門井慶喜『新選組の料理人』読了

度胸もなく、剣の腕はからっきしの浪人・菅沼鉢四郎は、
働きに出ている妻と、幼い娘を世話する主夫ぐらし。
料理は好きだし、自信がある。
それが、元治元年の大火で長屋を焼かれたのをきっかけに、
まかない専門として新選組に入隊することになった──。
内容(出版社内容紹介より)

お腹は空きません。

本書は新撰組の内幕を描いた作品。
フィクションの部分も多いのですが、
斬新な史実の解釈もあり、目から鱗となりました。

剣はからっきしの賄方・菅沼鉢四郎
剣は強いが家庭を持ってしまった原田左之助
そして
近代化の波に乗れず衰退する新選組

タイトルに『料理人』とありますが、
料理・食事シーンは殆どありません。
そもそも主人公・菅沼鉢四郎は架空の人物であり、
ひょっとしたら彼は必要なかったかも(爆弾発言^^)
それでも原田左之助との絡みは良かったし、
新撰組のイメージ(人斬り集団)をひっくり返す意味で新鮮です。
さらには近藤勇を小事に囚われず大局をつかむ賢人、
土方歳三を実は剣が弱かったとする等々、
それぞれのキャラクタ設定も目新しく映りました。
それらに全く違和感を覚えなかったと言えば嘘になるけれど、
僕は新しいチャレンジ?をいつだって歓迎します。

また個人的な醍醐味として天満事件の解釈がありました。
それは坂本竜馬暗殺の報復を目的とした襲撃であり、
海援隊士や陸援隊士が新撰組と戦った事件です。
その詳細は他の文献に譲るとして、
僕はこの事件を殆ど知識として(まるで記号の様に)
覚えているだけでした。
けれど本書によってこの事件が示すモノ(その解釈)に
蒙を啓かれた気分になったんですよね。
なるほど、本事件は新撰組の弱体化を明確に顕し、
ひいては後の悲劇に直結する衰退をも予感させました。

本書は軽い読み物だけれど、
歴史好きもそれなりに楽しめると思います。

蛇足で沢庵について。
タイトルのワリにお腹の空かない本書だけれど(笑)、
二つの沢庵の記述が印象に残りました。
一つは京都のそれであり、口に入れると

ほとんど羽二重餅のごとき甘さ、やわらかさ(本文より)

とありました。対して土方歳三の故郷石田村のそれは

「塩の濃い、口の曲がる」であり
「石を砕くような音も立つ」(ともに本文より)

なんですよね(笑)
僕は石田村(現在の東京都日野市)の近くに住んでいるから、
って訳じゃないけれど、会津をルーツとしているので、
塩分濃度の濃い後者の方が断然に好みです(血圧注意)。
まっ、最近は甘い沢庵も美味しいんですけどね^^

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