J・D・サリンジャー著 金原瑞人訳『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』読了

『ライ麦』のホールデン少年登場の連作、
そして“グラース家”をめぐる謎めいた「最後の作品」。
もうひとつの“9つの物語”。
入手困難な短篇を集成した、繊細な魅力溢れる作品集。
内容(「BOOK」データベースより)

ノスタルジア。

本書は謎の作家とされるJ・D・サリンジャーの短編集。
一部で非常に難解な作品もありましたが、
多くで言いようもない郷愁を覚えました。
良作。

内容はバッサリ略で一言。
個人的な思い入れを承知していますが、非常に良かったです。

ただタイトルにもある最終話『ハプワース16、1924年』は
難解な文章が続き、著者の意図が(読了後も)全く見えませんでした。
『ナイン・ストーリーズ』他でシーモアやその家族に親しんだファン
(含む僕)には、少なからず困惑してしまう作品ではないでしょうか。

反対に『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる』を含む
前半の六編は問答無用でお勧めです。
それらは『ライ麦畑でつかまえて』のホールデンやその兄弟の話であり、
ファン(含む僕)なら絶対に見逃してはなりません。
ネタバレ回避で重要なポイントは控えますが(僕は衝撃を受けました)、

「ホールデンに共感した子供の頃に、この作品を読まなくて良かった」

これだけだと何を言っているか判らないと思うけれど、
これが僕の正直な感想です。ただ繰り返しになってしまいますが、
『ライ麦』ファンなら絶対に読むべき作品だと思います。
サリンジャーがどんな想いでホールデンを描いていたのか、
きっと新しい発見があると思います。

独立した?短編の『若者たち』、
『ロイス・タゲットのロングデビュー』はどちらも珠玉です。
これぞ「アメリカの短編集」と言った趣であり、
こちらも “サリンジャー” とは関係ないトコロで郷愁を覚えました。

蛇足で僕のお勧めは『ぼくはちょっとおかしい』。
『ライ麦』の中のエピソードでもあり、
ホールデンが退学した夜が描かれています。
そこではホールデンが年老いた先生に別れの挨拶をするのですが……。
非常に短い作品なのでこの続きは是非皆様自身でご確認ください。
ただ僕はホールデンの述懐

もっと深く話そうという気にはなれなかった。
ぼくはいいたいことをそれほどいってなかった。
いつもそうだ。ぼくはちょっとおかしい(本文より)

の一文に、年甲斐も無く強い共感を覚えてしまいました。

僕もホールデンです。

サリンジャーを手にし、背伸びをしていたあの頃の僕は
ちょっとおかしいホールデンでした。

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