伊坂幸太郎『AX』読了

最強の殺し屋は―恐妻家。
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。
一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、
と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、
爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
内容(「BOOK」データベースより抜粋)

君のお父さんは。

本書は『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる
殺し屋シリーズ第三弾。
飄々としながらも、罪悪感を忘れない殺し屋の愛に、
強く胸を打たれました。
良作。

内容はバッサリ略で一言、震えました。
正直に告白すれば涙を止められませんでした。
久しぶりに晴れた公園で最後のページを閉じた後、
周りに人がいないことを良いことに、静かに泣きました。
それは著しく個人的な理由なのですが、
本書の主人公・「兜」と僕の亡父を重ねてしまったから。

勿論、亡父は殺し屋ではありません。
恐妻家でもないし、子供に優しく声を掛けるタイプでもない。
けれど、子供からすれば信じられないほど
(ありていに言えば愚か者に映るほど)我慢に我慢を重ね、
それでも家族を、僕たちを守ろうとした男だったんですよね。
そして最期は一人静かに逝ってしまった……。

閑話休題。

物語の終盤のとある人物の台詞

「君のお父さんは……」(本文より)

この続きを是非皆様ご自身の目でお確かめください。
お父様が存命の方は勿論の事、
残念ながら永訣されている方には、特に思い出して欲しいのです。
僕たちは大きな愛に守られていた事を。

蛇足?な補足。
全5篇のうち、既存の前3篇はごく普通の『伊坂』です。
当たり前の様に面白いし、外さない。
けれど後半の書き下ろし2編は当たりの『伊坂』だったと思います。
個人的に忘れられない作品になったし、控えめに言っても傑作。
これまで『伊坂』のイメージは ”外さない” だったけれど、
今後はさらに ”当たりの『伊坂』は恐ろしい” が追加です。

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ジャンル : 小説・文学

Tag:読書  Trackback:1 comment:2 

Comment

藍色 URL
#- 2019.06.13 Thu19:15
今回も気持ちよく読めて、よかったです。
殺し屋シリーズ初の連作集でしたが読み始めたら面白くて、あっという間に読了してました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
yuki URL|Re: タイトルなし
#- 2019.06.14 Fri15:08
藍色さん、こんにちは。

> 殺し屋シリーズ初の連作集でしたが読み始めたら面白くて、あっという間に読了してました。

はい、僕もあっという間でした(笑)
またシリーズはどれも最高だけれど、
本書は最も印象に残る作品だったかも知れません。

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「AXアックス」伊坂幸太郎

最強の殺し屋は――恐妻家。 殺し屋シリーズ最新作! 【伊坂幸太郎史上最強のエンタメ小説、『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる待望の最新作!】 ★2018年 本屋大賞 ノミネート! ★第6回静岡書店大賞(小説部門) 大賞受賞! ★フタバベストセレクション2017(フタバ図書) 第1位! 最強の殺し屋は――恐妻家。 物騒な奴がまた現れた! 新たなエンタメの可能性を切り開く、... 粋な提案 - 2019.06.13 19:08

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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