【漫画】 杉浦日向子『百日紅』読了

人気も名声もあるが気随気ままに描いているような50代の葛飾北斎、
こちらも絵師としての実力は確かな二女のお栄、
そして元・武士の女好きで北斎に私淑する
善次郎(のちの渓斎英泉)の三人が主要人物。
時代は文化文政、場所はもちろん江戸。
内容(出版社内容紹介より)

野暮とは。

本書は江戸風俗研究家でもある著者を代表する作品(漫画)。
損得勘定と ”お澄まし” の苦手な江戸っ子の様子が、
趣向を凝らして描かれています。

内容はバッサリ略。
非常に面白かったです。

僕は図書館にあった杉浦日向子全集(全八巻)のうち、
『百日紅』が収められた三、四巻を拝読しました。
正直、著者のエッセイは兎も角、漫画は……と
幾分差し引いていたのですが
(そもそも漫画をお書きになっているとは知りませんでした)、
見事に予想を裏切られました。

また「浮世絵に通じる」
とは紹介してくれたタラレバ娘の弁ですが、
僕も全く同じ印象を受けました。
著者の画はシンプルで情報量が少なく、
また筋立ては余白が大きくて、落ちは唐突です。
どちらも読者に想像を促す(あるいは強要する)んですよね。
だからこそ、決して重くないワリに、余韻が長く続く。
語りすぎは ”野暮だよ?” と、
著者の微笑が目に浮かぶようです。

僕も ”野暮” になりたくないのでこれ以上は控えますが、
杉浦日向子全集の残りも拝見する事、これで確定です。

蛇足で僕のお勧めは『野分』。
全体の作風からちょっと外れたエモーショナルな作品であり、
他にも ”粋” な話しが沢山あるので非常に迷いました。
けれど単行本では最終話(*1)と言う事もあって、今回はコレを。
内容は本書をご確認していただくとして、
僕は猶は雀になったんだと思います。
またそれは悲しい別れではあるのだけれど、
猶は運の良い雀なんだと、強く強く信じます。
さらにはラストのコマにある母・ことの表情が秀逸です。
僕には彼女が泣いているように見えます。

*1…
因みに全集では単行本未収録の二話(『夜長』、『山童』)
が追加されています。どちらも味わいのある佳作です。

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ジャンル : 小説・文学

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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