村上春樹『1973年のピンボール』読了

さようなら、3(スリー)フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との〈僕〉の日々。女の温くもりに沈む〈鼠〉の渇き。やがて来る1つの季節の終わり――『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く3部作のうち、大いなる予感に満ちた待望の第2弾。
内容(出版社内容紹介より)

レクイエム。

本書は「鼠三部作」の2作目(1,2,3,ダンス*3
前作に引き続き、過ぎ去った青春の1ページが描かれていました。

内容はバッサリ略で一言、なんだか良かったです。
上手く言えないのだけれど、取り戻せない “過去” の引力。
その強さ、大きさみたいなモノが、
僕の遠い(そしてささやかな)記憶と重なる気がしたから。
きっとそれを「後悔」や「未練」とまとめるのは簡単だけれど、
人の心はそんなに単純じゃないですよね。
言葉に出来ないそんな想いを、本書はよく顕していたと思います。

ただ本作も「続編のセオリー」から逃れていない気がします。
前作の瑞々しさがスポイルされ、
過剰に増えた比喩は鋭さに欠けている。
全体的にやや鈍重(デコラティブ)に感じてしまいました。
それでいて熟れない筆は、まだ青い果実を想起させたりもして。

またこれは個人的なコトですが、
僕はつい最近『ノルウェイの森』を読んでいました。
なので直子のその後?や彼女の背景を
ホンの少し知っていたけれど(彼女を同一人物とするならですが)、
本書だけでは手がかりが少なすぎて、いささか不親切な気がしました。

それでも極めて個人的であり、
ある意味で温かい記憶の中にあって、

物事には必ず入口と出口がなくてはならない(本文より)

さらには

何処に行ったって結局同じじゃないかともね。
でも、やはり俺は行くよ(同じく本文より)

とあったんですよね。
それは著者が読者に向かって込めたメッセージ、
青春のレクイエムだったのではないでしょいか。
僕はもう老いてしまったけれど、これからも留まらず、
必ず出て行かなければ。

おまけ:
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
BGM: The Beatles / Norwegian Wood (This Bird Has Flown)


『RUBBER SOUL』はビートルズの中でもかなり好きなアルバムです。
残念ながら、作中の “僕” はこれを嫌悪(?)するのだけれど、
それは一体どんな理由なのかな(作中に記述はありません)
2曲目の『ノルウェイの森』と何か関係あるのでしょうか??

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ FC2Blog Ranking
 励みにしますので、宜しければクリックをお願いします。
テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

Tag:読書  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

yuki

Author:yuki
離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

娘達
長女:える(雉猫18歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒5歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
月別アーカイブ
ユーザータグ

読書(1108)
(701)
one_day(594)
ex_girlfriend(341)
ロックンロール(214)
my_ex(211)
アルコール依存症(189)
タラレバ娘(131)
縦結びの人(41)
自転車(39)

検索フォーム
FC2カウンター