暁佳奈『春夏秋冬代行者 春の舞 下』読了

『春』の少女神雛菊には生涯の忠誠を誓う剣士が居た。名を「さくら」。職位は代行者護衛官。愛する主を拐かした者へ、悲劇を傍観していた者へ、自分達を傷つけた全ての者に復讐すべく刀を抜く。主を守って死ぬと決めた。だからもう迷わない。師と仰いだ男への恋慕は捨てた。これより先は、覚悟ある者だけが進める戦場なり。いざや、春の舞を踊ろうぞ。
内容(出版社内容紹介より)

それでも生きる。

本書は “四季の代行者” たちの活躍を描く完結編(
自分の命より大切なモノの為に、死ぬのではなく、生きる。
そんな彼等の姿に震えが止まりませんでした。
佳作。

内容はバッサリ略で一言、本当に……本当に良かったです。
それは厳しすぎる環境にあって、覚悟を示すのではなく、むしろ秘める。
犠牲の精神にも色々な在り方があるとは思いますが、
本書にあった抑圧のそれは高潔であり、純度を感じました。

正直、萌え(?)と残酷な場面の落差が激しく、
呆れてしまうコトもあった様な気がします。
多くは控えるけれど、少女の心を殺す描写をここまで執拗に
何度も何度も繰り返す必要性は無かったと思います(キッパリ)。
しかし、それ(精神的な殺人)を安易に救済するコトなく、
「それでも…」とキャラクタに前を向かせる(←残酷ですよね)。
そこに著者の強い意思・主張を感じたんですよね。
それは諦めることに慣れた老いた僕の心でさえ、
大きく揺さぶりました。

ラストは平和が束の間であるコトが示唆されているのだけれど、
きっと彼等なら

それでも!

と命を……愛するモノより軽い自分の命でも

決して諦めない。

そう信じるコトが出来ました。本書は若者には勿論、
安易に(←あえて言います)自分が犠牲になるコトに傾きがちな、
大人の方にこそお勧めしたい。そう思いました。

これはホントにホントに蛇足。
たとえば初版、P362-1行目の『秋主従』は『夏主従』だし、
P376-3行目の『瑠璃の顔』は『あやめの顔』。
P431-6行目の『鳴り得る』は『成り得る』。
もしくは『為り得る』だったと思います。
重箱の隅をつつきたい訳じゃないけれど(これ以外にもまだあります)、
せっかく装丁にも、イラストにも、台紙にもこだわった良質な作品です。
特に後半、怒涛に目立った誤字・誤植は少なからず残念でした。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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