桜木紫乃『家族じまい』読了

認知症の母と、齢を重ねても横暴な父。両親の老いに姉妹は戸惑い、それぞれ夫との仲も揺れて…。別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。
内容(「BOOK」データベースより)

家族だって他人。

本書は家族と向き合う女性たちを描いた連作短編集。
家族と言う共同体にあって、
決して共有されるコトの無い個人の事情や感情。
その様子に胸が苦しくなりました。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、しんどかったです。
それは日ごろ目を背けガチだけれど、決して揺るがない事実。
家族だって他人だと言うコト。
それを赤裸々に突きつけられていたからです。

『桜木紫乃』は僕が新作を欠かさない唯一の女性作家です。
作品の多くに「絶望」や「諦念」が扱われるけれど、
そこに粘着はされない。語弊を怖れずに言えば女性作家らしくない
(むしろ男よりも男らしい)作風が好きなんですよね。
本書もそれから特段に外れてはいないと思うのだけれど、
主人公達と同世代(周囲に親の介護の話が多くなった)僕には
リアル以上に迫るモノがありました。

ここからは一言感想を。

『智代』
啓介のハゲから抜けてしまったモノ。
その中には家族や智代との絆もあった気がします。

『陽紅』
誰にだって親から影響はあると思います。
またその殆どは「悪(影響)」だと思うのけれど、
それはそれで仕方が無いし、ある意味で当然ではないでしょうか。

『乃理』
「何ひとつ間違っていないこと」がきついとありましたが、
全くの同感です(なんせ僕も乃理と同じアルコール依存症だし)
けれど、それを誰かの(何かの)せいにするのは別の話でしょう。

『紀和』
離れない老夫婦と、離れる親娘。
前者には絶望を、後者には希望を感じました。

『登美子』
登美子もサトミも忘れてよいと思います。
楽しいことだけ。ただそれだけで。

以上、本書には(心理的に)家族を仕舞う様子がありました。
前述の通り、僕(の年齢)にはリアル以上に迫るモノがあり、
かなりしんどい読書になったのだけれど、
一方で僕の意見は揺るがなかったんですよね。
それは人はどこまで行っても独りだと言うコト。
血を分けた親子・姉妹だろうが、
愛し合って結ばれたはずのパートナであろうが、
結局は他人だと言うコト。
若い頃はそれが哀しかったし、悔しかったのだけれど、
今ではそれが「救い」でもあるように感じるコトが出来ます。

無理に一緒にいる必要はありません。

嫌な思いをするのくらいなら、
家族だろうがなんだろうが離れた方が良いと思います。
結局、人は誰もが独りなのだから。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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