三浦しをん『ののはな通信』読了

横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、
友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟で
はなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。
けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ…。
運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。
女子校で出会い、運命の恋を得た少女たちの20年超を、
全編書簡形式で紡いだ、女子大河小説の最高峰。
内容(「BOOK」データベースより)

やっぱり違います。

本書は女性二人の愛と友情を描いた一冊。
一貫して「人を愛する」意味を真正面から扱っており、
彼女達の真摯な態度に感服しました。
佳作。

周りから見劣りする家庭で育った優等生・のの
誰もが羨む家庭で育った天真爛漫・はな
そして
愛と友情の決定的な違い

内容はバッサリ略で一言、非常に面白かったです。
ジャンルは違えど、同じ大河小説とも言える著者の代表作
舟を編む』よりも一つ……、いや二つは上。
正直驚きました(勿論、嬉しい誤算です)。

また本書は女性同士というセクシャルマイノリティを扱っていますが、
そんなのは全く気になりません。
むしろ愛と友情の “違い” を語る上で絶妙な設定だったと思います。
僕みたいなオッサンに多いと思いますが(実際僕がそうでした)
本書を「百合かぁ…」と敬遠されるのなら、きっと後悔するでしょう。

本書はストーリーそのものより、彼女達の考察こそが白眉。
それは高校生、大学生、40代と三つの年代で語られており、
どの年代の主張も(それぞれの視点として)感心と共感しかありません。
ただ強いてあげるのなら、僕は高校時代のそれが一番印象に残りました。
例えば

異性愛しか想定せず、認定しない神は、
あらゆる意味で人間の生命力に敗北している(のの談。本文より)

や、

友だち。なんて便利な言葉。
この世に存在するどんな感情よりも深い思いをこめることもできれば、
なんの思い入れもない知り合いを遠まわしに表現することもできる
(同じくのの談。本文より)

等々。
それは「幼い」の一言で片付けられるかも知れないけれど、
でもだからこそ限りなく純化された言葉になっていたと感じます。

またラストは7:3の7で物足りない?尻切れトンボ?と感じました。
けれど僕は本作においては
これが最上のラストだったとも感じたんですよね(3の割合で^^)。
彼女達の絆(←ここで愛か友情かは控えます)の行き着く先は
コレしかないと納得も出来ました。

最後に。
本書に習って僕も愛と友情の意味や違いについて軽く考えてみました。
で、僕はののちゃん、はなちゃんと違って到底「純化」出来ない
煩悩の塊だから大きな声では言えないのだけれど、
愛と友情はやっぱり違うと言う結論に達したんですよね。
そこには毅然として両者を隔てる壁があるのではないでしょうか。
例えば、友情なら極限下にあっても理性が介入できます。
でも愛は至上の幸福に包まれている時でさえも理性を狂わせる。
友情は兎も角、愛の本質は抗うことの出来ない「災厄」だと思うんですよね。
けれど、その災厄の炎でこの身を焼かれた経験は、
それを知らずに死ぬよりは何倍も良い(良かった)。
この点は僕も彼女達の意見に賛成です。

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ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

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長女:える(雉猫17歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

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