片岡義男『洋食屋から歩いて5分』読了

街を歩き、街で食べる。美味しい「食」のエッセイ。
内容(「BOOK」データベースより)

スタイリッシュな東海林さだお。

本書は『片岡義男』の「食」にまつわるエッセイ集。
著者にとっての「食」が、漏らさず記憶と結びついている様子に
共感を覚えました。

内容はバッサリ略で一言、意外と良かったです。
正直、僕は著者にほとんど関心はなく、
むしろ「片岡義男??角川映画の??」ってな世代のオッサン。
勿論、向こうも僕みたいなムサイ男は眼中にないと思うのだけれど、
その程度の不親和性みたいなモノは予感していたんですよね。
けれど、いくつかはハッキリと良かったです。
例えば、人は育ちの良し悪しに関係なく(当然僕は「悪し」^^)、
「食」が記憶に強く強く結びつくと言うコト。
さらにはその人の人格を、さらには人生を造る重要な要素であること。
そこには著者も僕も変わりが無いと知りました。

ここからは特に印象に残った四つについて一言感想を。

『彼女と別れて銭湯のあと餃子』
タイトルそのままの内容です。
でもきっと誰もが一度は似たような経験をしているんじゃないかな?
勿論、僕にもあります。
しかも哀しいかなそれは一度ではないのだけれど、
ここで一つを挙げるとしたらそれは「しらす丼」です。

『いきつけの喫茶店について』
叙述トリックと言うか、アンジャッシュと言うか……。
きっと著者があの時に飲んでいたコーヒーと同じく、
ほろ苦い思い出なんだと思います。
でも、ほろ苦いからこそ良いんじゃないのかな?
歳月と言う砂糖が加わって、
思い出は今が一番美味しいんだと思います。

『料理本の思想』
書評とはかくあるべし。
「食」とはほとんど関係ないのだけれど、
ここにある三つの書評にはほとほと感心しました。
僕は料理が苦手だけれど、これらの本さえ読むことが出来たら……と
本気で思えてしまいました。

『定刻に五分遅れた』
作家・吉行淳之介との対談に、著者が五分ほど遅刻した時のお話です。
そこで格下の著者に待たされた吉行淳之介は、
たった一言「定刻でしょう」と発したのですが……。
僕はこの一言に何重もの意味を込めた(であろう)発信者の知性と、
それを洞察した受信者に力量に、等分で唸ってしまいました。
それにしても会話には双方同程度の鋭敏さが必須ですよね。
けれど、相手の次元がここまで高いと(こちらも要求されると)、
愚鈍なだけの僕にはちょっと辛いなぁ(笑)

以上、本書は乱暴にまとめれば「スタイリッシュな東海林さだお」。
もう少し言えば後半になるに従って「クドく」なり、
ある意味で「オヤジ臭く」なるのだけれど、
それでもショージ君よりはインテリ臭いのは間違いありません(笑)
同じコーヒーブレイクのお供でも、
本書は自宅よりスターバックスで楽しまれる方が似合うと思います。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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