村上春樹『パン屋再襲撃』読了
堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。
「もう一度パン屋を襲うのよ」。
それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来
僕にかけられた呪いをとく方法はない。
かくして妻と僕は中古カローラで、
午前2時半の東京の街へ繰り出した…。表題作ほか「象の消滅」、
“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇。
内容(「BOOK」データベースより)
村上版サタイア。
本書は『村上春樹』の短編小説集。
凹凸のないサラリとした世界観は現実味に乏しく。
けれど、全てをメタファーと捉えれば意外と親近感かも?
収録された6編はどれも良かったです。ただここでは、
タラレバ娘のお勧めである表題作『パン屋再襲撃』と、
僕のお勧め『ファミリー・アフェア』について簡単に一言づつ。
まずは『パン屋再襲撃』。
当初、梶井基次郎さんの『檸檬』と似た印象を受けました。
勿論、本当に実行した本作と、空想で終わった後者では
全く意味合いが違いますよね。
なので次にボニー&クライドの『俺たちに明日はない』
が一瞬浮かんだのだけれど、やっぱり全然違っていて。
本作の隠れたテーマを乱暴に特定するなら、
僕は共産主義(労働)と資本主義(マック)を
揶揄したんだと思います。
でもそれはアジテートほど大げさなモノではなくて、
あくまでも慎ましい村上版サタイアだったと思います。
次に『ファミリー・アフェア』。
正直、著者の作品にはそぐわない直接的な愛を感じました。
告白すればちょっと感動しました。
勿論、気の利いたジョークに、赤裸々な性の会話。
おなじみの「渡辺昇」と著者一流の
シンプルでクールな世界観は健在です。
けれど僕は俗物だから、そこに安直な(でも掛替えのない)
兄妹愛を見てしまうんですよね。
メタファーは受け取り手の自由だ!と言い訳をしながら、
吐くほどお酒を飲む兄の心情に、想いを寄せてしまいました。
最後に。
本書には「消える」アイテムが多いと感じました。
それは象であったり、双子であったり、妹であったり。
最終話の猫も最後まで消えたままでしたよね。
でも僕にはそこに込められたであろうテーマ、
あるいはメタファーが何なのかは判らなくて。
ただこれらは平凡な日常に潜む、
ちょっとした落とし穴を描きたかったのかな?って感じます。
これも村上版サタイアでしょうか。
「もう一度パン屋を襲うのよ」。
それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来
僕にかけられた呪いをとく方法はない。
かくして妻と僕は中古カローラで、
午前2時半の東京の街へ繰り出した…。表題作ほか「象の消滅」、
“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇。
内容(「BOOK」データベースより)
村上版サタイア。
本書は『村上春樹』の短編小説集。
凹凸のないサラリとした世界観は現実味に乏しく。
けれど、全てをメタファーと捉えれば意外と親近感かも?
収録された6編はどれも良かったです。ただここでは、
タラレバ娘のお勧めである表題作『パン屋再襲撃』と、
僕のお勧め『ファミリー・アフェア』について簡単に一言づつ。
まずは『パン屋再襲撃』。
当初、梶井基次郎さんの『檸檬』と似た印象を受けました。
勿論、本当に実行した本作と、空想で終わった後者では
全く意味合いが違いますよね。
なので次にボニー&クライドの『俺たちに明日はない』
が一瞬浮かんだのだけれど、やっぱり全然違っていて。
本作の隠れたテーマを乱暴に特定するなら、
僕は共産主義(労働)と資本主義(マック)を
揶揄したんだと思います。
でもそれはアジテートほど大げさなモノではなくて、
あくまでも慎ましい村上版サタイアだったと思います。
次に『ファミリー・アフェア』。
正直、著者の作品にはそぐわない直接的な愛を感じました。
告白すればちょっと感動しました。
勿論、気の利いたジョークに、赤裸々な性の会話。
おなじみの「渡辺昇」と著者一流の
シンプルでクールな世界観は健在です。
けれど僕は俗物だから、そこに安直な(でも掛替えのない)
兄妹愛を見てしまうんですよね。
メタファーは受け取り手の自由だ!と言い訳をしながら、
吐くほどお酒を飲む兄の心情に、想いを寄せてしまいました。
最後に。
本書には「消える」アイテムが多いと感じました。
それは象であったり、双子であったり、妹であったり。
最終話の猫も最後まで消えたままでしたよね。
でも僕にはそこに込められたであろうテーマ、
あるいはメタファーが何なのかは判らなくて。
ただこれらは平凡な日常に潜む、
ちょっとした落とし穴を描きたかったのかな?って感じます。
これも村上版サタイアでしょうか。



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