森博嗣『天空の矢はどこへ?』読了

カイロ発ホノルル行き。エア・アフリカンの旅客機が、
乗員乗客200名を乗せたまま消息を絶った。
乗客には、日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長ほか
関係者が多数含まれていた。時を同じくして、九州のアソにある
イシカワの開発施設が、武力集団に占拠された。
膠着した事態を打開するため、情報局はウグイ、ハギリらを派遣する。
知性が追懐する忘却と回帰の物語。
内容(「BOOK」データベースより)

既にエピローグ。

本書は「Wシリーズ」の第9弾(その他はコチラ→1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
「Wシリーズ」はおろか F から続く「森博嗣シリーズ」も
いよいよクライマックスとなりました。
と言うか既にエピローグ?

ウォーカロン・メーカを襲う二つの事件
ポスト・インストールされないウォーカロンと、
ポスト・インストールが除去されたウォーカロン
そして
人間の、人工知能の感情とは

今回はシリーズを通しての大きな動き・変化はなく、
あくまでエピソードの一つと言った趣です。
著者お約束の最終盤及びエピローグで重要な秘密?が
明らかに(正確に言えば “推測”)されますが、
読者にとっては “既知” の確認にすぎない。
斯様に、Wシリーズ中で最も驚きの少ない一冊かもしれません。
しかし、落ち着いた物語の中にも(アクションシーンはあります^^)

美しいものを見たな(本文より)

と言った静かな興奮もありました。
言うまでもないけれど本書も「Wシリーズ」の期待を
1ミリたりとも裏切らないし、ファンの方には絶対のお勧めです。

また次巻でシリーズ最後とアナウンスがされています。
さらには本書の静けさもあって、
シリーズは既にエピローグに入っていると感じました。
きっと最終巻も多くの謎は謎のまま残り、もしくは断言されず、
ハギリの言葉を借りれば

わからないことが多くある、
ということが普通よりもわかってしまう(本文より)

と言った感じで幕を閉じると予想します。
でも僕はむしろそれが楽しみなんですよね。
今作から始まったエピローグの余韻みたいなモノを、
次の最終巻でも味わえるのですから
(それはきっと今作以上でしょう)。

蛇足で僕が一番印象に残ったシーンはP110-14行目(ネタバレ回避)。
でもそれは流されたからではありません。
むしろ抑制したその知性にこそ、崇高なナニかを見ました。
加えて最終巻のタイトルが『人間のように泣いたのか?』であり、
僕は泣いて欲しいと思ったんですよね。それは

人間のようにではなく、
人間のためにでもありません。

彼等のやりかたで、彼等自身のために泣いて欲しい。
願わくば哀しみではなく、喜びの涙で。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

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