森博嗣『それでもデミアンは一人なのか?』読了

楽器職人としてドイツに暮らすグアトの元に金髪で碧眼、長身の男が訪れた。日本の古いカタナを背負い、デミアンと名乗る彼は、グアトに「ロイディ」というロボットを探していると語った。彼は軍事用に開発された特殊ウォーカロンで、プロジェクトが頓挫した際、廃棄を免れて逃走。ドイツ情報局によって追われる存在だった。知性を持った兵器・デミアンは、何を求めるのか?
内容(「BOOK」データベースより)

生きることと意識のあるなし

本書は「WWシリーズ」の第1弾。
「Wシリーズ」のそのものズバリ(?)の続編であり、
今回も生命について深い考察がなされています。
佳作。

ドイツの田舎で静かに暮らすグアトとロジ
とある秘密が隠された特殊ウォーカロン
そして
脳と身体、“生(生きる)”はどちらにあるのか

内容はバッサリ略で一言、最高です。
しかし、今はまだシリーズの一作目であり、
根源的なテーマに殆ど進展はありません。
言うなれば(文字通り^^)装いも新たになった
レギュラーメンバの“顔見せ” と言ったところ。
それでもロイディから受け継がれたデミアンの秘密及びトリックは、
それだけでも上等な SFミステリィとなっていました。
ファンなら誰に言われなくたって本書は手にすると思います。
なのでココは同じ熱烈ファン(僕)として一言。
ご同輩、新シリーズの開幕を心からお慶び申し上げます^^

正直、少なくとも「Wシリーズ」は読んでいないと、
ちょっと厳しいと思います(オブラートでクルクル)。
AI や ウォーカロンの誕生経緯や現在の立ち位置、
それらが頭にないと世界観の構築は殆ど不可能でしょう。
もっと言えば本作でも重要な鍵となるトランスファに至っては
最初から最後まで訳ワカメになると思います。
甚だ主観的な意見ではあるけれど、
本書の前に是非「Wシリーズ」だけでも手にして欲しい。
SF好きでミステリィ好きなら、
高い確率で貴方を魅了するシリーズになるはずです。

書きたい事は山ほどあります。
例えば未来(かの世界)におけるアルコールの現状?とか、
グアトとロジは当然として(当然?嬉しい驚きでした^^)、
セリンも恋の戦線に参戦か?とか。
はたまた本書のカバーデザインが中身を伴いつつ
大変に素晴らしいこととか。
と言った感じで名残は尽きないけれど、ココでは一つだけ。
それは “生(生きる)” についてです。
作中、デミアンは禅の教えを用いて、
彼なりの意見を披露する場面があります。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕はグアトと同じく、頭が痺れるような感覚となりました。
因みにデミアンと僕は禅(もっと言えば作中にはない仏教)
の解釈は同じでも、その感想(個人的結論)は違います。
ネタバレを避けるけれど、それが「本来の生」とは僕には思えない。
けれど、デミアンの思考の(その過程の)美しさには
息を飲む思いがしたんですよね。
うーん、やはり『森博嗣』は素晴らしい!
ミステリィにあるトリックやサスペンスよりも、
上質で静かな、しかし非常に強い興奮がそこにはあります。

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