金原ひとみ『ハイドラ』読了

出会った瞬間から少しずつ、日々確実に、発狂してきた―。有名カメラマン新崎の専属モデルを務める早希は、私生活でも密かに彼と同棲している。付き合って三年を過ぎ、セックスの時以外は体に触れてこない新崎。不均衡な関係に深い倦怠感を覚えるなか、ずっと早希のファンだったというバンドマンの松木と出会う。ひずみのない愛を求めては傷つく女性の心理に迫る、傑作恋愛小説。
内容(「BOOK」データベースより)

隷属希望。

本書は恋愛を通して女性心理を描いた作品。
早希の(ある意味で自傷するしかない)姿に痛ましさを覚えました。
でも軽重?を別にすればそれほど珍しくも無いのでは?

今は仕事だけで結ばれた恋人
心から結ばれようとする新しい男
そして
心の均衡を保つ摂食障害

内容はバッサリ略で一言、割と面白かったです。
正直、オッサンの僕には若い女性の心理は判りません。
けれど自らを傷付ける事である種の精神的安定を得るコト。
それは他人からみれば愚かな行為であり、
もっと言えば自分でも馬鹿なコトだと理解していても、

そうするより仕方が無い

そんな感覚だけは判るような気がしました。
それでも、きっと他人が考えるより、
本人(早希)は絶望していないと予想します。
ただ本当の絶望を(今以上の絶望を)予感し、怯えている。
そんな状態ではないでしょうか。
きっと本当の絶望って、こんなモンじゃないから。

以上、本書には目新しい点はほとんどなく、
著者一流の刺激みたいなモノにも乏しい。
けれど逆を言えば万人向きな作品です。
ハズレを回避したい時の候補にどうぞ。

蛇足で「隷属するコトを望む」性質について。
端的に言えば主人公・早希がそうだったと思うのですが、
僕はそれほど珍しくない性質なのかな?と感じました。
(反対に従属されるコトを望むのが新崎でした)
よく世間のお悩み相談等で

パートナの精神的DVウンヌン、マウントがどうのこうの……

と目にするコトがあります。
でも僕は他人(パートナ)に強いられてではなく、
むしろ自らそのポジションに行ってしまう人。
また、望んで行く……とまでは言わなくても、
隷属するポジションが精神的に安定する傾向にある人。
そんな方が、僕の少ない人生経験の中でもいたような気がします。
それに関して僕に意見はないのだけれど、
隷属を強いられている(とされている)人の発言だけを採用する。
その危険性を想います。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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