額賀澪『潮風エスケープ』読了

高校生の深冬は、思いを寄せる優弥とともに、
彼の故郷・潮見島へ向かう。
島の伝統「潮祭」が開かれる夏のことだった。
そこで出会ったのは祭の神女となる少女・柑奈。
伝統に縛られる彼女の生き方に、深冬は疑問を覚える。
さらに、優弥の思い人であった渚が島に現れ……。
内容(出版社内容紹介より抜粋)

みんなそう。

本書は南の島・潮見島を舞台に伝統と継承を描いた作品。
比較的重いテーマではありますが、
若者達の真摯な姿を通して爽やかに描かれていました。
おまけで佳作。

12年に1度の奇祭
祭の神女と農家の娘
そして
継承と断絶

扱うテーマは挑戦的、しかし著者の観察は冷静です。
伝統を守れ!だとか、逆に個人の自由だ!
と言った一方的な肩入れは慎重に回避されています。
けれど、その主張するところは主人公の一人、
渚の言葉をもって語られており、曰く

潮見島は別に特殊な場所じゃなかった(本文より)

さらにこの後、その理由が語られるのですが
僕も同感だし、非常に感銘を受けました。
きっと神女と定められた渚や柑奈、
また農家の跡取り娘の深冬だけでなく、

家業だから、掟だから
長男だから、嫁だから

と言った感じで、本人の意思には関わらず、
期待される役割って誰にでもあると思うんですよね。
「伝統」って言えば体面は良いけれど、
意地悪く言えばただの「足かせ」。
結局それが良いかどうかは個人個人が決めることではあるけれど、
少なくとも選択の自由は確保したい。
そんな若者たちが得た(現時点での)解答に、
敬意を込めて拍手を送りたいと思います。

ここからは蛇足。
著者は初めてなのですが、とても良い作家ですね。
本書は恋愛成分が多めなので、
オッサン(僕)には少々場違い?な感もありますが、
それを含めて好感を覚えました。
登場人物の赤面するほど幼い言動だって本気の証。
傷ついても、失ってもなお、未来に進む若者の姿に
オッサンも見習いたいと思いました。

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