馳星周『雨降る森の犬』読了

家族とのわだかまりを抱えた中学生のは都会を離れ、
愛犬と共に山麓で暮らす伯父のもとへ。
自然と犬が与えてくれた、生きるためのヒント。
内容(「BOOK」データベースより)

やなものはやだ。

本書はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルを中心に、
傷付いた人間の回復を描いた作品。
今を生きる犬(ワルテル)に、僕も大切な事を教わりました。
良作。

内容はバッサリ一言。こりゃ駄目です。
こんなの耐えられるわけがない。
我が家の場合、える坊が僕のところに駆けつけ、
聞いたことのないような声で鳴いてくれたんですよね。
それは僕を心配してくれたからなんだけれど、
える坊の優しさはむしろ僕の嗚咽を大きくするだけでした。

本書はストーリーよりも、人間の台詞の方が圧倒的に良いです。
引用も避けますが、たとえ短く、ぶっきら棒でも、愛があります。
特に最終盤、道夫が発したワルテルへの問い掛けは、
今思い出しても視界に分厚い幕が掛かってしまう程。
繰り返しになってしまいますがホント、こりゃ駄目だ。

また多くの教訓を残してくれたワルテルではありますが、
僕達人間は犬と違って、今だけには生きられないし、

やなものはやだ(本文より)

なんです。
それは雨音だけでなく、きっと道夫も正樹も同じ。
恥ずかしいけれど、いい歳した大人の男の僕も同じです。
愛してくれるのなら、逝かないで欲しい。

最後に。
僕は実在したワルテル君の闘病とその最期を、
当時の馳さんのブログからリアルタイムで知っていました。
同時に馳さんがワルテル君の為に軽井沢に移住する等、
与えられる限りの時間とお金と愛情を捧げたのも
知っているんですよね。
ですからワルテル君と永訣した馳さんの哀しみも(残された傷も)
僭越ながら想像できる様な気がしました。
さらには、その後の『ソウルメイト』シリーズ等で
大きな愛情をもって犬を描いてはいても、
どこか哀しみの影を感じてしまいました。

しかし本作で(名前もそのものの)ワルテルの登場?により、
馳さんと(実在した)ワルテル君の間にあった交感は
純粋な何かに昇華されたのかな?と感じます。
もうこれは殆ど僕の願望なのだけれど、そうとでも考えなければ、
未来において避けられない娘たちと別れに、
僕は一生立ち直れません。

人間ってのはしょうがないなあ(本文より)

ホント、君(ワルテル)の言うとおりだよ。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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