森博嗣『少し変わった子あります』読了

失踪した後輩が通っていたお店は、毎回訪れるたびに場所がかわり、
違った女性が相伴してくれる、いっぷう変わったレストラン。
都会の片隅で心地よい孤独に浸りながら、そこで出会った
“少し変わった子”に私は惹かれていくのだが…。
人気ミステリィ作家・森博嗣がおくる甘美な幻想。
著者の新境地をひらいた一冊。
内容(「BOOK」データベースより)

自分にとっての真。

本書は奇妙なお店とサービスを通して、
様々な知見を得る大学教授の物語。
設定も会話も、そして考察までもが抽象を極めていますが、
確かな発見もあります。
佳作。

二度と同じ場所では開かれない謎の店
二度と会うことはない謎の女性
そして
客が求めるモノは何処にあるのか

主人公・小山教授と二名の同僚を除き、
登場するあらゆるモノの固有名詞は秘されています。
さらに謎の店にあっては一期一会も加わり、
継続性はおろか関係性も遮断されてしまう。
つまり擬似的な「孤独」こそが店の提供サービスです。
したがってお客(小山教授)は
必然的に思考の枝葉を外部の他人ではなく、
自身の内面に伸ばすコトになりました。
そこで得られた知見こそが本書の肝要だと思うのですが……。

『森博嗣』のファンなら理解に易いと思います。
著者は(たとえ形を変えたとしても)何度も同じコトを言っており、
目新しさはないんですよね。それは非常に抽象的だし、
読者の僕が言葉にするのは滑稽だけれど、
乱暴にまとめてしまえば

外部からの情報が真か偽なんて判定できない。
内部に発生する感情や思考だけが自分にとっての真である。

ではないでしょうか。
おおげさに言えば「夢も現実もホンの僅かな差でしかない」、
と言う事だし、また「外部(他人)に影響されるのは馬鹿らしい」
と言う主張だったと思います。

また「孤独」にはネガティブなイメージがあるけれど、
決してそうではない。むしろ自分にとっての真を得られる
唯一の状態である。僕はそう理解しました。

最終章でちょっとしたミステリィの回収みたいになっているけれど、
それはグリコのおまけです。あってもなくてもどうでも良い。
それより僕は『森博嗣』のファンとして本書も高く評価しますが、
持ち主(タラレバ娘)の感想が心配です。
僕が『森博嗣』をお勧めするので購入したと思うのだけれど、
なんでこんなとっつき難い作品を最初(の方)で読むかなぁ~。
他にもっと良い入り口は沢山あるのに(余計なお世話です^^;)

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