凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』読了

「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして―荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。
内容(「BOOK」データベースより)

汚い。

本書は終末の世界を舞台とした四つ(*1)の連作短編集。
残された時間の中で人々が「生きる」様子がありました。

内容はバッサリ略で一言、良かったと思います。
それは綺麗事だけではなく、人の根源にあるエゴイズム。
それが全ての登場人物に等しくあったから。

地球が滅びるまでの一か月
平時では手に入れられなかった幸せ
そして
それぞれの最期の受け入れ方

小惑星が衝突して地球が滅びる……なんて、
もう手垢のつきまくった設定です。
それでも終末が回避されない中で(回避されるモノも多いですよね)、
歓びや、安らぎ。そして愛や絆が柔らかく描かれている。
また、それらが残り時間を与えられたコトによって、
むしろ哀しみが大きくクローズアップされているんですよね。
その様子は「わかっちゃいるけど」やっぱり僕の胸を衝きました。

本作のテーマのひとつに「幸せ」があったと思います。
なるほど、友樹とその両親。友樹の友達の藤森さん。
彼等の家族に対する想い。あこがれ。
ひいては「幸せ」が四人の視点から描かれていたと思います。
一方で、僕は「幸せ」の “汚さ” について想いました。
ネタバレを避けますが、友樹たちの幸せの背景には
言い逃れの出来ない犯罪が(複数)あります。
終末の無法状態だし(仕方がない面も当然あります)、
その点だけをとって善悪や好悪を言いたいのではありません。
ただ、平時も終末も関係なく「幸せ」って

あんがい汚いな、って。

そう感じてしまいました。

以上、本書は終末にあって「幸せ」を描いた作品。
なお、(*1)で四つとしましたが初回限定特別付録として
藤森さんが主人公の『イスパハン』の一話もありました(計五話)。
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掌編であり、あくまでおまけの粋を出ないのだけれど、
本編を補完する、これまた胸を衝く作品です。
出来ればこちらも併せて読んで欲しいな、って思います。

おまけ:
Take Me To The Top
BGM: Mötley Crüe / 最後の歌姫。ラスト・ライブより。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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