奥田亜希子『青春のジョーカー』読了

島田基哉、中学3年生。15歳。
何を得て、大人になるのか。何を捨て、大人になるのか。
内容(「BOOK」データベースより)

青春 “だから” ジョーカー。

本書は「性」に振り回される若者を描いた作品。
なんら臆すことなく真正面から「性」を扱っており、
青春のモヤモヤを多面的に映し出していました。
佳作。

スクールカーストの最底辺
顔が残念な兄の大学デビュー
元AV女優の年上の友人

本書のジョーカーとはズバリ、セックスの事(白字で反転しています)
それは男女間だけではなく、同性間にもある暗黙の優劣、
ひいてはスクールカーストを一気にひっくり返す『切り札』
とされています。
実際、主人公・基哉は年上の彼女がいる(さらには二人は経験済み)
と誤解されるコトにより、学校生活が激変しました。

ジョーカーは「7並べ」や「大富豪」では最高のカードになるし
反対に「ババ抜き」では最悪なカードにもなりますよね。

基哉の場合、失ったモノもありましたがそれ以上に多くのモノを得ており、
ここではジョーカーは無いよりはあった方が良い(良かった)と
僕には受け取れました。

さらに作中では
様々なカタチでジョーカーに振り回される人々が描かれていますが、
結局は7:3で利益が大きかった様に感じます。

本書において青春の『ジョーカー』は割りと有効です。

この辺りは好悪が分かれると思うけれど、
僕は通り一辺倒のおためごかしではないトコロに好感がもてました。

またアイテムとして動物保護団体の活動や、猫の避妊手術の功罪と
人間と少し距離を置いて「性」を描いた点も良かったです。
僕も猫好きの一人として思うところが多々ありました。

最後はほろ苦く、しかし未来は拓けており、
「青春」のある意味で好ましい一面に溜飲を下げました。

最後に。
若き彼らの煩悩や苦しみは人一倍良く判るつもりです。
僕も何度も痛い目にあったし、屈辱も味わいました。
けれど、この歳になってジョーカーは、
もっともっと豊かであり、さらには非常に寛容なモノである
そう思える様になったんですよね。
きっと自分を含め、パートナーや色々な事が赦せるようになった
のが大きいと思いますが、結局ジョーカーは

心身を満たす唯一無二のコト
けれど、
それほどたいしたコトでもない

ではないでしょうか。
ジョーカーは年齢を重ねるほど切り札にはならないと思います。
老人の戯言だけれど、若者には

『青春のジョーカー』は
『青春 “だから” ジョーカー』だってこと。

心の片隅に置いて欲しいと思います。

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