高野秀行『ワセダ三畳青春記』読了

家賃12000円。
早稲田の超ボロアパート野々村荘はケッタイな住人だらけ。
三畳一間の私の部屋は探検部のタマリ場となり…。
限りなく「おバカ」な青春を描いた書き下ろし傑作。
内容(出版社内容紹介より)

遅くありません。

本書は辺境ライターとして知られる「高野秀行」の青春記。
ボロアパートを舞台におかしな面子と、驚くエピソードが満載。
でも本書の白眉はごく普通の恋にありました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言。とても良かったです。
同じ貧乏人としてもそうだし(失礼)、
同性としても大いに共感できました。

正直、僕は著者の辺境ルポには食傷気味です。
また本書も信じられないようなエピソードは一つもなく、
人物もエピソードも、舞台となったボロアパートだって、
驚きよりも郷愁を覚える人の方が多いと思いました。
結局、著者の作品は総じて「吃驚」がマイルドなのかも。

けれど本書は(驚きとは異なり)若かりし著者の姿が、
等身大で胸に迫ってくるんですよね。
それは多くのモノを失い、
代わりに僅かな(けれど掛け替えのない)モノを得て卒業した。
そんな僕たちと同じ青春時代を送った
戦友へのシンパシーなのかも知れません。

蛇足で「恋」について。
それは最終章でボロアパートを去るキッカケとなった
著者曰く『遅すぎた「初恋」』にありました。
そこでは当時32歳だった著者が、
以前からの知り合いで「全く好みではない」女性に
ある日「すとん」と恋に落ちてしまうのですが……。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕は「32歳のオッサンが胸キュンだなんて!」と
涙を流して彼を笑ってしまいました。

見下しているわけでも、皮肉でもありません。

それは冷笑でもなく、仲間と恥を分かち合う時の照れ笑い。
彼の姿は僕にも大いに身に覚えがあるからです。

でも初に限らず、「恋」に早いも遅いも無いと思います。
いつだって始まるし、何回経験したって構わない。
恋に落ちれば必ず(必ずです)素敵な気分になりますしね。
また遅いから、恥ずかしいからと言って
新しい恋に躊躇してしまったら、
あの頃(何度も失恋を経験した青春時代)の僕に、
顔向けができない気もします。

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