恩田陸『蜜蜂と遠雷』読了

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、
そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!
内容(「BOOK」データベースより)

破裂音の正体。

本書は第156回(平成28年度下半期) 直木賞受賞作。
さらに「2017年本屋大賞」も同時に獲得したその実力は、
評判に違わぬ「興奮」に溢れていました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、面白かったです。
当初はありがちなコンテストを舞台とする青春群青劇とあって、
ちょっぴり食傷を感じました。
でもそれは全くの杞憂に終わります。

生活者の音楽を探る者
ルーツを軽々超える者
深化し帰ってきた者
そして
音楽を世界に連れ出す者

主人公・風間塵が自ら導火線となって火をつけたのは
「災厄」と言う爆弾ではありません。
それは『音楽』と言う名の蓮の花。
物語の終盤、あちこちで上がる破裂音は蓮の花が開く音であり、
才能の開花を告げる祝砲でした。

正直、中盤はやや間延びを感じるし、
ラストの数ページはバッサリ切っても良かった。
けれど、音を、記憶を、感情を
色鮮やかに想起させる筆が実にお見事。音楽に限らず、
エンターテイメントを愛する全ての人達にお勧めです。

蛇足で「茶色の小瓶」について。
作中、幼い亜夜とマサルが連弾しており、
CM にも使われるほど有名な(僕でも知っていた)曲。
それが「茶色の小瓶」と言うタイトルだって事、
本書ではじめて知りました。
また調べたところ「茶色の小瓶」は本来洋酒の瓶を指し、
生活に困窮しても飲酒をやめない
アルコール依存症の夫婦を歌った、とありました。
でも僕にとって「茶色の小瓶」は、古い同人誌であり、
その主要ライターの事なんですよね。
彼女はアルコール依存症ではないけれど、
僕のせいで大きく人生を損なっており、
そんな類似点にどこか暗喩めいたモノを感じてしまいました。

それから「茶色の小瓶」のメロディが、
どうしても頭から離れません。

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