森博嗣『私たちは生きているのか?』読了

富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、
警察も立ち入らない閉ざされた場所。
そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが
潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共に
アフリカ南端にあるその地を訪問した。
富の谷にある巨大な岩を穿って造られた地下都市で、
ハギリらは新しい生のあり方を体験する。
知性が提示する実存の物語。
内容(「BOOK」データベースより)

転調。

本書は「Wシリーズ」の第5弾(その他はコチラ→1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
シリーズのテーマである『生命の定義』に対し、
さらに踏み込んで考察がなされていました。

治外法権の富の谷
バーチャルの街・テルグ
そして
洗練と不合理

本作は戦闘シーンがほぼ無く、怪我人は出たものの
被害者(犠牲者)も一人も出ないなど、少しだけ異色です。
その分、著者一流の SF(世界観)は深度を増し、
今後の興味が否が応にも加速します。
正直やや盛り上がりに乏しくも感じましたが、
ロックに例えるなら、本作は転調パート。
それも「次にくるぞ?くるぞ?」と期待を煽る、
ドミナントモーションなのです!!

また前作で登場したトランスファのデボラが
コッチ側?になったのは意外でした。
(白でも黒でもなく灰色の存在になると予想していました)
でも、そのおかげでウグイとのライバル関係が見れるのかな?
きっとそれはハギリに対する最高の雑音になるでしょう(笑)

蛇足でこんなニュースを見かけました。

精子数の減少によって「人類が絶滅する可能性」が研究者によって示される

詳細はリンク先をご確認していただくとして、
僕は真っ先に本シリーズを思い浮かべました。
また本シリーズにおいて人間は生殖機能を持たないため、
異性に対する感情が著しく低下したとされるのですが……。
僕はエンジニアの端くれなので、未来に対して非常に楽観的。
けれど同時に古い人間でもあるので、
洗練された(効率の良い)世界には馴染めそうにもありません。
未来において「愛」が雑音であるのなら、
ロックミュージックの存在意義もなくなってしまうのでしょうね?
でも僕はノイズに乗せて、あふれる想いを伝えたい。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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