村上春樹『街と、その不確かな壁』読了

その街に行かなくてはならない。なにがあろうとー。高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そして、きみの面影。村上春樹が、長く封印してきた“物語”の扉が、いま開かれる。
内容(「BOOK」データベースより)

本当なんてない。

本書は『村上春樹』の長編小説。
虚実を織り交ぜながら『本当』の “やっかい” な様子がありました。

内容はバッサリ略で一言、うーむ。

文章は相変わらず唯一無二であり、素敵です。
心地よいリズムがあり、適切に刺激的で、印象的な示唆もある。
ストーリィなんてそっちのけで、それだけで(最後まで)楽しめました。
ただし……本作は僕にはちょっと難しかったです。

実は読み始めた途端に既視感を覚えました。
調べてみると本作は
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のリライトとのコト。
なるほど、第一部なんかは特に『世界と…』との相似が多く、
僕の既視感もあながち間違いではありません。
ただし、第二部からは『世界と…』のストーリィから大きく外れ、
本作独自の展開を広げていきました。
その詳細は控えますが、僕が『世界と…』の感想で不遜にも
「優しい(≒判り易い)」としたのとは反対に、本作はかなり難解でした。

結局、『壁』とは実像と虚像。つまり真実と嘘の境だったのかな?
同様に

僕と僕の影も、君と君の影も。
現実の世界と壁の中の街も。
そして
現(うつつ)と夢も。

その境は確かにあるのだけれど、それほど意味なんてない。
もう一歩進めて(乱暴に)纏めてしまえば、
心にある真実と嘘の境に意味なんてない。
つまり心には

本当なんてない。

もし「作者の言いたいコトを答えなさい」ってテスト問題があれば、
僕は答案用紙にそう書くと思います。
これが正解だなんて全く思わないのだけれど……。

以上、本書は心のカタチを虚実を用いて示した作品(だと思いました)。
個人的には後悔の一切のない、非常に楽しい読書になったのだけれど、
皆様にお勧めは……ちょっと控えちゃうかも(小声で)
それでも文章だけで十二分に楽しめるので(ココは大きな声で)
ファンの方には問答無用でお勧めです。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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