川上弘美『なめらかで熱くて甘苦しくて』読了

セックスと性欲のふしぎを描くみずみずしく荒々しい作品集。性と生をめぐる全5篇。
内容(「BOOK」データベースより)

突き詰めすぎ。

本書は性愛をテーマとする五つの短編集。
しかし、性と言うよりは生に重きが置かれ、
官能小説と言うより哲学書と言った趣。
本書を総括する最終話にいたっては宇宙さえ予感させました。

今回も印象に残った二編をご紹介。先ずは『aqua』
苗字と学年を同じくする二人の少女のお話です。
小学三年生で出会った彼女達は成長するに従い、
その関係も微妙な変化があらわれるのですが……。
その詳細は本書をご確認していただくとして、
僕は水面はやはりどこかで自分の為に泣いたのだと思います。
と言うか、むしろ自分の為に泣いて欲しい。
僕は強くそう願ってしまいました。

もう一つは『terra』
アパートの隣人が事故死した沢田と、その恋人・麻美のお話です。
二人はその事故死した加賀美の納骨の旅に出るのですが……。
こちらも詳細は本書をご確認していただくとして、
僕はその後、沢田は割りとアッサリ加賀美を忘れると予想します。
またその空白を埋めるのは麻美じゃない可能性が7割以上あるかと。
それでも僕は沢田にさほど嫌悪感は覚えないんですよね。
寂しさや空虚を埋めるセックスに、
相手の人格はそれほど重要ではない(物理的なモノがあれば良い)。
そこに男女の違いはないと思います。

最後に。
本書は性描写が一切なく、秘かに期待した官能とはほど遠い作品でした。
性を突き詰めた結果、生に比重が移ったのだと思うのだけれど、
エンタメとしてもう少し肩の力が抜けたモノを読みたかったかな。
ただ秋に深く書に潜りたい時には、候補にあげたい一冊だと思います。

ここからは蛇足。男の浮気?について。
それは『aer』の一編おいて、
出産前後の女性の赤裸々な独白があったのですが……。
こちらも内容はバッサリ略しますが、
僕は読書中、フトこう思ったんですよね。

これじゃあ、
男が他の女性に目が行っちゃうのも仕方がないのでは?

まぁ、それを言い出すと、卵が先か鶏が先かになっちゃうし、
そもそも個人的に議論を避けたいテーマでもある(ジェンダー論)。
なので蛇足にしたけれど、主人公(♀)の言葉を借りれば

男だって動物である。

それ位は言っても罰はあたらないような……(オドオド)

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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

Tag:読書  Trackback:0 comment:2 

Comment

よく読んだ方がいい URL|表面だけでなく
#- 2020.09.13 Sun20:19
沢田は割りとアッサリ加賀美を忘れると予想します。
またその空白を埋めるのは麻美じゃない可能性が7割以上あるかと

加賀美と麻美は同一人物だろw
ちゃんと読んだのかww
yuki URL|Re: 表面だけでなく
#- 2020.09.13 Sun20:54
読み誤っていたんですね?
本が手元になく確認できないのですが、
以後気をつけます。

ご指摘をありがとうございました。
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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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