赤松利市『白蟻女』読了

「遺言」余命幾ばくもないお婆さんは、娘の咲子への遺言をレコードに吹き込むことにした。ところが、ご近所連中の悪口をまくし立てるばかりで一向に本題に入らない。録音時間はあとわずか。娘に伝えたいこととはいったい?「白蟻女」長く苦楽を共にした夫の通夜、夜伽する妻・恵子の前に現れた、ちょっと間の抜けた若い女の幽霊。「思い出をめちゃめちゃにしてやる」と彼女が口にした途端、なんと恵子は新婚旅行の日に戻っていた。しかも当時の姿で!反発しながらも賑やかに過去を辿る彼女たち。そして、回想の先に待つ奇跡とは?
内容(「BOOK」データベースより)

お金じゃない。

本書は無数にある「幸せ」の中から、
お金では買えないモノを描いた二つのお話。
人と人を結ぶ縁みたいなモノに、熱い感動がこみ上げました。
良作。

内容はバッサリ略で一言、ほとほと感動しました。

僕はエロ・グロの『赤松利市』が嫌いじゃなくて、
むしろその “毒” こそを評価しています。
その意味で本書は感涙の期待はずれ(?)だったんだけれど、
まさか!まさか?の『赤松利市』に、
読後は晴れやかな気分になりました。

ここからは一言感想を。

『遺言』
余命を知った老婆が、娘に残す遺言のお話。
そこには遺言とは程遠い、
ご近所さんへの罵詈雑言ではじまるのですが……。
読後、僕は毒蝮三太夫さんではないけれど、
「クソババア、ボケた頭で死ぬのも忘れちまえ!」
って言いたくなりました。
あきら君にあげる飴玉も、「自分でやれ」と。

『白蟻女』
夫の通夜に現れたかつての愛人(ユーレイ)と、彼の老妻が、
ともに過去(思い出)を追想するお話です。
そこには生者とユーレイ、過ぎ去った時間と真実、
そして後悔……と言った様子が描かれており、
僕はほとんど浅田次郎さんを思い浮かべてしまいました。
しかし、ラストはワビ・サビの『浅田次郎』らしくなく(?)、
ある種の「あきらめ」が、あっけらかんとひっくり返る
ほとんどパーフェクトなハッピーエンド。
けれど、文句は一つもなかったんですよね。
むしろもっともっとあっても良い(特に白蟻女に)
とさえ感じてしまいました。
こんな我田引水なら僕はいつだって大歓迎です。

以上、本書はそれまでの『赤松利市』を
180度ひっくりかえした作品。
お金では絶対に買えない幸せ。愛と言うよりは
人と人を結ぶ『ご縁』みたいなモノが描かれていました。
それは都会暮らしで、独り身がすっかり長くなった僕に、
まぶしいくらいに輝いていました。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
ロックと読書好き。でも酒と煙草をやらないストレート・エッジです。

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長女:える(雉猫19歳) 泣き虫で臆病。温厚だけど父ちゃんには我儘な女王様。妹がちょっぴり苦手。職業:父ちゃんの監視。

次女:ふう(白黒6歳) 暴れん坊で食いしん坊。皆が食べているものは私も食べる。お姉ちゃんともっと遊びたい。職業:父ちゃんの邪魔。
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