんですよね。
面倒回避だったり、自己弁護だっりするのかもしれないけれど、
他人に対する「思いやり」だって含まれているのだから。

別件で同時収録の(表題作の元となった)掌編も良いのですが、
『ネクトンについて考えても意味がない』の一遍が秀逸です。
へぇ~、プランクトンってそんな意味だったんだ。
当て嵌めるのなら僕はネクトンに憧れる、プランクトンになるでしょうか。


蛇足:
FJ310838_2016022314221936d.jpg
初版、P165-6行目。
『宇佐美くん君と呼ばれ…』の ”くん” と ”君” が重複しています。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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