凪良ゆう『すみれ荘ファミリア』読了

下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。
内容(「BOOK」データベースより)

欠陥品。

本書は下宿「すみれ荘」を舞台とした家族と入居者の物語。
人の二面性と、愛のウラオモテ。その様子が何度も繰り返しありました。

内容はバッサリ略で一言、怖かったです。
それはイヤミスを超えて、もはやホラーと言いたくなるほど
人の、愛の暗部を抉っていたから。

想いを隠しながらも執着し続けた青子。
愛情を与えられず心が動かなくなった芥。
息子達に平等な愛を与えられなかった母親。
そして
一悟が病弱な理由。

本書にある通り、愛は欠陥品だと(僕は)思います。
愛があるから人は苦しみ、絶望し、間違えてしまう。
愛は尊いとされているけれど、愛の卑しいトコロ。
もっと言えば愛の冷酷非道な様子は、
毎日毎日世界中のニュースで知るコトが出来ますよね。
僕もささやかだけれど愛を知っているし、崇めてもいるのだけれど、
一方で愛の残酷さも身をもって知っています。
僕なんかが言えた台詞ではないけれど、
きっと少なくない方もそうではないでしょうか。

また芥よりはるかに後天的ではあるけれど、
いまの僕は愛にほとんど絶望しています。
なので彼の述懐

喜怒哀楽がないってやっぱり楽なんだ(本文より)

に冥(くら)い共感を覚えてしまいました。
いい歳して、我ながら情けないのだけれど。

以上、本書は愛の残酷な部分に焦点をあてた作品。
愛だけでなく人の二面性にも(かなり執拗に)触れられており、
充実した読書ではありましたが、最後まで気分は晴れませんでした。
みなさまには心の耐久力がある時にどうぞ。

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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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