山崎豊子『しぶちん』読了

“しぶちん”とは大阪弁でケチン坊のことだが、ケチが陰にこもらない開放的な言い方である。19歳で伊勢の沢庵売りから大阪の材木問屋に奉公して財をなした山田万治郎は、“しぶまん”と呼ばれながらも、昭和初年に、商工会議所の議員に推薦される。大阪商人の金銭への執念を捉えた表題作の他、大阪富商の町、船場に憧れと執念をもやした女の一生を描く『船場狂い』など、全5編を収録する。
内容(「BOOK」データベースより)

計算高い。

本書は戦後の大阪を舞台とした5つの短編集。
僕は大阪の文化には疎いのだけれど、
彼等の “メリハリ” の効いた価値観に、ほとほと感服いたしました。

ここからは一言感想を。

『船場狂い』
第一印象は、大阪のおんな版「矢沢永吉」。
良いも悪いも、好きも嫌いも抜きにして、強烈な上昇志向?がありました。
でも住む地域でマウンティングだなんて、
古今東西(一部の人には)変わらないんだなぁ~(呆れ)

『死亡記事』
浅はかな女の変心を、憐れむように頑なに拒む(本文より)
そんな大畑はきっと正しいし、尊敬とそれ以上の羨望を覚えました。

『持参金』
なにより千賀子の胸中こそを想います。
それにしてもかの時代に比べれば、
結婚を強いられない現代で、僕は本当に良かった。

『しぶちん』
万治郎の “しぶちん” はいっそアッパレだけれど、
家族にしたら堪ったモンじゃないと思います。
たまの玉子丼や天丼ぐらい、いいじゃないですか。

『遺留品』
ネタバレを避けますが、そのミルクはダメです。
ただ、喜代夫人の哀しみを(たとえ僅かであったとしても)
その子が和らげてくれるコト。僕は確信しています。

以上、本書には様々な大阪人の姿がありました。
因みに彼等を乱暴に、けれど好意的にまとめるならば
「自己抑制のできる人」になるのかな?
反対にちょっとだけイジワルに言えば「計算高い人」になるでしょう。
“しぶちん” は東京に生きる僕にとって、そんなイメージになりました。

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