森博嗣『青白く輝く月を見たか?』読了

オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、
忘れさられたスーパ・コンピュータ。
彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、
思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。
放置しておけば暴走の可能性もあるとして、
オーロラの停止を依頼されるハギリだが、
オーロラとは接触することも出来ない。
孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。
内容(「BOOK」データベースより)

サブセット。

本書は「Wシリーズ」の第6弾(その他はコチラ→1,2,3,4,5,6,7
シリーズ共通のテーマ『生命の定義』に対し、
本書はそのサブセットとなる『人工知能』について
考察がなされていました。

自律学習を続ける人工知能
欠損と突発的転移
そして
進化の過程で生まれるバラつき

本書では人工知能・オーロラをはじめ、トランスファのデボラ、
そして人間のウグイまでが豊かな表情を見せるようになりました。
それはある意味で必然であったと思うのですが、
また一方では非常に意外でもありました。
でも結局

「ロボットは正直でも、人工知能は嘘をつく」し、
「人間は予測不能な行動をとる」(いづれも本文より)

なんですよね。
オーロラが引きこもったり、デボラがやきもちを妬いたり、
ウグイが当て擦りをしたりするのは、
三者の境目が曖昧になりつつある様子を
顕著に示していたと思います。

また今回は早い段階でマガタ博士が登場するのですが、
僕は彼女が「製造」された人間であり、
本人のサブセットだと予想します。
でも彼女の言うとおり、そんなのはきっと無意味でしょう。
ロボットだろうが人工知能だろうが人間だろうが、
結局は境目がなくなり、同じ「種」になるのだから。
これは個人的な意見なのですが、僕はそれはそれで良いと思うし、
きっと悪くはない未来だとも考えます。
だって進化とは(退化でも良いですが)
きっとそういうコトなんですよね?

最後に。
それにしてもWシリーズはその全てが新鮮です。
例えば人工知能が思考の迷宮に陥ってしまうアイデアは
他にいくらでもあると思います。
けれど「森博嗣」のそれには、その過程に説得力があるし、
結果には独創性がある。さらにその先の予想(未来)は
寒気がするほど感動的です。
僕はニューエイジではないし、信じる神様もいないけれど、
テクノロジーの先にもし「詩情」があるのだとしたら、
こんなに素敵な事はありません。

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