大崎善生『赦す人』読了

昭和六年生まれの鬼―
その筆名とうらはらに、団鬼六の生涯は純粋さと赦しに貫かれていた。
伝説の真剣師と交わり、商品相場を追い、金を持ち逃げされ、
妻の不倫に苦しみ、がん手術を拒否し、その全てから小説を産んだ。
「異端の文豪」団鬼六の出生から最期まで、
波乱万丈の生涯を描ききる感涙の長編ノンフィクション。
内容(「BOOK」データベースより)

生き様、環境、性格、その全てが支離滅裂。
それ故に眩しい。

主人公はSM小説の大家であり、名著『真剣師小池重明』を残した
将棋界の大旦那でもある団鬼六(本名・黒岩幸彦)。
彼の荒唐無稽どころか支離滅裂の生き様を余すことなく記した本作は、
愛憎併存する強烈な一冊でした。

いきなりの蛇足となりますが、戦中・戦後の混乱期、
ブルジョワジーを代表する小説家には
無茶苦茶な方が大勢いましたよね?
例えば太宰治とか三島由紀夫とか。
そんな生まれの幸運を甘受する、
特権階級だけに ”赦された” 環境で生育した黒岩少年は、
ある意味で正常な感性を磨きました。
それは凡人には真似も、いや想像することさえ出来ない、
見上げるような別世界の感性です。

SM
先物相場
女性
交友関係
パトロン気質

古きよき時代の紊乱の大輪。
本書からは強烈な芳香まで感じられて醜悪な気持ちにもなりました。
けれど、市井の蠅である僕には理性とは別に
この匂いに惹かれて止まない強い何かがありました。

呆れるほど見事な自己愛に、
それ以上に大きな愛で他人を ”赦す” 無頓着さ。
若き頃、借金地獄から救い出して家庭を築き、
長年それを守って来てくれた貞淑な元妻。
彼女の裏切りに煩悶する様子は、自分の事の様に焦慮しました。
でも、そんな元妻でさえ ”赦す” 団鬼六が僕には理解できないし
尊敬します。


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離婚と断酒。娘達(雉猫と白黒猫)と三人(?)の日々を綴ります。
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